膵臓
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特集 膵切除後の合併症とその対策
  • 里井 壯平, 鈴木 康之
    2019 年 34 巻 4 号 p. 123-124
    発行日: 2019/08/25
    公開日: 2019/09/24
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  • 佐田 尚宏
    2019 年 34 巻 4 号 p. 125-127
    発行日: 2019/08/25
    公開日: 2019/09/24
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    膵臓の切離・再建に伴う合併症は外科手技,手術機器が進歩した現在でも難治であり,膵切除術後合併症を如何に逓減,根絶するかは現代の膵臓外科医にとって最も重要なテーマである.膵切除術の合併症のなかで,最も難治なのは膵液瘻(pancreatic fistula)で,2005年BassiらInternational Study Group on Pancreatic Fistula Definition(ISGPF)がpostoperative pancreatic fistula(POPF)の定義を提唱し,手術成績評価の標準化が進んだ.本邦では学会・研究会を母体とした多施設共同研究,National Clinical Database(NCD)登録データを用いたコホート研究が行われるようになってきたが,膵液瘻をはじめとした膵切除術の合併症は,未だ解決されていない今日的な課題であり続けている.

  • 小林 良平, 廣野 誠子, 山上 裕機
    2019 年 34 巻 4 号 p. 128-137
    発行日: 2019/08/25
    公開日: 2019/09/24
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    膵切除後の膵液瘻は,腹腔内膿瘍や腹腔内出血といった重篤な状態につながる最も注意が必要な合併症である.これまで多くの研究がなされ,術後膵液瘻の危険因子が報告されている.これらを用いて,膵切除術の手術適応や周術期管理法の決定がなされている.また,新術式の開発が多くなされたが,未だ術後膵液瘻を完全には予防できておらず,今後もさらなる術式の開発が必要である.術後管理において,膵液瘻予防を目指した臨床試験が多くなされ,特にドレーンの早期抜去は,Grade B/Cの膵液瘻の頻度を低下させることが証明された.さらに,膵液瘻による腹腔内膿瘍や腹腔内出血に対しても,内視鏡的治療やangiographic embolizationの技術が向上したため,その死亡率は低下している.膵液瘻を予防するために,今後さらなる手術技術や術後管理の向上・開発を行い,その有用性を証明する大規模な臨床研究が必要である.

  • 竹山 宜典
    2019 年 34 巻 4 号 p. 138-143
    発行日: 2019/08/25
    公開日: 2019/09/24
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    膵頭十二指腸切除術後に起こる胃内容排出遅延は致命的合併症ではないが,在院日数の延長や補助化学療法の施行にも影響する術後合併症である.特に幽門輪温存膵頭十二指腸切除術の普及に伴い顕在化し,これまで多くの解析がなされてきた.その結果,現在でも全患者の20~25%に合併すること,幽門輪温存よりも亜全胃温存の方が起こりにくく,再建術式では,Billroth II,Roux-en-Y,Billroth Iの順で起こりにくいことが判明している.さらに,胃空腸吻合の経路は前結腸経路が後結腸経路よりも起こりにくく,Billroth II再建ではBraun吻合を追加した方が起こりにくいことが報告されている.ただし,どの方法を行っても,一定の確率で起こりえるので,個々の症例に応じた対応が重要である.

  • 山本 智久, 里井 壯平, 山木 壮, 廣岡 智, 松井 陽一, 井上 健太郎, 関本 貢嗣
    2019 年 34 巻 4 号 p. 144-149
    発行日: 2019/08/25
    公開日: 2019/09/24
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    膵切除術後の合併症率は低減傾向にあるが,出血性合併症は時に致死的となる重篤な合併症の一つである.特に,膵頭十二指腸切除術後の胃十二指腸動脈断端からの出血の頻度が高く,予防には膵液瘻のコントロールと肝円索や大網による動脈の被覆が重要である.止血処置はIVRが第一選択であるが,肝動脈塞栓術(TAE)では肝機能障害や肝膿瘍が併発する可能性があり,末梢血流が維持可能なステントグラフト留置による止血の有用性が報告されている.また,膵全摘後の胃出血は,胃うっ血が一因となるため胃流出静脈の温存が重要である.術式および周術期管理の工夫によって予防に努めると共に,術後出血が疑われた際は迅速かつ正確に診断し,適切な止血処置を行うことが必要である.

  • 中村 広太, 赤堀 宇広, 庄 雅之
    2019 年 34 巻 4 号 p. 150-156
    発行日: 2019/08/25
    公開日: 2019/09/24
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    近年の周術期管理の進歩にも関わらず,膵頭十二指腸切除術の術後合併症の頻度は未だに高く,胆道系合併症もしばしば経験する.術前減黄による胆道内細菌叢の変化や,胆管空腸吻合による腸内細菌の胆道系への逆流は,術後胆管炎の原因となる.胆管炎は術後早期のみならず,術後長期経過例にも発症し,時に悪性疾患術後の補助化学療法の施行,再発後の化学療法継続に影響する.再発性,難治性の胆管炎では,胆管狭窄と関連し,経過中に肝内結石を発症する事がある.術後胆管狭窄,肝内結石に対する治療法として,経皮経肝胆道穿刺的または内視鏡的経路によるステント留置や,手術療法等がある.各手法により成功率,合併症率に差異があるため,各処置の利点,欠点を考慮し,各施設で最良の治療法の選択を行うべきである.また,術後肝膿瘍では,重篤な経過を辿る可能性があるため,早期診断,早期治療介入が最も重要であると考えられる.

  • 加藤 宏之, 水野 修吾, 岸和田 昌之, 伊佐地 秀司
    2019 年 34 巻 4 号 p. 157-165
    発行日: 2019/08/25
    公開日: 2019/09/24
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    膵癌をはじめとする膵切除症例の増加とその予後の改善に伴い,膵切除後の消化吸収,栄養障害,脂肪肝などが近年,注目されている.膵頭十二指腸切除(PD)では膵頭部と十二指腸が切除され,消化管再建が加わることにより消化吸収形式が術前から大きく変化し栄養障害をきたす.またPD術後では,膵外分泌機能不全,低栄養,下痢が原因となり高率に脂肪肝すなわちNAFLD(nonalcoholic fatty liver disease)が発症し場合によってはNASH(nonalcoholic steatohepatitis)に移行することがあるため,膵酵素剤を中心とした積極的な栄養療法を行うことが重要である.膵体尾部切除(DP)では膵切除量に伴い術後栄養障害を来すことがありPD後と同様の治療が必要である.また,膵全摘(TP)症例は周術期並びに遠隔期においても,糖質を中心とした栄養管理が重要であるが,高齢患者や術前より栄養不良が認められるような患者においては術後栄養管理に難渋することがあり,根治性を損なわない限りにおいて,残膵を温存する膵頭側亜全摘(proximal subtotal pancreatectomy:PSTP)を考慮する必要がある.

  • 須藤 広誠, 岡野 圭一, 鈴木 康之
    2019 年 34 巻 4 号 p. 166-171
    発行日: 2019/08/25
    公開日: 2019/09/24
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    膵性糖尿病は膵β細胞からのインスリン分泌量の絶対的な低下という点では,2型糖尿病と異なる病態であり,膵全摘術後では1型糖尿病と類似した病態になる.しかし,膵切除術後は手術侵襲や膵外分泌機能低下などにより低栄養状態に陥りやすく,さらに膵α細胞からのグルカゴン分泌も低下あるいは枯渇しているため,通常の糖尿病よりも血糖値の変動が大きく,インスリン補充により低血糖に陥りやすい特徴がある.こうした病態により膵性糖尿病の血糖管理には難渋することが多いとされている.

    特に膵全摘術後は,現在の管理においても血糖値が大きく変動しやすいことが多く,血糖調整の難度の高さが示されている.膵性糖尿病の病態の理解を深め,適切な術後管理を行う必要がある.

症例報告
  • 柿本 忠俊, 三浦 修, 松岡 功治, 竹尾 幸子, 鴨打 周, 岡﨑 幸紀, 藤原 純子
    2019 年 34 巻 4 号 p. 172-180
    発行日: 2019/08/25
    公開日: 2019/09/24
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    症例は64歳,男性.黄疸で受診,膵頭部に30mm大の結節像を認め,膵頭部癌の診断で膵頭十二指腸切除術を施行した.術後病理結果は浸潤性膵管癌(pT2,pN0,pM0 pStage II)であった.術後S-1単独療法を開始したが,術後4か月目に肝S7に20mm大の結節像を認め,肝転移と診断しFOLFIRINOX療法に変更した.しかし好中球減少・重度の下痢を認めたためgemcitabine(以下GEM)+nab-Paclitaxel(以下nab-PTX)併用療法に変更した.その後肝S7転移巣は消失したが肝S6に新たに転移巣を認め,陽子線治療(64Gy)を施行した.その後もGEM+nab-PTX併用療法を計16コース施行し,術後36か月目のPET-CTで転移巣消失を確認し化学療法を終了した.術後55か月が経過した現在も無再発である.膵癌術後肝転移をきたすも集学的治療が奏効し長期生存を得た症例は稀と考え,報告する.

  • 関根 匡成, 眞嶋 浩聡
    2019 年 34 巻 4 号 p. 181-187
    発行日: 2019/08/25
    公開日: 2019/09/24
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    症例は38歳,女性.検診の腹部超音波検査にて膵腫瘍が指摘され,当院を受診した.CTで膵頭部に早期濃染する腫瘍が指摘された.MRIでは腫瘍はT1強調画像で低信号,T2強調画像で高信号,拡散強調画像で拡散の低下を認めた.超音波内視鏡では,膵頭体移行部の門脈近傍に14mm大の境界明瞭,辺縁整で内部は均一な低エコー腫瘤を認め,造影では早期に強い濃染像を認めた.腫瘍に対してEUS-FNAを施行し,膵神経内分泌腫瘍の診断となった.膵頭十二指腸切除を施行し,病理結果は,HE染色でZellballen Patternを呈し,免疫染色で介在する支持細胞ではS100陽性であった.最終診断はparagangliomaとなった.Paragangliomaは,画像診断上,神経内分泌腫瘍との鑑別が困難である.穿刺の際には急激な血圧上昇を惹起する可能性があるため,検査前の鑑別を行うことは勿論,施行時に血圧の急激な上昇に備える必要がある.

  • 安田 剛士, 保田 宏明, 江口 大樹, 竹田 善哉, 伏木 邦博, 小野澤 由里子, 片山 政伸, 田中 基夫, 馬場 正道, 重松 忠
    2019 年 34 巻 4 号 p. 188-194
    発行日: 2019/08/25
    公開日: 2019/09/24
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    60代,女性.皮膚黄染を主訴に受診.半年前に右副鼻腔悪性黒色腫に根治切除術の施行歴があった.来院時の腹部造影CTでは膵頭部を中心に多発する最大25mmの遷延性濃染を示す腫瘤を認め,悪性黒色腫の転移再発が疑われた.原発巣はメラニン産生性であり,その転移巣であればMRIのT1強調画像で高信号を呈すると想定されたが,膵腫瘤は低信号を呈していた.膵頭部病変に超音波内視鏡下穿刺吸引生検(EUS-FNA)を施行し,転移性のメラニン非産生性悪性黒色腫と診断に至り,MRI所見と解離した理由が推察された.治療方針決定のための遺伝子変異検査は,検体量が十分な原発巣切除検体で行ったが,選択された薬剤の効果は認められず,転移巣では原発巣と異なる遺伝子変異の存在が示唆された.

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