症例は84歳,男性.膵頭部に膵癌と膵石を認め,胆管狭窄に対しFCSEMSを留置し外来経過観察であった.発熱や血圧低下のため救急搬送され,採血結果で膵酵素は正常範囲内で炎症反応は高値であった.CTにて主膵管拡張の増悪を認め膵周囲の炎症はあるものの膵実質の腫大は乏しかった.以上より急性閉塞性化膿性膵管炎が疑われた.膵頭部に膵癌と膵石が存在し,胆管にFCSEMSも留置中であったため,経乳頭ではなくEUSによる膵管ドレナージを企図した.胃内より十二指腸下行部での内視鏡操作がより安定していたため,下行部より19 Gで膵管穿刺後に7 Frのplastic stentを用いてEUS-PDを施行した.その後は速やかに炎症反応や発熱は改善した.回収した黄白色調の膵液からEnterobacter cloacaeが検出された.
急性閉塞性化膿性膵管炎に対して経胃ではなく経十二指腸的EUS-PDが奏効したため報告した.