音声言語医学
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原著
特異的言語発達障害児2例の自然発話における誤用の特徴
村尾 愛美伊藤 友彦
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2013 年 54 巻 4 号 p. 251-255

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抄録

近年,日本語を母語とする特異的言語発達障害(SLI)児において時制,受動文,格助詞などに問題が見られることが報告されている.しかし,自然発話の全体的な特徴について詳しく検討したものはほとんどない.そこで本研究では,日本語を母語とするSLI児の自然発話の誤用全体の特徴を検討した.対象児は10歳のSLI児2例(A児,B児)であった.週に1回15~30分の自由会話場面の発話を収集し,分析した.総録音時間はA児289分,B児166分であった.その結果,2例に見られた誤用は形態論的・統語論的誤用,語彙の誤用,談話の誤用,創造的誤用(creative errors)に分類された.2例ともに形態論的・統語論的誤用の割合が最も高く,次いで創造的誤用の割合が高かった.これらの結果から,日本語のSLI児の自然発話の特徴として,形態論的・統語論的誤用が中核をなすこと,創造的誤用も特徴の一つであることが示唆された.

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© 2013 日本音声言語医学会
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