日本臨床外科学会雑誌
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開腹下整復術3カ月後同部位に再発した原発性小腸軸捻転症の1例
山崎 政直新田 敦範山田 忍冬廣 雄彦康 純明田中 肇
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2006 年 67 巻 7 号 p. 1582-1586

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抄録

症例は83歳,女性.突然の腹部不快感および嘔吐にて発症, CT上whirl signを認め,小腸軸捻転症と診断し手術を施行した.小腸ほぼ全域が上腸間膜動静脈を中心に捻転し,小腸の色調不良を認めたが,用手的解除にて色調改善したため,整復術のみ施行した.しかし3カ月後に同様の症状が出現. CT上whirl signを認め,小腸軸捻転症再発と診断し手術を施行した.前回同様,上腸間膜動静脈を中心に小腸全域が捻転しており,用手的解除により色調は改善したが,追加治療が必要と考え腸管固定術を施行した.原発性小腸軸捻転症は本症例を含め本邦で47例の報告があるが,同部位での再発例の報告は本症例のみである.治療は,可逆的な血流低下であれば整復のみで良いとされているが,本症例のように再発の可能性を考慮すると,腸管の固定が緩い症例には固定術の必要性が示唆された.

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