2004 年 65 巻 11 号 p. 2913-2917
胃癌による胃全摘術後から13年後に吻合部再発を認め,再切除が可能であった稀な1例を経験したので報告する.症例は67歳,女性. 1990年1月,噴門部領域の胃癌(s Type 0 IIc, T2)にて胃全摘術施行.初回手術時の病理所見は噴門部のp Type 0 IIc, signet ring cell carcinoma & poorly differentiated adenocarcinoma, pT2 (SS), ly2, v1, PM(-), DM(-), pN0,で根治度Aであった.術後は順調に経過していたが, 2003年1月頃より上腹部不快感出現し,精査施行.同年3月,胃癌吻合部再発の診断にて,左胸腹連続切開下に吻合部再発部切除,食道抜去,脾,膵体尾部切除,肝外側区域,横行結腸合併切除を施行した.病理組織学的に初回手術の胃癌の組織像と極めて類似した組織像であり,特殊染色でもほぼ同じ染色性を示し,胃癌吻合部再発と診断した.胃全摘術後吻合部再発であったが,積極的に切除し,経口摂取を含めたquality of lifeの改善が得られた.