植物環境工学
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論文
ミニチュアローズ鉢物においてペンマン法で推定した蒸発散量に対するLAIを用いた補正方法の検討
于 文進荒井 健悟加藤 克彦今井田 一夫西村 直正李 蓮花福井 博一
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2007 年 19 巻 2 号 p. 74-80

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抄録
エブアンドフロー方式でのミニチュアローズの鉢物生産において, 気象要因を用いて推定した総葉面積とペンマン法による蒸発散位から蒸発散量を推定した. 実測した蒸発散量と総葉面積を用いて推定した蒸発散量との関係から, 推定値が実測値より大きな値を示し, LAIを考慮した総葉面積を用いて蒸発散量を推定する必要があった. LAIを用いて修正した葉面積とペンマン法による蒸発散位から求めた蒸発散量と実測した蒸発散量との間にはY=1.07X (R2=0.75)の有意に高い相関が認められ, 気温, 湿度, 日射量を用いて30分ごとの蒸発散量をある程度推定できた. しかし, ピンチ後の10日間の生育が劣っている時期やLAI>2.8のシュートの生育が旺盛な時期では蒸発散量の推定値が実測値と大きく異なる場合が認められ, 蒸発散量推定式の精度を低下させていた. 鉢内土壌の水分量とpF値との間には有意な相関がみられ, 潅水点pF2.1の鉢内土壌水分量は93.0 ml pot-1であった. 鉢土の圃場容水量はミチュアローズの生育や栽培時期の影響を受けず210.0 ml pot-1で一定であり, 潅水点までの総蒸発散量は117.0 ml pot-1と推定できた. 本研究の結果から, ミニチュアローズの鉢物生産における蒸発散量をある程度予測できる可能性が示唆されたことから, 気温, 湿度, 日射量などの気象データに基づいた潅水点の予測が可能であるかもしれない.
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© 2007 日本生物環境工学会
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