2013 年 50 巻 6 号 p. 740-743
メンタルヘルスが政策的観点から注目されている.精神疾患は,がん,脳卒中,急性心筋梗塞および糖尿病に続き,医療計画上の5疾病目に2013年4月から追加された.都道府県では,地域医療計画を推進していくこととなる.身体疾患と精神疾患との合併の増加により,患者情報は精神科医療と非精神科医療の関係者で共有され,保健医療制度のなかでのコーディネーションが推進される必要がある.統合されたシステムにおいて,メンタルヘルスの理解が深まることにより,精神科医療へのアクセスの改善が期待できる.がん,循環器病,糖尿病,成育医療,長寿医療および精神・神経疾患を所管する6つの国立高度専門医療研究センターでは,2012年度から「うつ」のスクリーニングと管理に焦点をあてた共同ケア開発プロジェクトを開始した.メンタルヘルスケアを一般保健医療に統合するこの取り組みは,身体疾患を有する高齢患者のメンタルヘルスの改善に寄与するであろう.