地下水学会誌
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巻頭言
創立60周年記念特集「地下水学の未来」
論説
資料
特集「山岳地域の水文地質学-世界の水源を供給する地下水の重要な役割-」
論説
  • 世界の河川の源流を支える地下水の役割
    林 正貴
    2020 年 62 巻 1 号 p. 43-58
    発行日: 2020/02/28
    公開日: 2020/04/08
    ジャーナル フリー

    高山源流域の湧水は山岳地帯の川の基底流を維持するので,水性生物の生息環境,水力発電,下流域の水資源供給などに重要である。崖錐,モレーン,岩石氷河などの高山地形要素は主要な帯水層であるが,地質状況によっては基盤岩の帯水層も存在する。高山の一次,二次流域の地下水貯留流出特性は個々の帯水層の大きさや分布によって決まり,それが大規模河川の基底流特性を支配する。類似した高山地形要素は類似した水文地質学的性質を持つことを考えると,地質や地形条件に応じて共通の枠組みを使って世界各地の高山帯水層の性質を理解することができる。このような手法は大規模河川の水文モデルの地下水特性を変数化するのに有効だと考えられる。

論文
  • -メタン系炭化水素(アルカン類)に関する急性毒性評価-
    杉田 創, 駒井 武
    2020 年 62 巻 1 号 p. 59-73
    発行日: 2020/02/28
    公開日: 2020/04/08
    ジャーナル フリー

    ガソリンは,石油系炭化水素による土壌汚染の代表的な物質である。本研究では,ガソリンの主成分であるメタン系炭化水素(アルカン類:n-ペンタン~n-ドデカン)に着目して発光バクテリアを用いた急性毒性試験を実施した。そして,アルカンの炭素数間での発光バクテリアに及ぼす急性毒性影響の違いについて検討を行った。

    メタノール溶媒を伴わない100 vol%のアルカンを検液とした試験では,発光バクテリアの相対発光強度比に及ぼすアルカンの影響はかなり小さく,バクテリアが疎水性であるアルカン類を吸収できなかったと思われるため,アルカンの急性毒性を明確には評価できなかった。一方,メタノールに溶かしたアルカンを検液とした試験では,有意な結果を得ることができた。炭素数が高いアルカンほど,また濃度が高いほど相対発光強度比が一定値になるまでに掛かる時間が長くなった。アルカンの種類に関わらず,全体的には,アルカン濃度が高いほど相対発光強度比は低くなった。相対発光強度比に及ぼすアルカン濃度の影響は,炭素数が高いアルカンよりも炭素数が低いアルカンの方が強くなる傾向が見られた。これは,炭素数が高いアルカンほど発光バクテリアに及ぼす急性毒性影響に関する反応速度が低くなることを推量させた。それゆえ,本試験条件においてアルカンに関する急性毒性評価を行う場合,反応時間30分よりも60分のデータを使用することが望ましいと思われる。また,ガソリンなどのように混合成分から成る物質の急性毒性影響は,それらに含まれている単成分の特徴を強く反映していることが本研究によって示唆された。

技術報告
  • 杉田 創, 小熊 輝美, 張 銘, 原 淳子, 川辺 能成
    2020 年 62 巻 1 号 p. 75-87
    発行日: 2020/02/28
    公開日: 2020/04/08
    ジャーナル フリー

    陰イオン交換基として第四級アンモニウムカチオン-N(CH3)3を有する市販の陰イオン交換樹脂カラムを用いて,亜ヒ酸-ヒ酸分離手法に関する研究を行った。そして,無機ヒ素の価数分離を行う際の最適条件の選定及び共存する陰イオンの影響について実験的に検討した。亜ヒ酸とヒ酸の第一解離定数に基づいた計算によって,ヒ素(As)の価数分離に最適な検液のpHは4.3~7.1と見積もられた。このpH 範囲内に調整された検液を本カラムに通液すると,亜ヒ酸は陰イオン交換樹脂に吸着されないが,ヒ酸は吸着されるため,検液中のAs を適切に価数分離できることが実証された。また,陰イオン交換樹脂に吸着したヒ酸は,HCl あるいはHNO3の使用によって容易にほぼ全てを回収することができた。さらに,As の回収率に及ぼす共存陰イオンの阻害影響の強さは,CH3COO<<Cl<NO3<SO42-であることを明らかにした。本研究で提案する亜ヒ酸-ヒ酸分離手法は,本試験条件において,実験誤差6%程度で亜ヒ酸及びヒ酸を良好に分離回収できることが示された。

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