地層が堆積した時代の水文情報が封入されている可能性がある霞ヶ浦湖底の難透水性完新世粘土堆積物を対象に,2地点にてオールコアボーリングを行い,コア間隙水の水質や珪藻化石を用いて,霞ヶ浦の水文状況の変遷に関する復元を試みた。その結果,コア間隙水には堆積当時の古汽水成分が残っており,間隙水は古海水・表流水・地下水の三つの端成分から構成されていた。また,コア間隙水のプロファイルの違いにより2地点の水文環境が異なることが分かった。湖岸に近いSiteK-1は地表水だけでなく地下水の影響を受けやすい環境であるのに対し,湖心付近のSiteK-2は地下水の影響はほとんど受けない環境であったと考えられる。