日本大腸肛門病学会雑誌
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VIII Rectoceleの診断とその治療
東 光邦隅越 幸男岩垂 純一小野 力三郎黄田 正徳山本 清人吉永 栄一奥田 哲也中村 一夫
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キーワード: 便秘
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1990 年 43 巻 6 号 p. 1094-1097

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抄録

rectoceleは直腸ヘルニアの一つで, 直腸膣中隔の脆弱化によって直腸壁が腔側にポケット状に突出するような病態であり, 女性の排便障害, ことに便秘, 残便感の原因の一つとなるものである.わが国では排便障害の原因としてとらえられることは少なく, 婦人科において子宮脱に伴う一つの合併症としてとらえられているようである.われわれは直腸に起因する排便障害をとらえるために, defecography (注腸排便造影) を行いrectoceleを診断し治療を行っている.診断は画像診断上容易であり, 努責時に膣側へ突出した直腸前壁をとらえることができる.突出の程度はさまざまであり, 必ずしも訴えと平行しない場合もあり, またいくつかの直腸肛門の合併症を有する揚合が多い.治療はまず保存的に行うこととするが, 改善の見られない揚合は手術的に行っている.手術は脆弱となった直腸膣中隔を経膣的あるいは経肛門的に補強することであり, 術後数箇月は強い “いきみ” を控えさせることが肝要である.

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