日本作物学会紀事
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栽培
収穫時期の異なる年2回収穫栽培における飼料用サトウキビ品種KRFo93-1の 生育および収量
境垣内 岳雄樽本 祐助服部 育男丸山 篤志寺内 方克松岡 誠服部 太一朗田中 穣石川 葉子寺島 義文
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2015 年 84 巻 1 号 p. 41-48

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抄録

飼料用サトウキビ品種KRFo93-1の年2回収穫における最適な収穫時期を明らかにするため,収穫時期の異なる処理区を設けて,その収量性ならびに雑草抑制など生育の安定性について検討した.処理区として7−5月区,8−5月区,9−5月区,10−5月区を設けて,新植から株出し5回目までの3年間にわたり試験を実施した.各処理区とも年間乾物収量に有意差は認められなかったが,3年間の平均値では8−5月区ならびに9−5月区の年間乾物収量が最大で3.89 kg m-2であった.10−5月区の2番草では,株出し後の被植程度が高まる前に冬が来たため雑草が繁茂した.一方,7−5月区や8−5月区では越冬前には被植程度が高かったことから,雑草の生育を抑制していた.以上のように乾物収量ならびに耕種的な雑草抑制を考慮すると,本報の設定では5−8月区が最適な収穫時期と判断された.また,株出しでの結果をもとに乾物収量の予測式について検討した.この結果,乾物収量は有効積算温度(有効温度の下限値は14.3℃)を説明変数とするゴンペルツ曲線Y=6.21 [0.0154exp(−0.00113 X)]で回帰され,決定係数はR2=0.892であった.このように簡易な指標である有効積算温度で乾物収量を推定できることから,この回帰式は農業現場での収穫作業スケジュールの策定などでの活用が期待される.

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© 2015 日本作物学会
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