日本作物学会紀事
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AEを利用した土壌中の根端位置の非破壊計測
下田代 智英稲永 忍
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2006 年 75 巻 3 号 p. 405-408

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抄録

植物の根は個体を支持し,生育に必要な養水分の吸収をするという重要な役割を果たしている.これらの機能は根系の構造や分布,さらには根系を形成している個々の根の生育と密接に関係していると考えられる.そのため,土壌中における根系形成や個々の根の生育過程を把握することを目的として,様々な根の成長の非破壊計測法が開発されてきた(Böhm 1979).実験室レベルでの土壌中の根の非破壊計測法としては,根箱法など透明な壁面に沿って生育する根を観察する方法があるが,この種の方法では観察する壁面と根との境界が特殊な環境となるため,インタクトな状態の根を観察しているとは限らない.また最近では,中性子ラジオグラフィー(中西1995),NMR(Bottommlyら1993)なども利用されるようになっており,土壌中の根をインタクトに近い状態で把握できるようになってきたが,これらの方法では経時的な観察や測定が必ずしも容易ではない.このように,土壌中の根の生育を非破壊的に継続して計測することは困難である.ここでは,根が伸長する際に発生する音響パルス(AEパルス)に注目した根端位置の非破壊計測法について紹介する.

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© 2006 日本作物学会
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