地下水学会誌
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特集「越後平野の恵み 地下水資源活用の知恵」
資料
  • 関谷 一義, 坂東 和郎
    2026 年68 巻2 号 p. 151-158
    発行日: 2026/05/31
    公開日: 2026/08/31
    ジャーナル オープンアクセス

    越後平野の新潟市周辺では,1950年代後半に臨港部において浸水被害が広がった。その原因は,水溶性天然ガス開発による地下水揚水にあるとみられていたが,原因論争が続き科学技術庁資源調査会による結論が出たのは1960年になってのことである。この間に,新潟市坂井輪地区で1年間に53.7 cmの沈下が観測されるなど,地盤沈下は深刻化する。地下水採取の規制については,1959年以降に制限や停止が段階的に進められ,1973年には地下水の地上排水が全面的に停止される。これによって,新潟市周辺の地盤沈下は沈静化した。 新潟市,長岡市,水溶性天然ガス,地盤沈下,地下水採取規制

技術報告
  • 小酒 欽弥, 藤野 丈志, 近藤 芳博
    2026 年68 巻2 号 p. 159-166
    発行日: 2026/05/31
    公開日: 2026/08/31
    ジャーナル オープンアクセス

    雪国では,道路や屋根に積もった雪を融かす手段として有効かつ安価であることから,地下水を利用した消雪パイプが広く普及している。一方で,冬期の地下水利用が涵養量を大きく上回り,渇水による井戸枯れだけでなく,地盤沈下の発生要因にもなっている地域がある。消雪パイプ発祥の地である長岡市は,消雪パイプの普及とともに地下水位低下,および一部地域での地盤沈下が問題となっている。そこで,近年の地下水位状況として長岡市の消雪パイプ用井戸の増加に伴う地下水位低下の実態を明らかにすることを目的として分析を行った。分析結果から,2002年から2022年の間に消雪井戸本数が16%増加し,それに伴い同じ降雪量でも地下水位が大きく低下していることが確認された。このため,長岡市では節水のソフト対策として節水ルールの作成,地下水位の見える化,パトロールなどの対応を行い,消雪機器メーカーでは節水機器の開発・普及に取り組んでいる。今後は節水機器の導入や地下水を使わない地中熱などを用いた融雪施設などの普及が進み,雪国の生活を守りながら地下水を持続可能な資源としていくことが望まれる。

  • 堀川 達智
    2026 年68 巻2 号 p. 167-172
    発行日: 2026/05/31
    公開日: 2026/08/31
    ジャーナル オープンアクセス

    1940年代後半から新潟地区において鉱業用水溶性天然ガスの開発が活発化し,1958~1959年に水溶性天然ガスの生産量および同時に揚水されるガス付随水の地上排水量がピークに達したが,同時期に地盤沈下が顕在化した。その後,鉱業用水溶性天然ガスは地上排水が全面的に禁止され,以降は汲み上げた地下水を全量還元する操業形態へ転換した。この全量還元方式による操業実績は50年以上に及び,操業に関係する深度区間の地層収縮を抑制する有効な手段であることが,各種モニタリングにより実証されたことから,新潟県との協議を経て2021年より新規開発地域における操業を開始した。今後も安心安全で持続可能な水溶性天然ガスの開発を目指していくことが求められる。

論文
  • 安原 由子, 徳永 朋祥, 森川 徳敏, 李 盛源, 高橋 正明, 鈴木 秀和, 安原 正也
    2026 年68 巻2 号 p. 173-189
    発行日: 2026/05/31
    公開日: 2026/08/31
    ジャーナル オープンアクセス

    関東山地北縁部とその周辺の温泉水について,水質や希ガス同位体などのマルチトレーサーを用いて温泉水の起源を検討した。その結果,本地域全域で温泉水にスラブ起源水が混入していることが示唆された。特に群馬県南西部の火成岩地帯や中央構造線の南側など,中央構造線の周辺ではスラブ起源水の寄与が大きいことが確認された。中央構造線付近でスラブ起源水の寄与が大きいという結果は,西南日本における既存研究のそれと同様であった。一方,厚い海成堆積岩が分布する高崎市や安中市,富岡市では,主に化石海水や続成流体が温泉水の形成に重要な役割を果たしていると考えられる。

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