日本臨床外科学会雑誌
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脾サルコイドーシスの1例
永田 直幹日暮 愛一郎平田 敬治中山 善文岡本 好司伊藤 英明
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2003 年 64 巻 6 号 p. 1463-1467

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抄録

脾サルコイドーシスは自覚症状や他覚所見が乏しいことから比較的稀な疾患で,本邦での報告はあまりなされていない.今回われわれは,孤立性の脾サルコイドーシスに対して腹腔鏡下脾臓摘出術を施行したので若干の文献的考察を加えて報告する.症例は52歳,女性.腹痛で近医受診し腹部超音波検査で脾腫瘍を指摘され精査目的で入院となった.腹部超音波検査では低エコー像を呈し,造影CTでは低吸収域であった. MRIではT1強調で等信号・T2強調は低信号であり,腹部血管造影検査では脾臓に3cm大のhypovascular massが認められた.画像上,脾原発性悪性腫瘍を否定できず脾臓摘出術を施行した.摘出標本は脾サルコイドーシスであった.脾腫瘍は術前に良性・悪性の鑑別をつけることは難しく,今回手術侵襲のことなどを考慮して腹腔鏡下脾臓摘出術を選択した.

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