日本臨床外科学会雑誌
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小腸軸捻転を伴った骨盤内小腸GISTの1切除例
目黒 誠奥 雅志伊東 竜哉高島 健佐藤 卓平田 公一
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2006 年 67 巻 11 号 p. 2635-2639

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抄録

症例は79歳の女性で, 2005年3月下旬に右下腹部痛で入院した.造影CT検査にて小腸軸捻転を疑う所見と骨盤内に径10cmを超える腫瘍性病変がみられた.この腫瘍は卵巣腫瘍などとの鑑別を要したが上腸間膜動脈 (SMA) からの造影効果を認め,約1カ月間の経過で増大傾向がみられたことから小腸由来の悪性腫瘍の診断で手術となった. SMAを軸に時計回りに540度の小腸捻転を認めた.捻転小腸に癒着や血流障害はなく容易に整復できた.腫瘍は,回腸末端部より約lOOcm口側の腸間膜付着部反対側の腸管壁に由来するものであった.小腸部分切除とともに腫瘍を摘出した.術後病理検査にて小腸GISTと診断された.腫瘍径は14×10cmと大きく,高リスク群に分類されたが,明らかな転移性病変はなく,肉眼的に根治性が得られたため,術後補助化学療法は行っていない.検索した限りでは,絞扼を認めない小腸軸捻転を伴った骨盤内小腸GISTの報告は本症例が初めてである.

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