2013 年 66 巻 3 号 p. 188-193
症例は28歳男性.内科的治療抵抗性のため,二期分割手術の第1期手術として,大腸全摘・J型回腸嚢肛門吻合術・回腸人工肛門造設術を施行した.第9病日にストーマの排出障害が原因のイレウスをきたしたが治療により症状は改善した.第12病日からストーマ周囲の強い疼痛を訴えストーマ周囲および手術創に急激な潰瘍形成を認め,壊疽性膿皮症と診断した.漸減していたプレドニンゾロンを再び増量し30mg/日を投与した.イレウスに関しては同様の症状が再発することを繰り返していた.第57病日に腸管穿孔による汎発性腹膜炎を併発したため,緊急でストーマ閉鎖術を行った.なおこの時,壊疽性膿皮症はほぼ軽快していた.術後は手術創も含め特に問題なく経過し軽快退院となったが,現在は回腸嚢炎で外来加療中である.激しい疼痛を伴う急速進行性の潰瘍を認めた際は,感染を否定した上で壊疽性膿皮症を疑い,早期診断と治療が重要である.