2002 年 63 巻 8 号 p. 1914-1918
腹部CT検査にて上腸間膜静脈血栓症と診断し,急性期に血栓溶解療法による保存的治療を行うことにより手術を回避しえたが,その後,限局性の小腸狭窄をきたし手術的に治療せしめた症例を経験したので報告する.
症例は48歳,男性.腹痛,嘔吐を主訴に当院受診し急性腹症の診断にて精査加療目的で入院となった.腹部CT検査にて上腸間膜静脈血栓症と診断し,上腸間膜動脈よりウロキナーゼを1日24万単位, 7日間持続動注,ヘパリンを1日1万単位, 7日間持続静注した.症状は軽快し経口摂取も可能となった.
2ヵ月後に嘔気・嘔吐を生じ,イレウスを呈したため,手術を行った.開腹時,空腸に虚血性変化を伴った約5cmの狭窄部を認め,小腸部分切除術を施行した.術後経過は順調であった.