日本臨床外科学会雑誌
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腸閉塞をきたした回腸子宮内膜症の1例
青柳 信嘉飯塚 一郎
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2004 年 65 巻 7 号 p. 1855-1859

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抄録

腸閉塞で発症した回腸子宮内膜症の1例を経験したので報告する.症例は38歳の女性.平成15年9月上旬,腹痛,嘔吐にて発症,腸閉塞の診断にて保存的治療を受け,軽快退院した. 10月上旬,月経が始まった後再び腹痛,嘔吐をきたし単純性腸閉塞の診断で再入院した.繰り返す腸閉塞のため開腹手術を行った.開腹所見では,回腸は末端部から約20cmにわたり捻れるように癒着,短縮し,回腸末端部は固く腫瘤状に触知した.子宮付属器は肉眼的に異常を認めず,回盲部切除とした.術後の病理組織診断にて回腸子宮内膜症と診断された.本疾患は腸閉塞で発症することが多く術前に診断を確定させることは困難であるが,月経に伴う消化器症状の消長により疑うことは可能である.また,近年の報告例が増えつつあり,性成熟期の女性の腸閉塞の鑑別診断として念頭に置く必要があると考えられた.

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