日本臨床外科学会雑誌
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結腸亜全摘術にて救命した重症偽膜性大腸炎の1例
内本 和晃福岡 敏幸松本 寛
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2003 年 64 巻 11 号 p. 2802-2806

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抄録

偽膜性大腸炎は保存的治療にて治癒することの多い疾患であるが,中には重症化する症例も存在する.重症偽膜性大腸炎は死亡率の高い予後不良の疾患である.ショックや多臓器不全をきたした場合には,緊急手術が必要となることもある.今回われわれは全身状態が悪化し,緊急で結腸亜全摘術を行い救命できた重症偽膜性大腸炎の1例を経験したので報告する.
症例は73歳,男性.近医にて発熱,下痢に対してCFDN, CTMが投与された.その後腹痛増強し当院紹介され,急性腸炎の診断でFMOXを投与した.入院翌日,腹膜刺激症状を認めたため試験開腹したところ,腹水の貯留と大腸の浮腫のみであったので抗生剤治療を継続した.術後2日間にわたり集中治療を行ったが,次第に全身状態が悪化し,緊急に結腸亜全摘術を決行し全身状態が改善した.

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