日本臨床外科学会雑誌
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大腸穿孔症例およびエンドトキシン吸着療法施行症例のPOSSUM scoreを用いた予後予測の検討
秋吉 高志中塚 昭男徳永 正則森田 真山本 一治脇山 茂樹池部 正彦中西 浩三橋本 光孝豊増 泰介長家 尚
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2005 年 66 巻 11 号 p. 2645-2650

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抄録

目的:大腸穿孔症例の予後予測におけるPOSSUM scoreの有用性を検討した.方法: 1992年から11年間に当科で手術を施行した大腸穿孔73例を生存例 (n=55) と死亡例 (n=18) に分けPOSSUM scoreを比較検討した.また, 73例のうちエンドトキシン吸着療法 (PMX-DHP) を施行した12例のPOSSUM scoreを救命例と非救命例で比較検討した.結果: POSSUMの予測死亡率は生存例で34.0±25.3%,死亡例で68.4±23.3%と死亡例で有意に高値であった (p<0.0001). PMX-DHP施行症例の死亡率 (42%) はPOSSUMの予測死亡率70%以上の症例では100% (5/5) であり,予測死亡率50~70%の症例の0% (0/7) に比べて有意に不良であった (p=0.0013). 結論: POSSUM scoreは大腸穿孔症例の予後予測に有用であることが示唆された. PMX-DHPはPOSSUMの予測死亡率50~70%の症例において成績良好であったが,予測死亡率70%を超えるような超重症例の救命率向上には寄与しなかった.

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