農地に飛来する海塩粒子の観測手段としてのACM(Atmospheric Corrosion Monitor)センサの有効性を明らかにするために,北部九州(諫早市および佐賀市)の2地点において,ACMセンサと気象観測用センサにより,付着塩分量(S),相対湿度(RH),大気圧(P),風速(WS)等の観測を行った.諫早および佐賀に設置したACMセンサの出力電流値(I)は,2~3ヶ月に1度の頻度で行ったセンサ交換のたびに,10-5 μAのオーダーから上下変動しながら徐々に上昇した(Fig. 4).両地点のSもIと類似した変動パターンを示したが,佐賀の場合とは異なるSの急上昇が,諫早において3度観測された.そのうちの2度は,台風接近時であったため(Fig. 6),強風により海塩粒子が飛来した可能性が示唆された.また,農地に飛来する海塩粒子が表層土壌の塩分濃度に与える影響を評価するために,TDR(Time Domain Reflectometry)センサにより,深さ5 cmの誘電率(ε)および電気伝導度(σb)を観測した.先述の3度のSの急上昇時を含め,本研究の観測期間内に間隙水の電気伝導度(σw)の著しい上昇は認められず,概ね同一水準で推移することが確認された(Fig. 7).農作物への被害も報告されていないことから,本研究の観測期間における海塩粒子の飛来量は軽微であり,TDRセンサで検知できるような塩分濃度の上昇は起こらなかったことが明らかになった.