日本は平均寿命,高齢者数,高齢化のスピードにおいて世界一の超高齢社会といわれている.総務省統計局による2023年度9月時点での推計人口においても65歳以上人口が3,623万人(総人口の29.1%)となり,未曾有の超高齢社会となっている.その一方で海外の多数の臨床研究や,本邦の全国調査研究においても,急性膵炎の発症年齢は経年的に上昇している.臨床現場でも高齢者の急性膵炎診療を経験する機会が増えている.高齢者に発症する急性膵炎は胆石性膵炎が多く,重症化しやすく,死亡率が高いことが示されている.胆石性膵炎に対する早期のERCPの適応や,胆石・胆管結石に対する根治処置であるERCP/ESTや胆嚢摘出のタイミングを中心に,高齢者膵炎の特徴や治療成績に関するエビデンスをまとめたい.
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