日本心臓血管外科学会雑誌
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巻頭言
原著
  • 青木 淳, 尾本 正, 丸田 一人, 益田 智章, 堀川 優衣
    2019 年 48 巻 4 号 p. 227-233
    発行日: 2019/07/15
    公開日: 2019/08/16
    ジャーナル フリー

    〔目的〕心臓弁膜症術後管理におけるトルバプタンの有用性を検討した.〔対象・方法〕対象は2017年2月から2018年に施行した心臓弁膜症手術症例中,慢性透析症例,再手術および緊急手術症例,術後主要合併症を生じた症例を除外した64例を対象とした.当院では,術中からカルペプチド0.0125 γの投与を開始し,内服薬としてフロセミド20~40 mg,スピロノラクトン25 mgを投与し,胸水貯留など対液量の管理に難渋した場合,トルバプタンを投与していた.2018年3月からトルバプタン7.5 mgを全例に投与し(T群32例),それ以前の32例(C群)と比較した.〔結果〕二群間に患者背景,手術内容,手術時間や術中水分バランスに有意差を認めなかった.T群では,2例で尿量過多,2例で肝酵素上昇のため,術後5日以内にトルバプタンを中止した.術後5日目までの尿量には有意差を認めず,両群とも術後1および2日目には体重が増加したが,術後3日目には術前値に復帰した.術後3日目,5日目,退院時の胸部レントゲンによる胸水貯留の評価では,いずれの時期でも,T群で胸水の貯留の頻度は有意に少なく,胸腔ドレナージの頻度は,T群3例(9.4%)に対してC群では14例(43.8%)とT群で有意に少なかった(p=0.004).〔結語〕心臓弁膜症の術後,トルバプタン7.5 mgを投与することは,尿量過多や肝機能の上昇に注意が必要であるが,胸腔ドレナージの頻度は激減し有用であると考えられた.

症例報告
[先天性疾患]
  • 日置 巌雄, 浦田 康久, 佐藤 友昭, 湯淺 右人
    2019 年 48 巻 4 号 p. 234-238
    発行日: 2019/07/15
    公開日: 2019/08/16
    ジャーナル フリー

    症例は63歳,男性.労作時呼吸困難,動悸で当院を受診した.心エコーにて,大動脈弁狭窄兼閉鎖不全症,僧帽弁・三尖弁閉鎖不全症,心不全の診断で入院加療.軽快後,術前検査として心臓カテーテル検査にて,右冠動脈入口部の閉塞を認め,偶然,大動脈弁下左室より突出する袋状構造物を認めた.さらに造影(冠動脈)CTを行い,右冠動脈口に隔壁の存在が疑われ,無冠尖と右冠尖の交連下より突出する袋状構造物を認めた.術中所見では大動脈基部と右心耳の間に袋状構造物を認めた.大動脈切開すると,低形成の大動脈弁右冠尖が右冠動脈入口部を閉塞していた.袋状構造物を切除したところ,右冠尖と無冠尖の交連左心室側に,孔を認めた.手術は,低形成大動脈弁右冠尖切除,袋状構造物切除,大動脈弁人工弁置換術,僧帽弁輪・三尖弁輪形成術を行い,良好な経過を得た.切除した袋状構造物の病理学的検査より,先天性線維性左心室憩室と診断された.

[成人心臓]
  • 松濱 稔, 有村 聡士, 佐々木 健一, 國原 孝
    2019 年 48 巻 4 号 p. 239-244
    発行日: 2019/07/15
    公開日: 2019/08/16
    ジャーナル フリー

    症例は52歳男性.熱発と浮腫を主訴に受診した.原因精査で大動脈弁の活動期感染性心内膜炎と診断され,血液培養からStreptococcus gallolyticus subsp. pasteurianusが検出された.歯科治療と同時に抗生剤投与を行い感染はコントロールできたが,大動脈弁に可動性のある疣贅の残存が疑われ,大動脈弁輪拡大が主たる原因の重度大動脈弁閉鎖不全症が残存したため手術の方針となった.術中所見で大動脈の弁尖はほぼ正常であり,二度の大動脈遮断を必要としたがexternal suture annuloplastyのみで形成可能であった.術後1年間,大動脈弁輪径も不変で大動脈弁に対する再手術の必要性も認めていない.有効な症例は限定されるものの,この手技を用いることで手術時間短縮による侵襲の低減および人工弁の使用を回避できる可能性があると考えられる.

  • 安藤 美月, 喜瀬 勇也, 前田 達也, 稲福 斉, 山城 聡, 國吉 幸男
    2019 年 48 巻 4 号 p. 245-249
    発行日: 2019/07/15
    公開日: 2019/08/16
    ジャーナル フリー

    原発性心臓腫瘍は稀な疾患であり,その発症率は剖検例の0.0017~0.33%とされているが,心臓超音波検査の進歩および普及による診断学の発展に伴い,その診断率は年々上昇している.乳頭状線維弾性腫は粘液腫についで多い心臓原発性良性腫瘍で,多くは大動脈弁および僧帽弁に単発で生じることが多い無血管性乳頭腫であり,4弁すべてに発生した症例報告はない.今回われわれは意識消失を契機に発見された,若年女性の4弁すべてに発生した乳頭状線維弾性腫の1例を経験したので文献的考察を加え報告する.

  • 阿部 貴文, 迫 秀則, 森田 雅人, 髙山 哲志, 田中 秀幸, 安部 由理子, 宮本 伸二
    2019 年 48 巻 4 号 p. 250-253
    発行日: 2019/07/15
    公開日: 2019/08/16
    ジャーナル フリー

    胸骨部分切開によるMICS-AVR後に,右肋間小開胸MICS-AVRを施行し,良好な転帰をたどった症例を経験したため報告する.症例は65歳男性.15年前に他院にて大動脈弁閉鎖不全症に対して,胸骨部分切開で生体弁によるMICS-AVRを施行された.術後15年経過したところで動悸や胸部圧迫感の症状が出現し,人工弁機能不全による重度の大動脈弁閉鎖不全症を来しており,再手術の方針とした.前回が胸骨部分切開によるMICSであったため,今回は右肋間小開胸によるMICS-AVRを施行した.術後経過は良好で術当日に抜管し,早期離床を行い,術後13日目に自宅退院した.前回手術がMICSであったため,心嚢内の癒着は少なかった.再手術においても,MICSは有用であることが示唆された.

  • 佐藤 公治, 須野 賢一郎, 若狭 哲
    2019 年 48 巻 4 号 p. 254-258
    発行日: 2019/07/15
    公開日: 2019/08/16
    ジャーナル フリー

    症例は41歳男性.15歳時に自殺企図による心臓刺傷に対して外科的に救命された既往があるが,その後特に経過観察はされていなかった.突然の右半身麻痺を主訴に脳神経外科を受診,左中大脳動脈塞栓による脳梗塞と診断され血栓吸引療法が施行された.その後スクリーニングで施行したCTで左室瘤および左室内血栓を認め,さらなる塞栓症予防のため手術目的に当院搬送となった.左室内血栓は14 mm×23 mmと巨大で可動性があり,緊急手術が望ましいと考えられたが,脳梗塞が広範囲であり発症後急性期であることから,人工心肺を用いた開心術は脳出血の危険性が高いと判断し,4週間の慎重な経過観察の後に手術を行った.術中所見では,左室瘤内壁に器質化血栓と新鮮血栓が混在して付着しており,血栓を摘除し瘢痕化した左室壁を一部切除してオーバーラッピング型左室形成術を行った.術後経過は良好で神経学的所見の増悪を認めず,術後11日目にリハビリ目的に前医転院となった.心臓外傷は救命困難な病態であるが,救命症例でも遠隔期に左室瘤を形成し血栓塞栓症の原因となりうるため適切な経過観察が肝要である.

  • 衣笠 由祐, 手嶋 英樹, 井上 善紀, 田井 龍太, 佐藤 充, 池淵 正彦, 入江 博之
    2019 年 48 巻 4 号 p. 259-262
    発行日: 2019/07/15
    公開日: 2019/08/16
    ジャーナル フリー

    Calcified amorphous tumor(CAT)は,1997年に初めて報告された石灰化結節を伴う非腫瘍性病変であり,透析患者や僧帽弁輪石灰化(mitral annular calcification ; MAC)に関連する症例が多いとされる.CATは全身塞栓症のリスクとされるが,CATが自己弁組織を破壊し弁膜症を来たした報告は稀である.症例は81歳女性.高血圧で近医に通院していたが,1年前より労作時の息切れを自覚するようになり,診察で心雑音を指摘され当科紹介となった.心エコー図検査で,後尖腱索断裂を伴う重症の僧帽弁閉鎖不全症を認め,また,MACと連続するように左室内へ突出する可動性の乏しい棍棒状構造物を認めた.手術適応と判断し,待機的に僧帽弁形成術を施行した.P2の弁下にMACから起始する棍棒状石灰化腫瘤を認め,また,腫瘤直上のP2腱索断裂,対側A2に弁穿孔がみられ,腫瘤により物理的に破壊された可能性が高いと考えられた.腫瘤切除,後尖P2三角切除,穿孔部閉鎖などにより僧帽弁形成可能であった.病理組織検査で,腫瘤は感染や悪性所見は認めず,CATに矛盾しない所見であった.CATは塞栓症だけでなく,自己弁組織を破壊しながら発達する場合があり,慎重な経過観察と手術時期を逸さないことが重要である.

  • 伊藤 貴弘, 松尾 浩三, 浅野 宗一, 椛沢 政司, 阿部 真一郎, 長谷川 秀臣, 池内 博紀, 小泉 信太郎, 林田 直樹, 村山 博 ...
    2019 年 48 巻 4 号 p. 263-266
    発行日: 2019/07/15
    公開日: 2019/08/16
    ジャーナル フリー

    冠動脈バイパス術後1カ月で収縮性心膜炎を発症した1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.81歳男性,労作性狭心症に対して冠動脈バイパス術を施行した.術後1カ月で労作時の息切れと心嚢水・両側胸水が出現した.心嚢・胸腔ドレナージ施行後にステロイド治療を開始するも右心不全症状は増悪,収縮性心膜炎の診断で心膜切除術を施行した.術後拡張障害は改善し,術後117日目に独歩で自宅退院した.

[大血管]
[末梢血管]
  • 音琴 真也, 金本 亮, 奈田 慎一, 今井 伸一, 新谷 悠介, 大塚 裕之, 廣松 伸一, 明石 英俊, 田中 啓之
    2019 年 48 巻 4 号 p. 277-280
    発行日: 2019/07/15
    公開日: 2019/08/16
    ジャーナル フリー

    Axillofemoral bypass graft stump syndrome(AxSS)は,腋窩-大腿動脈バイパス術後にグラフト閉塞に伴い閉塞グラフト内の血栓が遊離することによる急性動脈閉塞症である.AxSSは上肢発症の報告が多く,下肢への発症は稀である.症例は76歳女性.4年前に臓器虚血を有する急性B型大動脈解離に対し,右腋窩-右外腸骨動脈バイパス術を施行されていたが,今回右上下肢の急性虚血症状にて来院した.造影CTでバイパスグラフトの閉塞とともに,右腋窩-上腕動脈,右腸骨-大腿動脈の閉塞を認めた.さらに,右腋窩動脈と中枢吻合部の変形を認めた.AxSSによる急性動脈閉塞症と診断し,ただちに血栓除去を行った.右上下肢の血栓をそれぞれ可及的に除去し,さらにグラフト内の血栓が塞栓源と判断し,塞栓の再発予防のため上下肢とも吻合部でグラフトを離断した.術後6カ月の現在,血栓塞栓症の再発はなく経過良好である.AxSSを上下肢に同時発症した非常に稀な症例を経験したので報告する.

  • 鷹合 真太郎, 加藤 寛城, 上田 秀保, 野 宏成, 山本 宜孝, 飯野 賢治, 木村 圭一, 竹村 博文
    2019 年 48 巻 4 号 p. 281-285
    発行日: 2019/07/15
    公開日: 2019/08/16
    ジャーナル フリー

    症例は71歳,男性.胸部違和感の精査にてCT検査を施行され,左鎖骨下動脈近位部に突出長33 mmの嚢状瘤を指摘された.パーキンソン病,慢性心不全を合併し,開胸術は高侵襲と判断し,左鎖骨下動脈内へのステントグラフト内挿術を計画した.既存のデバイスでは左椎骨動脈分岐部の閉塞が避けられなかったため,Zenith® レッググラフトの遠位端のfabricを全周性に除去しBare stentとすることで,左椎骨動脈分岐部を閉塞しないように計画した.左腋窩動脈にconduitを作製しアクセスルートとし,左鎖骨下動脈内へステントグラフトを展開した.術後造影CTでは左鎖骨下動脈瘤内へのエンドリークは認めず,左椎骨動脈の順行性血流も温存された.

国際学会参加記
海外留学体験記
各分野の進捗状況(2018年)
第49回日本心臓血管外科学会学術総会 優秀演題
U-40 Surgical Skill Sharing―今更聞けない心臓血管外科基本手技
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