日本心臓血管外科学会雑誌
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巻頭言
原著
  • 曹 宇晨, 小出 昌秋, 國井 佳文, 立石 実, 渡邊 一正, 奥木 聡志, 新堀 莉沙
    2021 年 50 巻 4 号 p. 225-230
    発行日: 2021/07/15
    公開日: 2021/08/03
    ジャーナル フリー

    [目的]外傷性胸部大動脈損傷(BTAI ; blunt traumatic thoracic aortic injury)に対する治療の第一選択は開胸手術(OR ; Open repair)から胸部大動脈ステントグラフト内挿術(TEVAR ; thoracic endovascular aortic repair)へ移りつつある.当院におけるBTAIに対するORおよびTEVARの短期・中期成績を比較・検討する.[方法]2001年3月から2019年8月までに当院で手術を行ったBTAI 18例についてOR群とTEVAR群に分けて後方視的に検討した.[結果]OR群7例(38.9%),TEVAR群11例(61.1%).平均年齢 : OR群62.0±15.2歳,TEVAR群61.8±21.3歳,平均手術時間(他科手術を除く):OR群 444±145分,TEVAR群 65±14分(p<0.001),平均術中出血量:OR群 2,787±1,578 ml,TEVAR群 210±376 ml(p<0.001),平均術中輸血量:OR群 5,042±2,219 ml,TEVAR群 929±751 ml(p<0.001),平均ヘパリン投与量:OR群 20.3±4.1 ml,TEVAR群 7.9±8.5 ml(p<0.01).術後30日死亡:OR群 28.6%(2/7),TEVAR群 0%(0/11)(p=0.14).TEVAR群で術後にエンドリーク 0例,対麻痺 1例,両側小脳梗塞1例を認めた.平均ICU滞在期間,平均在院期間,自宅退院率,中期全死亡率,中期再介入率(平均観察期間42.0±56.9カ月)に関して両群に有意差を認めなかった.[結論]TEVAR群はOR群と比較して有意に手術時間が短く,術中出血量・輸血量・ヘパリン投与量が少なかった.TEVAR群の手術成績は良好であり,BTAIに対する第一選択として妥当と考える.

症例報告
[先天性疾患]
  • 村上 優, 大嶋 義博, 松久 弘典, 日隈 智憲, 松島 峻介, 長谷川 翔大, 和田 侑星
    2021 年 50 巻 4 号 p. 231-234
    発行日: 2021/07/15
    公開日: 2021/08/03
    ジャーナル フリー

    症例は38歳男性.右室型単心室症,肺動脈狭窄,左上大静脈遺残に対して2歳時にoriginal Blalock-Taussig shuntが施行された.38歳時に感染性心内膜炎に罹患し,精査にて硬膜動静脈瘻と径40 mmのBlalock-Taussig shunt瘤を認めた.心臓カテーテル検査と,心臓MRIにてグレン手術の適応と十分量の順行性肺血流を確認した上で,瘤切除および両側両方向性グレン手術を行った.退院時の経皮酸素飽和度は85%と良好であった.成人期のグレン手術に関する報告は少なく,手術適応,術後の低酸素血症に対し適切な評価と対策を要するため,文献的考察も含め報告する.

  • 内山 光, 古川 浩二郎, 福田 倫史, 平田 雄一郎, 恩塚 龍士, 田山 栄基, 森田 茂樹
    2021 年 50 巻 4 号 p. 235-239
    発行日: 2021/07/15
    公開日: 2021/08/03
    ジャーナル フリー

    冠動脈大動脈起始異常症は比較的稀な先天性冠動脈異常である.心筋虚血や心室性不整脈が問題となるが,初発症状が心停止である例が約半数との報告もある.しかし,かかる病態に対する手術適応や手術術式に関して不明な点も多い.今回,右冠動脈大動脈起始異常症に対して外科治療を行い良好な結果を得たので報告する.繰り返す胸部圧迫感を主訴とする47歳男性に精査を行ったところ,右冠動脈が左バルサルバ洞より分岐する右冠動脈大動脈起始異常症であった.血液検査,心電図,心臓カテーテル検査を含め客観的な心筋虚血所見を認めなかったものの,右冠動脈の比較的急峻な大動脈からの起始角度,両大血管間に挟まれた走行形態が胸部症状に関与している可能性と,突然死の可能性が否定できなかったため,手術の方針とした.手術は右冠動脈移植術を施行した.画像上良好な結果が得られ,術後一年の現在,胸部症状の再燃なく外来経過観察中である.

  • 山田 有希子, 山本 隆平, 鹿田 文昭, 岡村 達, 竹内 敬昌
    2021 年 50 巻 4 号 p. 240-243
    発行日: 2021/07/15
    公開日: 2021/08/03
    ジャーナル フリー

    症例は完全大血管転位症の男児で,頭蓋内出血と左室流出路狭窄のために適正時期である新生児期に大動脈スイッチ手術を施行できず,低酸素血症に対して生後5カ月時に姑息的にBlalock-Taussig手術を行った.しかしその後肺高血圧症が進行し,感染をきっかけに体肺短絡の右左シャントを生じるという稀な病態を生じた.右鎖骨下動脈に吻合したシャントのため,右上肢のSpO2と左上肢および下肢SpO2とに乖離を認めた.治療は感染症治療とともに昇圧剤で体血圧を上げ,肺高血圧症に対して酸素投与と一酸化窒素(NO)吸入療法を行い改善した.体血圧を超える高度肺高血圧症に対してもNO吸入療法は有効であり,またハイフローセラピーによるNO吸入も有用であった.その後1歳でSenning手術へ至ることができたため,報告する.

  • 小森 悠矢, 和田 直樹, 加部東 直広, 桑原 優大, 高橋 幸宏
    2021 年 50 巻 4 号 p. 244-247
    発行日: 2021/07/15
    公開日: 2021/08/03
    ジャーナル フリー

    症例は4歳10カ月男児,出生時心疾患の指摘なし.4歳3カ月時,停留精巣の手術の際,啼泣後にST低下を伴う心電図変化が続き精査の方針となった.心臓カテーテル検査では,心機能は良好,有意な大動脈弁逆流も認めなかったが,左冠尖の低形成を認めた.大動脈造影では,左冠動脈への順行性血流が乏しく,右冠動脈からの側副血管により逆行性に造影されていた.造影された左冠動脈自体には狭窄がなく,入口部に造影剤の貯留を認めていたため,弁尖による冠血流流入障害を考え,無症状ではあったが手術の方針となった.術中所見では,低形成の左冠尖が左バルサルバ洞を覆い隠すように大動脈壁に付着していることで,左冠動脈入口部への冠血流の流入障害を引き起こしていた.大動脈離断部から左冠動脈入口部直上にかけてパッチで拡大した.術後経過は良好であり,術当日に抜管した.翌日にはICUを退室した.術後経胸壁心エコーでは心機能は良好で,有意な大動脈弁逆流も認めず,左冠動脈の順行性血流も確認できた.POD11に退院した.術後半年で行った心臓カテーテル検査でも大動脈弁逆流は認めず,左冠動脈には有意な狭窄はなく,右冠動脈からの逆行性血流も消失していた.稀少な症例を経験したので報告する.

  • 西 俊彦, 山﨑 武則
    2021 年 50 巻 4 号 p. 248-251
    発行日: 2021/07/15
    公開日: 2021/08/03
    ジャーナル フリー

    部分肺静脈還流異常症の多くは心房中隔欠損症を合併する.今回われわれは成人期に発見された心房中隔欠損症を合併しない部分肺静脈還流異常症に対する手術例を経験したので報告する.症例は44歳男性,喀血を主訴に当院を受診した.検査の結果,左肺動脈欠損症により異常に発達した気管支動脈が喀血の原因であると判明し,気管支動脈塞栓術を施行した.その後の精査で右上肺静脈が上大静脈に還流する部分肺静脈還流異常症(Qp/Qs 3.33)および大動脈弁閉鎖不全症と診断した.喀血による緊急入院から約2カ月後にWarden変法,大動脈弁置換術を施行した.術後CTにて上大静脈および右上肺静脈の再建形態は良好であり,術後38日目に独歩退院した.

[成人心臓]
  • 迫田 直也, 吉田 英生, 川畑 拓也, 佐伯 宗弘, 藤田 康文, 柚木 継二, 久持 邦和
    2021 年 50 巻 4 号 p. 252-255
    発行日: 2021/07/15
    公開日: 2021/08/03
    ジャーナル フリー

    症例は67歳男性.57歳時に陳旧性心筋梗塞,労作性狭心症に対して冠動脈バイパス手術(CABG)を施行され,59歳時に収縮性心膜炎を発症した.心膜切除および心外膜切開を施行し,ePTFE心膜シートによる心膜補填を行った.術後経過は良好であったが,8年後に腹部膨満・浮腫が出現した.心エコー検査,カテーテル検査の結果,収縮性心膜炎の再発と診断され,再度手術を施行した.手術所見はePTFE心膜シートの表裏両面に硬い被膜が形成されており,シートと被膜を切除することで拡張障害が解除された.将来の再手術の可能性を考慮して施行したePTFE心膜シートによる心膜補填であったが,結果的にこれが原因で収縮性心膜炎の再発を来したものと考えられた.この経験から心膜補填の適応は慎重に検討されるべきであると考えられた.

  • 押領司 篤宣, 古野 哲慎, 高木 数実, 朔 浩介, 菊先 聖, 財満 康之, 庄嶋 賢弘, 高瀬 谷徹, 有永 康一, 田山 栄基
    2021 年 50 巻 4 号 p. 256-260
    発行日: 2021/07/15
    公開日: 2021/08/03
    ジャーナル フリー

    症例は67歳の男性,仕事中に心肺停止(Cardiopulmonary arrest : CPA)となり当院に搬送された.心肺停止蘇生後,冠動脈造影検査にて3枝病変を認めた.冠血行再建の適応があると判断されたが,神経学的予後が不明のためIMPELLA CP®を留置した後に低体温療法を含めた全身管理を行った.24時間後に復温を開始し,従命可能で,四肢麻痺がないことを確認できたため準緊急でIMPELLA CP®使用下に心拍動下冠動脈バイパス術を施行した.吻合操作中,血行動態は安定していた.神経学的異常なく,術後74日後に自宅退院となった.CPA蘇生後の重症虚血性心疾患にIMPELLA CP®,低体温療法での加療が有効であったので報告する.

  • 池田 諒, 日野 阿斗務, 森田 耕三, 浜崎 安純, 新浪 博士
    2021 年 50 巻 4 号 p. 261-264
    発行日: 2021/07/15
    公開日: 2021/08/03
    ジャーナル フリー

    症例は71歳男性.42年前の29歳時に大動脈弁閉鎖不全症,僧帽弁狭窄症に対してLillehei-Kaster弁(16A)を用いた大動脈弁置換術と僧帽弁直視下交連切開術を当科で施行した.術後より抗凝固療法の導入なく当院外来で経過観察されていたが,術後20年目に担当医の変更に伴い抗凝固療法が導入された.経過観察中に平均圧較差はおおむね40~60 mmHgで推移し,特にイベントなく経過していたが,2020年1月に肺炎を契機に生じた頻脈により起座呼吸や下腿浮腫などの心不全症状を認めたため入院となった.経胸壁心エコー検査で大動脈弁の圧較差の増大を認めたため,心不全加療後に大動脈弁再置換術を施行した.Lillehei-Kaster弁には劣化や構造変化はなく,弁の可動制限や血栓形成も認めなかったが,左室側にpannusの増生を認め,これが圧較差増大の原因と考えられた.Lillehei-Kaster弁の長期間経過後の再手術の報告は他になく,長期経過観察中の圧較差の推移を検討した報告もないため報告する.

  • 池田 陽祐, 齋藤 雄平, 角 尚紀, 石黒 眞吾, 添田 健, 中村 嘉伸
    2021 年 50 巻 4 号 p. 265-269
    発行日: 2021/07/15
    公開日: 2021/08/03
    ジャーナル フリー

    症例は69歳女性の維持透析患者.重症大動脈弁閉鎖不全症に対し,大動脈弁置換術を施行した.初回開心術であったが,上行大動脈が周囲組織と強固に癒着していた.しかし大動脈壁には炎症を疑わせる所見は認めず,大動脈弁尖の肥厚・短縮を認めた.切除した大動脈弁尖の病理所見では,膿瘍形成とその周囲での好中球・形質細胞・リンパ球の浸潤を伴う炎症性肉芽組織を認めた.大動脈弁の所見に加えて,腎障害,白内障,難聴を合併していたことから血管炎症候群や膠原病を疑い,術後に各種検査を行った.HLA-B52の陽性所見など,高安動脈炎に類似する病態は認めたものの,特定の疾患の診断には至らず,非特異性炎症性大動脈弁閉鎖不全症と診断した.術後炎症反応高値が持続していたことから,ステロイド内服を開始したところ,すみやかに炎症反応の低下が得られ,人工弁縫合部の離開などの合併症を起こすことなく経過している.非特異性炎症性大動脈弁閉鎖不全症に対してステロイド投与が有効と思われた症例を経験したので報告する.

  • 窪田 武浩, 新宮 康栄, 若狭 哲
    2021 年 50 巻 4 号 p. 270-273
    発行日: 2021/07/15
    公開日: 2021/08/03
    ジャーナル フリー

    大動脈弁原発の多発乳頭状弾性線維腫(papillary fibroelastoma : PFE)の摘出手術を経験したので報告する.症例は60代女性で生来健康であったが,動悸を主訴に近医を受診し紹介され当院循環器内科にて精査目的に入院.体表心エコーにて腫瘍を発見され,可動性腫瘤であることから,本人の手術希望もあり当科紹介となり摘出手術を行った.当初1個の腫瘍と考えていたが,長さ7 mmの左冠尖中央大動脈側に付着する有茎性腫瘤を摘出し,大動脈を閉鎖,心拍再開したところ,術中経食道エコーにて腫瘤が残存していることが判明した.再度心停止ののち観察すると,大動脈弁右冠尖の右冠尖-無冠尖commissure部心臓側に長さ6 mmの疣贅様可動性腫瘤1個と無冠尖の弁腹心臓側に約1.5 mmの棘様の腫瘤があり,いずれも大動脈弁からそぎ取るように摘出し大動脈弁を温存した.無冠尖の腫瘤が腫瘍である確証はなかった.病理学的にはこのいずれもがPFEであることが判明した.あたかもPFEの発育段階を追うような3つの腫瘍であった.再発することは非常に稀であることから,有茎性の場合は腫瘍をそぎ取り弁を温存することが可能とされる.しかしこの症例のように弁の表裏を丁寧に観察しなければ見逃していたことになる.疑わしければ切除することで再発による,新たな脳梗塞,心筋梗塞のリスクを回避し,再手術を回避できたと考えた.

  • 後竹 康子, 高橋 宏明, 殿城 秀斗, 杉本 貴樹
    2021 年 50 巻 4 号 p. 274-278
    発行日: 2021/07/15
    公開日: 2021/08/03
    ジャーナル フリー

    乾酪様僧帽弁輪石灰化(Caseous calcification of mitral annulus ; CCMA)は僧帽弁輪石灰化(Mitral annular calcification ; MAC)の1亜型で頻度の少ない疾患である.手術適応は明確ではないが,脳梗塞の危険性を考慮して手術が検討される.当院では短期間に3例の手術症例を経験し,腫瘤の切開ドレナージにより良好な結果を得た.3例はいずれも慢性腎不全患者であり,2例は透析患者であった.透析患者など動脈硬化が進行した患者において僧帽弁輪に腫瘤性病変を指摘された場合,CCMAも鑑別にあげ,適切な治療を判断する必要がある.

[大血管]
  • 永田 恵実, 五十嵐 崇, 佐戸川 弘之, 藤宮 剛, 新城 宏治, 石田 圭一, 横山 斉
    2021 年 50 巻 4 号 p. 279-282
    発行日: 2021/07/15
    公開日: 2021/08/03
    ジャーナル フリー

    症例は57歳男性.2週間以上持続した心不全症状を認め,経胸壁心臓超音波検査で左室のびまん性壁運動低下を認めた.うっ血性心不全の診断で内科的治療を開始したが,第5病日に施行した造影CT検査で大動脈基部から両側内腸骨動脈までに及ぶ偽腔開存型の大動脈解離を認めたため手術となった.術中所見から解離は亜急性期から慢性期のものと推察され,大動脈基部に及ぶ解離により左冠動脈血流が制限されて虚血性心筋症を発症し心不全を呈したと考えられた.合併症なく術後28日目に独歩退院した.大動脈解離に起因する冠血流障害によって虚血性心筋症を発症し,診断に難渋した1例について報告する.

  • 林 潤, 内田 徹郎, 黒田 吉則, 大塲 栄一, 水本 雅弘, 山下 淳, 中井 信吾, 小林 龍宏, 落合 智徳
    2021 年 50 巻 4 号 p. 283-286
    発行日: 2021/07/15
    公開日: 2021/08/03
    ジャーナル フリー

    Leriche症候群は腹部大動脈から腸骨動脈領域の閉塞性疾患で,虚血性心疾患を高頻度に合併する.冠動脈バイパスの重要なグラフトである内胸動脈が,下肢への重要な側副血行路となっていることが多く,内胸動脈の使用で下肢虚血増悪を惹起する可能性のあることが治療方針を決定する上で問題となる.血管内治療(EVT)の進歩はLeriche症候群の治療をも可能とし,虚血性心疾患を合併したLeriche症候群の治療戦略に新たな選択肢が加わった.今回われわれは,症例ごとに異なる戦略に基づいたテイラーメイド治療を3症例に行った.症例1は78歳の男性.EVTによる下肢の血行再建を先行し,冠動脈病変に対するカテーテル治療を施行した.症例2は72歳の男性.左下肢へのEVTを先行した.二期的に左内胸動脈を用いた冠動脈バイパス術およびEVTが困難であった右下肢への血行再建として大腿動脈-大腿動脈バイパス術を行った.症例3は63歳の男性.不安定狭心症と大動脈弁狭窄症を合併していたため,左内胸動脈を使用した冠動脈バイパス術と大動脈弁置換術を先行し,二期的に下肢の外科的血行再建を行った.Leriche症候群の治療にEVTという新たな選択肢が加わったことで,虚血性心疾患を合併した症例に対しても,低侵襲かつ効果的な治療が可能になると考えられた.

  • 守内 大樹, 鷲山 直己, 大箸 裕子, 津田 和政, 高橋 大輔, 山下 克司, 椎谷 紀彦
    2021 年 50 巻 4 号 p. 287-290
    発行日: 2021/07/15
    公開日: 2021/08/03
    ジャーナル フリー

    症例は50歳男性.4年前,急性A型大動脈解離に対し,他院で緊急上行大動脈置換術+冠動脈バイパス術が実施された.術後からLDH高値とヘモグロビンの低下が遷延し,術1年後に前医血液内科にて溶血性貧血と診断された.頻回な輸血を要し,前医から手術実施施設へ因果関係を照会されたが診断がつかず,当科へ紹介となった.造影CTの結果,上行大動脈人工血管に110度の高度屈曲を認め,溶血の原因と考えられた.カテーテル検査で同部位圧較差は60 mmHgであった.屈曲解除と遺残偽腔の血栓閉塞を期待して,再上行大動脈置換術+全弓部置換術+frozen elephant trunk手術を施行した.術後経過は良好で溶血は消失した.人工血管の高度屈曲は溶血の原因となり得るため注意が必要である.

NP紹介
各分野の進捗状況(2020年)
U-40企画コラム 心臓血管外科専門医制度
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