膵臓
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追悼企画
特集 グローバルな視点からみた膵疾患update
  • 丹藤 雄介, 福嶋 敬宜, 高折 恭一
    2021 年 36 巻 4 号 p. 206
    発行日: 2021/08/31
    公開日: 2021/08/31
    ジャーナル 認証あり
  • 高折 恭一
    2021 年 36 巻 4 号 p. 207-211
    発行日: 2021/08/31
    公開日: 2021/08/31
    ジャーナル 認証あり

    日本膵臓学会の事業として,国内外の関連学術団体との連絡及び協力は,膵疾患研究の成果を国内外に発信し,さらに発展させていくうえで非常に重要である.日本膵臓学会は,国際膵臓学会やアメリカ膵臓学会との合同大会開催,学会機関誌の膵臓とPancreasの出版,Pancreatologyとの連携を通じて,国際交流に貢献してきた.一方,若い世代の研究者による個人レベルでの国際交流が,将来の国際共同研究の発展に不可欠である.現時点ではCOVID-19の感染拡大により国際交流の機会が損なわれているので,国際膵臓学会との合同大会をはじめとする日本膵臓学会の活動を通じて,次世代の研究者の国際交流を支援していきたい.

  • ―国際コンセンサスと課題―
    能登原 憲司
    2021 年 36 巻 4 号 p. 212-219
    発行日: 2021/08/31
    公開日: 2021/08/31
    ジャーナル 認証あり

    膵炎の病理診断の現状,問題点について,グローバルな比較を含めて考察した.自己免疫性膵炎(AIP)には国際コンセンサス診断基準(ICDC)があり,本邦AIP臨床診断基準2018もそれに準拠しているが,生検診断を考慮したため,組織所見は一部異なっている.さらに,今後増加する膵生検に対応するため,本邦ではAIPの生検診断のためのガイダンスが公表されている.2型AIPの診断的所見はgranulocytic epithelial lesion(GEL)であるが,本来は小葉間膵管にみられる所見で,生検で採取される小葉内の病変をGELと呼んでよいかコンセンサスはない.慢性膵炎国際コンセンサスガイドラインの組織病理についてのガイドラインが公表され,現状の慢性膵炎組織診断についての問題点が病理医の合意として表明されている.解明すべき課題として,早期慢性膵炎の病理像や無症候性線維化との鑑別方法などがある.

  • ―国際的コンセンサスと課題―
    福嶋 敬宜
    2021 年 36 巻 4 号 p. 220-225
    発行日: 2021/08/31
    公開日: 2021/08/31
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    腫瘍の治療方針決定に大きな影響を与え得る病理診断は,先人達の経験や知見が蓄積された分類や基準によって構築されている.膵領域では,膵癌取扱い規約分類やWHO分類,AFIP分類,UICC分類などを代表とするが,これらに付随して,膵管内腫瘍に関するボルティモア・コンセンサス,膵癌術前治療後の病理組織学的評価に関するアムステルダム・コンセンサスなども国際的な影響力を持つ.さらに,病理診断や評価をどのように臨床現場に伝えていくかについての病理診断報告書の国際標準化の動きとしてICCR(International Collaboration on Cancer Reporting)とWHOの新プロジェクトがある.本稿では,病理診断に関する国際的な分類や基準の作成過程に焦点を当てるとともに,そこに至る過程や背景として,国際交流やネットワーク形成の重要性についても述べる.

  • 辻 喜久, 佐藤 健太
    2021 年 36 巻 4 号 p. 226-232
    発行日: 2021/08/31
    公開日: 2021/08/31
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    近年,急性膵炎の治療に関するガイドラインが各国から発表されている.そこで本稿では,①最近10年以内(2010~2020年)に発行されたもの,②英語で書かれているもの,③国内外の医学会・学会が発行したもの,④GRADEシステムを採用しているもの,以上①~④にて収集された8つのガイドラインでの推奨度とエビデンス評価の相同に関して比較検討した.7つの主要項目に分けられた31の項目について,27の項目については概ね一致したが,4つの項目で不一致が認められた.しかし,詳細に記述を確認すると一概に不一致と言い切れない部分もあった.推奨が分かれる一つの原因は十分なエビデンスがないことであり,実際に項目内でもエビデンスの質の評価が大きく分かれていることが見て取れた.以上から,今後,新しい精度の高いエビデンスが蓄積されるにつれ,ある程度推奨度も統一されていくと考えられた.

  • ―共通点と相違点―
    丹藤 雄介
    2021 年 36 巻 4 号 p. 233-237
    発行日: 2021/08/31
    公開日: 2021/08/31
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    本稿では,日本における慢性膵炎診療の国際化の現状を探る.日本への旅行者や国際会議に渡航する人の数は,COVID-19のパンデミックの下で減少しているが,医療の国際化の状況は不変である.慢性膵炎の管理のためには民族的・文化的背景,社会経済学の状況,食事行動など,多くの側面の違いを理解することが重要である.慢性膵炎の管理に関する最近発表されたいくつかの国際的なコンセンサスガイドラインは,合併症のリスク要因低減とスクリーニングに焦点を当てている.私たちは,これらのガイドラインを十分に理解して,この病気を管理する必要がある.加えて,日本を訪れる外国人の慢性膵炎患者の診療にもさまざまな点で留意が必要である.

  • ―次期改訂に向けて―
    大塚 隆生, 田中 雅夫
    2021 年 36 巻 4 号 p. 238-244
    発行日: 2021/08/31
    公開日: 2021/08/31
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    2022年に本邦で開催される国際膵臓学会にあわせて膵管内乳頭粘液性腫瘍(intraductal papillary mucinous neoplasm of the pancreas:IPMN)国際診療ガイドラインの3回目の改訂作業が行われる予定である.改訂される可能性がある以下のポイントについて述べた.①形態分類:混合型の定義と意義の確認,②組織亜型分類:好酸性細胞型の独立,③悪性診断:上皮内癌の表記法,④悪性を疑う所見(high risk stigmataとworrisome features)のアルゴリズムでの位置づけ:超音波内視鏡(EUS)による評価の位置づけ,⑤悪性を疑う所見(high risk stigmataとworrisome features)の内容:結節高基準の再検討,⑥分枝型の経過観察法:併存通常型膵癌を考慮した経過観察法の提唱,⑦IPMN切除後の残膵経過観察:非腸型IPMN切除後の残膵通常型膵癌発症と主膵管型IPMN切除後の膵管内播種機序による残膵再発.

  • 奥坂 拓志
    2021 年 36 巻 4 号 p. 245-250
    発行日: 2021/08/31
    公開日: 2021/08/31
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    『膵癌診療ガイドライン2019』と『NCCNガイドライン(膵癌)2021年 第2版』との間には作成方法や推奨内容を含めて様々な相違がある.ガイドラインを作成する際に採用されているエビデンス(科学的根拠)はかなりの部分が共通である一方,医療保険上の政策や制度をはじめとする医療を取り巻く環境の違いや,エビデンスのもととなる臨床試験がどこで実施されたかによって,エビデンスの解釈に強弱が生まれ,これらが両ガイドラインに相違が生じる一因になっていると考えられた.我々はそれぞれの環境下において最も推奨される医療の検討が必要であり,各国の状況に応じたガイドライン作成は今後も重要と考えられた.

  • ―グローバルな動向と日本が進むべき道―
    海野 倫明
    2021 年 36 巻 4 号 p. 251-256
    発行日: 2021/08/31
    公開日: 2021/08/31
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    膵癌の治療成績は未だに不良であり,治療成績向上は急務である.手術前に化学療法または化学放射線療法を行う術前補助療法は,コンプライアンスが高いという特徴があり,膵癌の集学的治療の一翼を担うようになりつつある.欧米においても本邦と同様に,切除可能膵癌・切除可能境界膵癌に対する術前治療や,切除不能膵癌に対するコンバージョン手術が広く行われるようになりつつある.これまで高いエビデンスが無い領域であったが,近年,切除可能膵癌・切除可能境界膵癌に対する術前治療のエビデンスが世界中で創出されている.なかでもPrep02/JSAP05試験は,切除可能膵癌に対する術前治療の有用性を世界で初めて明らかにした.しかしながら膵癌の治療は満足すべきものではなく,レジメンの改良や手術適応を判断するためのバイオマーカーの探索などの臨床研究が進んで行くものと思われる.

症例報告
  • 佐々木 善浩, 池山 佳輔, 上條 孟, 慶徳 大誠, 石坂 俊二, 柴田 勇, 大野 志乃, 川村 紀夫, 小野 圭一, 一ノ瀬 嘉明, ...
    2021 年 36 巻 4 号 p. 257-265
    発行日: 2021/08/31
    公開日: 2021/08/31
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    46歳男性.直腸癌,特発性血小板減少症に対して開腹高位前方切除術と脾臓摘出術を施行したが,術後の膵液瘻を認めた.膵管ステント留置等の治療により改善したが,後に膵液瘻の再発と腹腔内膿瘍を認めた.従来の治療では難治が予想され,ERPにて膵液瘻が描出されたため,経乳頭的にコイル塞栓術と膵管ステントを留置した.その後に経皮的にn butyl-2-cyanoacrylate(NBCA)の注入を行い,膵液瘻の上流·下流から挟み込むように塞栓を施行した.ERCP後膵炎を認めたが,保存的治療で軽快した.直腸癌の再発と,後に膵液瘻の再発が疑われ,手術となった.難治性の膵液瘻に対する治療法として有効性と安全性につき今後検討が必要である.

  • 松尾 洋一, 林 香月, 上田 悟郎, 加藤 知克, 青山 佳永, 大見 関, 林 祐一, 今藤 裕之, 齊藤 健太, 坪井 謙, 森本 守 ...
    2021 年 36 巻 4 号 p. 266-273
    発行日: 2021/08/31
    公開日: 2021/08/31
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    症例は79歳男性.検診で膵腫瘤を指摘され,精査目的で当院へ紹介となった.血液検査で血清ガストリンの高値を認めたが,腫瘍マーカーは基準範囲内であった.CTで膵体部に8mm大の造影早期相で動脈と同程度に濃染する腫瘤を認め,後方視的検討により,4年前に比べて増大していることを確認した.動脈瘤を疑い腹部血管造影検査を施行したところ,動脈瘤は否定的で充実性多血性腫瘍が疑われた.EUSでも同様の所見で,生検も考慮したが出血の可能性を危惧して施行しなかった.診断と治療を目的に膵体尾部切除術を施行した.腫瘍では,異型を伴わない血管内皮細胞様細胞が大型の血管腔を形成しつつ増殖しており,免疫染色所見もあわせて膵海綿状血管腫と病理診断した.膵血管腫はまれな疾患であり,本邦報告例とともに概説する.

  • 奥野 充, 向井 強, 岩田 翔太, 手塚 隆一, 冨田 栄一
    2021 年 36 巻 4 号 p. 274-280
    発行日: 2021/08/31
    公開日: 2021/08/31
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    症例は77歳男性.アルコール性慢性膵炎にて通院中であったが,膵頭部主膵管内の膵石陥頓に伴う閉塞性膵炎を発症し入院となった.経乳頭的膵管ドレナージを試みたが,膵石陥頓のため不成功であり,超音波内視鏡(EUS)下経胃的膵管ステント留置術を施行した.胃膵管瘻孔形成後に膵石破砕目的にてESWLを行ったところ膵石は消失し,最終的に膵管ステント留置は不要となった.術後1年以上,膵石再発を認めていない.経乳頭的治療が困難な閉塞性膵炎を伴う膵石症例に対して,EUS下経胃的膵管ステント留置およびその後のESWLは治療選択の1つとして有用である.

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