Academic Collaborations for Sick Children
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特集 小児がん治療後のQOL-妊孕性温存の最先端研究-
小児がん男児の妊孕性温存~超微小血管外科技術を用いた精巣移植・精巣凍結の可能性~
コラボレーション: 超微小血管外科*癌治療後QOL
Samanpachin Kanit中川 毅史野口 修平三原 誠
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2009 年 1 巻 1 号 p. 16-19

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抄録

 昨今、若年女児の医原性不妊症を回避するための妊孕性温存を目的として、未受精卵凍結、卵巣凍結の研究が進んできているが、その一方で若年男児に関しては、精子凍結技術の発達からあまり大きな問題とされていない。しかしながら、思春期前若年男児においては、精子形成が未熟なため精子を採取することができず、未だ妊孕性温存の治療法は開発されていない。今回我々は、思春期前小児癌男児の妊孕性温存を目的とした血管付精巣移植実験モデルを開発し、ラット精巣動静脈の血管吻合が現実のものとなった。さらに、マウス精巣組織を磁場環境下凍結技術によって凍結し、既存の凍結方法よりも組織破壊が減少できることを見い出した。超微小血管外科技術と精巣凍結技術の応用によって、精巣の長期保存と移植研究の道を切り開いた。

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© 2009 日本学術連携医学会
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