2007 年 110 巻 9 号 p. 629-634
頭頸部扁平上皮癌の病期診断に際して, FDG-PET施行159例とFDG-PET/CT施行116例の診断能を検討した. 原発巣・頸部リンパ節転移・遠隔転移について, FDG-PETもしくはFDG-PET/CTからの画像診断結果と臨床診断結果を比較検討した. また両検査による頸部リンパ節転移の診断能も検討した. 両検査ともに, 原発巣・頸部リンパ節転移・遠隔転移の精度は80%超で, 頸部リンパ節転移陰性と診断した症例の陰性的中率は90%超であった. FDG-PETで頸部リンパ節転移陽性と診断された症例の陽性的中率は78%, FDG-PET/CTでは82%であった. FDG-PETで頸部リンパ節転移単発と診断された症例の陽性的中率は63%であり, 比較的低いと考えられた. 両検査は頭頸部扁平上皮癌の病期診断において高い診断能があり, 今後FDG-PET/CTの普及に伴って高い診断能を有するスクリーニング検査になる可能性があると考えられた. しかし, 両検査は全身の悪性腫瘍画像ではなく全身の糖代謝分布画像である. 少なからず偽陽性や偽陰性例が存在することに常に留意しなければならない.