軟弱な青果物の輸送時の損傷を低減させるためには, 適切な包装を用いることが重要である。本研究では, イチゴ果実について, 通常の二段詰め包装 (通常包装), 一段詰め包装, 果実同士の接触を防ぐための内装緩衝材を持つ包装 (内装緩衝包装) の3種類の包装を供試し, 包装条件および振動条件が, 果実の振動特性と損傷特性に及ぼす影響について検討した。具体的には, 容器の中央の果実, 端の果実および容器の縁についてレーザ変位計を用いて加速度を測定するとともに, 振動台に対する加速度伝達率を測定した。また, 振動周波数が損傷特性に及ぼす影響について検討した。その結果, 包装条件によって, 周波数と加速度伝達率との関係が明らかに異なった。また, 1時間加振の場合, 容器の中央果実の加速度伝達率とイチゴ果実の損傷特性との間に高い相関関係が認められた (r2=0.75)。一方, 2時間加振では, 20-30Hzにおいて, 加速度伝達率と加振1時間における損傷性との関係から予想される損傷をはるかに超える損傷が発生した。これは, 加振中に, 振動特性もしくは損傷特性が変化したためと考えられるが, その解明については今後の課題である。