日本作物学会紀事
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研究論文
栽培
  • 福嶌 陽
    2026 年95 巻1 号 p. 1-9
    発行日: 2026/01/05
    公開日: 2026/02/10
    ジャーナル フリー

    水稲の減窒素栽培において多収と高品質を同時に達成することを目指して,良食味のハイブリッド品種「ハイブリッドとうごう3号」(以下,とうごう3号),インド型品種「オオナリ」,日本型品種「日本晴」を用いて,2023年は多窒素と減窒素の条件,2024年は減窒素の中の前期型減肥と後期型減肥の条件において,乾物生産と収量・品質を調査した.多窒素条件で多収であった品種は,減窒素条件でも多収であった.出穂20日後,出穂40日後において,全乾物重に品種間差異は認められなかったが,穂重は「オオナリ」,「とうごう3号」が「日本晴」より有意に重かった.粗玄米重は「オオナリ」≧「とうごう3号」>「日本晴」の順であったが,「オオナリ」はくず米が多いため,精玄米重は「とうごう3号」≧「オオナリ」>「日本晴」の順となった.そして,「とうごう3号」は「オオナリ」より整粒歩合が有意に高かった.減窒素条件では,前期型減肥より後期型減肥は,僅かに多収であり,整粒歩合が有意に高かった.以上の結果から,減窒素栽培において多収と高品質を同時に達成するためには,「とうごう3号」が最適であり,後期型減肥が有望であると推察された.

  • 福嶌 陽, 澤田 寛子, 中嶋 健太
    2026 年95 巻1 号 p. 10-17
    発行日: 2026/01/05
    公開日: 2026/02/10
    ジャーナル フリー

    減化学肥料型の大規模な水田輪作体系の確立を目指して,窒素化学肥料の削減が可能なダイズ,および省力栽培が可能な子実トウモロコシを同一の圃場で栽培して,鶏ふん施用が両作物の生育・収量および土壌の化学性に及ぼす影響を調査した.ダイズ作においては,生育初期の土壌中の硝酸態窒素は鶏ふん区が化学肥料区,無肥料区より多く,それとは反対に,根粒量は鶏ふん区が化学肥料区,無肥料区より少なかった.トウモロコシ作においては,鶏ふん区は化学肥料区より生育初期の土壌中の硝酸態窒素がやや多く,これに伴い,絹糸抽出期の窒素吸収量がやや高かった.しかし,施肥法の差異はダイズやトウモロコシの収量にほとんど影響を及ぼさなかった.以上の結果から,ダイズ作では鶏ふんの施用あるいは無肥料によって,トウモロコシ作では鶏ふんの施用によって,化学肥料の施用と同等の収量を維持できることが示された.土壌中の化学成分の肥料などによる搬入と子実による搬出から推定すると,窒素,リン酸,カリは,ダイズ作の無肥料区で減少し,トウモロコシ作の鶏ふん区で大きく増加した.このことから,これらの作付けを組み合わせることが減化学肥料型の水田輪作体系に適していることが示唆された.

  • 松山 宏美, 澤田 寛子, 山脇 賢治, 福嶌 陽
    2026 年95 巻1 号 p. 18-27
    発行日: 2026/01/05
    公開日: 2026/02/10
    ジャーナル フリー

    パン用小麦 (Triticum aestivum L.) を水田転換畑で安定的に高品質で栽培する方法を確立するため,前作物の違いがパン用小麦品種「ゆめかおり」の収量と製パン適性関連形質に及ぼす影響を調査するとともに,施肥体系の効果について検討した.大豆後小麦は水稲後小麦より多収で,子実タンパク質含有率とSDS沈降量が多く,製パン適性が高いと示唆された.大豆後,水稲後ともに,開花期の窒素追肥によって子実タンパク質含有率とSDS沈降量が増加し,子実タンパク質含有率とSDS沈降量の関係は大豆後と水稲後で異ならなかった.このことから,いずれの前作でも追肥によって子実タンパク質含有率を高めれば製パン適性は同程度に向上すると推測された.加えて,容積重と子実灰分含有率も大豆後小麦と水稲後小麦で異ならず,前作を1作のみ畑作物である大豆としただけでは製パン適性の改善は限定的であった. また大豆後小麦では,長稈化による倒伏が発生し,倒伏による子実灰分含有率の上昇が見られる場合や,窒素施肥量の多い栽培では子実タンパク質含有率が基準値の上限を上回ってしまう場合があることも示された.大豆後圃場でのパン用小麦栽培においては,倒伏防止と子実タンパク質含有率の制御の観点から,水稲後圃場より窒素施肥量を抑制する必要があると考えられた.

  • 浅見 秀則, 中村 哲也
    2026 年95 巻1 号 p. 28-35
    発行日: 2026/01/05
    公開日: 2026/02/10
    ジャーナル フリー
  • 加藤 誠, 高橋 行継, 大橋 晃市, 大山 龍之介
    2026 年95 巻1 号 p. 36-47
    発行日: 2026/01/05
    公開日: 2026/02/10
    ジャーナル フリー

    近年のコメ生産をめぐる環境が大きく変化する中,省力・低コスト化のニーズに応える生産技術が求められている.高密度播種は播種量の増加から育苗箱使用数が減少し,育苗箱全量基肥は接触施肥の特性から施肥基準と比べて10~40%減肥が可能である.これら二つの技術融合により経営改善効果に期待できるものの,健苗育成面から専用肥料の充填量は増加させざるを得ないところに技術的な課題が生じる.そこで,本研究では健苗育成と収量・品質の面から播種量と育苗箱全量基肥施肥による減肥率を検討した.専用肥料「苗箱まかせ」N400‐100と水稲品種「あさひの夢」を供試し,乾籾播種量を密苗250 gと標準160 gに設定し,20%減肥の密苗20区,40%減肥の密苗40区,充填なしの密苗培土区,慣行区を比較した.育苗完了時の密苗20区と密苗40区は草丈11.7~16.7 cmであった.また,苗1本あたりの地下部乾物重は苗充実度が低下しつつも,高密度播種による単位面積あたりの地下部乾物重の増加によりマット強度13~56 Nと概ね機械移植が可能な範囲であった.収量において密苗20区は密苗40区よりも有意に高く,穂数を高く維持して3~71 g m–2の増収となった.玄米タンパク質含有率と玄米アミロース含有率において密苗40区は密苗20区よりもそれぞれ0.1~0.3ポイント,0.1~0.4ポイント低かった.以上のことから,二つの技術融合は健苗育成が可能であり,収量では密苗20区,玄米成分品質では密苗40区が優れることが示された.

  • 今井 康貴, 服部 誠, 土田 徹, 古川 勇一郎, 佐藤 徹, 南雲 芳文, 宮本 託志, 大竹 憲邦
    2026 年95 巻1 号 p. 48-53
    発行日: 2026/01/05
    公開日: 2026/02/10
    ジャーナル フリー

    胴割れは玄米の胚乳部分に亀裂が生じる現象で,多発すると検査等級低下や食味の低下等に与える影響が大きい.近年は,各地で発生が確認されており,対策が急務であるものの,発生要因が十分に解明されていない.そこで,本研究では作期を複数設定することで,様々な気象条件下での胴割粒の発生推移を調べ,立毛上で発生する胴割れの気象的要因を明らかにすることを目的とした.出穂後の気温と胴割れの関係については,出穂後15日間最高気温の平均値と出穂後積算気温800℃,900℃時点での軽微胴割粒率との間に高い相関が見られ,出穂後の気温が高いと成熟期前に軽微な胴割粒が発生することが示唆された.また,重胴割粒は籾水分が22%以下になると多発する傾向がみられた.籾水分22%以下の条件では,全胴割粒率および重胴割粒率と最大FTP(蒸散強制力)との間に高い相関が見られ,最大FTP 40以上でそれらの胴割粒が多発する傾向が見られた.

  • 鬼頭 誠
    2026 年95 巻1 号 p. 54-67
    発行日: 2026/01/05
    公開日: 2026/02/10
    ジャーナル フリー

    無施肥栽培したラッカセイの収穫残渣の施用に加えて,牛フンペレット堆肥を全層に1 kg/m2相当量施肥する全層施肥施区とソバ播種列に0.5 kg/m2相当量を条施肥する条施肥区を設けて,秋播きソバと春播きソバの栽培を4年間行ない,ラッカセイとソバの生育量と子実収量を標準量の化学肥料で栽培した化肥区と比較した.ラッカセイの生育量と子実収量は,4年間とも有意差はないものの化肥区にくらべて両堆肥区で大きくなった.秋播きソバを1 kg/m2の堆肥で栽培すると,秋ソバ栽培期間中に放出される窒素量とリン量は化肥区の施肥窒素と施肥リン以上であった.なお,両堆肥区の生育量と子実収量は化肥区と同程度であった.春播きソバ栽培期間では,ラッカセイ収穫残渣由来の窒素とリンなどの放出量が少なくなり,堆肥施肥だけで栽培した初年は,化肥区に比べて両堆肥区で生育量と子実収量ともに減少した.2年目からは堆肥に加えて,全層施肥区では化肥区の2/3量,条施肥区では1/2量の化学肥料の施肥を行った結果,全層施肥区で化肥区と同程度以上,条施肥区でも化肥区に近い生育量と子実収量が得られた.堆肥の連用は経年的な肥沃度の向上も認められ,播種時の可給態窒素は化肥区に比べて著しく多く,栽培期間中の無機態窒素含有率も収穫直前まで常に高く維持したと考える.

研究・技術ノート
  • 水田 圭祐, 諸隈 正裕, 豊田 正範
    2026 年95 巻1 号 p. 68-75
    発行日: 2026/01/05
    公開日: 2026/02/10
    ジャーナル フリー

    Agroforestry system (AF) は,樹木間で作物栽培や家畜の飼育を行う農業体系であり,耕地利用効率や土壌肥沃度の向上をはじめとした様々なメリットがあるとされているが,日本国内での導入事例は極めて少なく,研究報告もない.本研究では,香川県の特産果樹であるオリーブと利用面で親和性の高いデュラムコムギを組み合わせたAFを2.5年間導入し,AFの導入が両作物の生育や土壌窒素・炭素におよぼす影響を検証した.デュラムコムギの収量は,2021/22年作期では129~268 g m–2であった.オリーブの樹高や枝張りは,AFの導入有無に関係なく同程度で推移した.土壌の全窒素含有量や可給態窒素含有量,有機態炭素含有量は2.5年間のAF導入では土壌深度に関係なく多くならなかった.以上の結果から日本におけるAFの短期間導入では,果樹に影響を与えずに樹間で作物を収穫できることによる耕地利用効率の向上が主なメリットとなることが明らかとなった.一方で,AFを導入したオリーブ園は通常管理と園内の植生が異なるためか,2022/23年には獣害によって収穫物を得られなかったことや,2作期目以降における雑草の地上部乾物重はAFを導入した区で非導入区に比べて1.5~2倍も重くなり,2023/24年には雑草害によって収穫物を得られなかったことから,雑草対策技術の導入や獣害のリスク検討が必要であることも示された.また,土壌窒素・炭素はAFの短期間導入では高まらなかったが,2023年11月における20–40 cm深の土壌ではAFを導入した区で全窒素含有量が46%多くなる傾向があったことから,長期連用の効果についても検証していく必要があると考えられた.

  • 大久保 和男, 安藤 裕二
    2026 年95 巻1 号 p. 76-84
    発行日: 2026/01/05
    公開日: 2026/02/10
    ジャーナル フリー

    本研究は,岡山県で広く栽培されている日本めん用コムギ「ふくほのか」の多収・高子実タンパク質含有率を実現するため,生育後期重点施肥の効果を明らかにし,最適な施肥時期や窒素施用量について検討した.総窒素施用量を慣行施肥(基肥と分げつ肥の重点的な窒素施用)と同じとし,基肥と分げつ肥の窒素を削減して茎立期に重点的な窒素施用をする生育後期重点施肥を行うと,慣行施肥に対して最大で1割程度の増収効果が確認できた.しかし,子実タンパク質含有率は慣行施肥よりは高いものの,日本めん用コムギの基準値である9.7%以上には達しなかった.そこで,止葉抽出期に窒素を追加施用したところ,施用量が多いほど有効穂数,地上部風乾重,収穫指数が増大し,出穂期以降の1か月間は最上位展開葉のSPAD値が高水準で維持され,整粒収量が増加した.また,止葉抽出期の窒素の追加施用により,子実タンパク質含有率は基準値の9.7%以上となった.これらのことから,基肥と分げつ肥の窒素施用を控え,茎立期と止葉抽出期に窒素を重点的に施用する生育後期重点施肥を行うと,「ふくほのか」の多収と高子実タンパク質含有率を両立できると考えられた.

  • 石川 哲也, 吉永 悟志, 清水 ゆかり, 内藤 貴通, 内藤 純子
    2026 年95 巻1 号 p. 85-90
    発行日: 2026/01/05
    公開日: 2026/02/10
    ジャーナル フリー

    多様な品種を幅広い作期で作付している大規模稲作経営体において,栽培管理が収量や品質に及ぼす影響を「見える化」するため,網羅的に収集した圃場別データセットを利用してグラフを作成するWebアプリケーションを,R言語のshinyパッケージを利用して作成した.営農データとして,茨城県南部で大規模稲作を展開する農業生産法人において,2019年から2024年までのべ1149圃場の栽培管理データを収集した圃場別データセットを使用した.ユーザーが本アプリケーションを実行し,表示したい収量や屑米重量比率などの「生産力指標」を選択してから,さらに年次や品種を選択すると,絞り込まれたデータに基づくグラフがリアルタイムで表示される.グラフの種類は,1) 「生産力指標」の階級分布図と,2) 収穫日あるいは3) 合計窒素施肥量と「生産力指標」との散布図であり,品種や圃場の立地ブロックが塗り分けや記号の形により区別して表示される.収穫日の表示範囲は,経営全体における位置づけを明確にするため固定し,「生産力指標」と合計窒素施肥量は選択した品種に応じた範囲にズームすることで,差をより明確に表示できる.これらの「見える化」を通じて,収集した栽培管理データが「生産力指標」に及ぼす影響をユーザーが把握しやすくなり,問題点への気づきが容易になることが期待される.経営体の営農計画立案者のような特定少数のユーザーが本アプリケーションを利用する場合,R言語をインストールしたコンピュータの所定のフォルダに,ソースコードとデータファイルをコピーして実行する.

  • 赤木 浩介, 吉田 ひろえ, 近藤 始彦
    2026 年95 巻1 号 p. 91-98
    発行日: 2026/01/05
    公開日: 2026/02/10
    ジャーナル フリー

    高知県酒米品種「吟の夢」の玄米品質に対して適正な登熟期間の平均気温は23.6℃以下であることを前報において示した.本研究では,登熟期間の平均気温が23.6℃以下となる各生産地域の移植期を出穂予測モデルとメッシュ農業気象データを用いて推定した.高知県農業技術センター水田圃場 (南国市) で実施した3カ年計14作期の作期移動試験の結果から,推定誤差 (RMSE) 1.2日の「吟の夢」出穂予測モデルをDVR法により作成した.このモデルを高知県内の気象条件の異なる3カ年計17点の現地データに適用した場合でも,RMSEは3.3日であった.このモデルとメッシュ農業気象データを用いて,各生産地域の代表地点における平年の登熟期間平均気温が23.6℃以下となる最初の移植日 (移植早限日) を算出し,現在の移植盛期と比較したところ,8つの地域で移植早限日より移植盛期が早いことが分かった.また,平年の日平均気温が15℃以下となる初日の前日までに成熟期を迎える最後の移植日 (移植晩限日) を算出し,移植早限日と比較したところ,移植晩限日より移植早限日が遅い地域はなかった.さらに,作期移動試験における移植日と収量および蛋白質含有率の関係から試算した各地域における移植早限日の収量および蛋白質含有率の移植盛期に対する比は,それぞれ93~108%,102~111%であったものの,同生産額比は98~128%,「吟の夢」における蛋白質含有率の目標基準値7.3%を超える地域は1地域のみであった.

    以上より,「吟の夢」の検査等級や蒸米酵素消化性といった玄米品質の向上に対して,どの地域でどの程度,移植時期を現在より遅くすれば良いか推定することができた.また,移植時期を移植早限日まで遅くすることが望まれる地域において,早限日に移植した場合でも,低温による登熟不良は回避でき,生産額や蛋白質含有率への影響は軽微である可能性が示唆された.

  • 鬼頭 誠
    2026 年95 巻1 号 p. 99-103
    発行日: 2026/01/05
    公開日: 2026/02/10
    ジャーナル フリー

    緑肥等の有機質肥料による窒素の緩効化の効果を明らかにするために,緩効性窒素肥料を用いたソバの栽培試験によって茎葉重,子実重およびそれらの窒素含有率を調査した.窒素肥料として尿素のみ(LP0),尿素と緩効性窒素肥料を各半量(LP1/2)および緩効性窒素肥料のみ(LP1)の3試験区を設定した.播種23日後ではLP0で生育量が大きかったが,播種68日後の収穫時では生育量はLP1/2とLP1で大きくなり,特に葉重はLP1/2で有意に増大した.収穫時のSPAD値はLP0よりLP1/2とLP1で有意に大きく,光合成能が高く維持されていたと考えられた.収穫期まで窒素供給量が多いLP1/2とLP1では、子実重および剥き実の窒素含有率がLP0より高くなった。その要因として,LP1/2とLP1では側枝数と花房数が多くなること,結実率が高く花房当たりの子実数が多くなったこと,さらに子実千粒重と剥き実率が有意に高くなったことが複合的に影響したと考えられる.

  • 佐々木 壱, 北畠 拓也, 松井 俊樹, 黒瀨 大地, 梶田 路津子, 山木 理央奈, 松本 奈緒子, 飛谷 淳一, 志賀 聡, 林 怜史, ...
    2026 年95 巻1 号 p. 104-116
    発行日: 2026/01/05
    公開日: 2026/02/10
    ジャーナル フリー

    インゲンマメに対する微量要素の増収効果を明らかにするため,細粒質普通疑似グライ土の江別,淡色アロフェン質黒ボク土の帯広の2地点において,ホウ素と亜鉛を含む肥料の施用試験(試験1) および5段階のホウ素施用量試験 (試験2) を実施した.2地点ともに栽培前の土壌の熱水可溶性ホウ素と可溶性亜鉛は土壌診断基準値以下または下限値に近い含有率であった.試験1において無処理区に対する増収効果は, 品種と年次を平均するとFTE区 (く溶性ホウ素),アグリエース区 (く溶性ホウ素,亜鉛),水溶性区 (水溶性ホウ素,亜鉛)それぞれ12,9,14%であった.資材中の亜鉛の有無による収量の差がみられず,収穫後の土壌の微量要素含有率と収量の間には,ホウ素のみ有意な正の相関関係がみられることから,増収効果はホウ素の吸収量の増加に由来すると考えられた.江別,帯広それぞれホウ素施用量360~720 g /10 a,720 g/10 aの時,収量はピークになり,1080 g/10 a以上の施用量では減収した.無処理区に対して,最適施用量時の増収は主として節数の増加,1080 g/10 a以上の施用区における減収は,主として一節莢数の低下,さらに1440 g/10 aの施用区では一莢内粒数の低下も関与した.江別では1080 g/10 a以上,帯広では1440 g/10 aの施用区において収穫後のホウ素含有率が土壌の土壌診断基準値の上限1.3 ppmを上回った.両試験を通してホウ素360~720 g/10 a程度の施用がインゲンマメの増収に有効であり,この施用量であれば過剰障害を危惧する蓄積量ではなく,3~4年の輪作体系の中でインゲンマメに施用し続けても問題はないと考えられた.

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