日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
高齢者における顕微鏡的多発血管炎の臨床的検討
青木 昭子黒岩 義之石ヶ坪 良明
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2003 年 40 巻 2 号 p. 142-146

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抄録

高齢者の顕微鏡的多発血管炎 (MPA) における症状, 所見, 治療反応性を検討した. 対象は65歳以上のMPA4人 (平均77.3歳, 全例女性: 高齢群) と, 64歳以下のMPA4人 (平均44.7歳, 男性2例: 非高齢群). 高齢群の4例は, 全例他院から不明熱や膠原病疑いにて紹介され, 初回入院から治療開始までの期間が長い傾向にあった. 経過中に認められた症状は2群に差はなかった. 診断のため非高齢群の4例, 高齢群の1例で腎生検が施行され, 半月体形成性腎炎が証明された. 高齢群の3例では神経, 筋生検が施行され, 神経周囲または筋肉内の血管に壊死性血管炎が証明された. 血清MPO-ANCAは7例 (87.5%) で陽性であった. 治療として高齢群においても3例で副腎皮質ホルモンとシクロフォスファミドパルス療法 (IVCY) の併用が選択された. 高血圧, 高脂血症, 糖尿病, 骨粗鬆症, 消化管出血, 日和見感染などの副作用は2群で差はなかった. 非高齢群の2例がうっ血性心不全, CYCによる肝障害により死亡したが, 他の6例は寛解中である.

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