膵臓
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症例報告
主膵管内へ進展をきたした膵漿液性嚢胞腺腫の1例
山元 隆文大山 宗士海江田 衛川井田 啓介菰方 輝夫東 美智代米澤 傑
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2010 年 25 巻 2 号 p. 138-145

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抄録

今回,主膵管内へ進展を呈した膵漿液性嚢胞腺腫の1例を経験した.症例は82歳,男性.前医にて急性膵炎の精査中に膵頭部に充実性腫瘍を指摘され,精査目的にて紹介となった.腫瘍は約2cm大で,造影CT早期相で造影効果を示し,後期相でwash outした.CPR構築像やMRCPでは膵頭部主膵管に狭窄と思われる不明瞭な所見を認めた.EUS,IDUSでは比較的高エコーパターンを呈した腫瘍と,腫瘍の一部が主膵管内へ突出,進展している所見が認められた.主膵管進展を呈した膵腫瘍の診断にて,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術が施行された.病理組織学的には腫瘍は増生した繊維性間質を伴った微小な嚢胞で構成され,漿液性嚢胞腺腫と診断された.腫瘍は主膵管を圧排し,管腔内への突出,進展も認められた.過去に主膵管内進展を呈した膵漿液性嚢胞腺腫の報告例はなく,非常に興味深い症例と思われた.

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© 2010 日本膵臓学会
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