日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告
冠動脈バイパス術後の大動脈弁狭窄症に対し,PORT ACCESS 右小開胸アプローチにて大動脈弁置換術を施行した1例
徳田 貴則村上 貴志山田 有紀山本 剛大谷 悟
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2012 年 41 巻 6 号 p. 320-322

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抄録

冠動脈バイパス術後の大動脈弁狭窄症に対し,右小開胸アプローチにて大動脈弁置換術を施行した患者を経験したため報告する.症例は81歳男性.当院で9年前に冠動脈バイパス術を施行した.以後,1年に1度経過観察されていた.外来受診時に労作時呼吸困難感の増強を訴えられ,心エコーにて大動脈弁口面積の狭小化,大動脈弁圧較差の上昇,三尖弁閉鎖不全症などを認めたため,手術目的に入院となった.冠動脈バイパス術後の胸骨正中切開ではグラフト損傷の可能性があり,高齢,ADL低下,軽度の認知症などのリスクから低侵襲手術が望ましいと考えられたため,右小開胸アプローチにて大動脈弁置換術(Carpentier Edwards Perimaunt弁19 mm)を施行した.術後経過は良好で,術後9日目に施行した心エコーでは術前LVEF 53%が75%まで左室機能の改善を認め,平均大動脈弁圧較差は8 mmHgであった.術後12日目に退院した.PORT ACCESSによる右小開胸アプローチは,冠動脈バイパス術後のredoの大動脈弁狭窄症手術に対して有効な選択肢のひとつであると考えられた.

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