音声言語医学
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最新号
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原著
  • ―急性声帯炎に対する発声制限を契機に発症した機能性発声障害を対象に―
    杉本 美里, 二村 吉継, 北井 彩, 山﨑 光, 東川 雅彦
    原稿種別: 原著
    2026 年67 巻2 号 p. 138-146
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/06/12
    ジャーナル 認証あり

    急性声帯炎後に長期の発声制限を行った結果,炎症が治癒した後も発声困難が持続し,機能性発声障害を呈する症例が散見される.本研究では,声帯炎後に機能性発声障害を生じた症例の臨床像と音声治療の効果を検討した.対象は2021年1月から2023年12月までに当院を受診した症例で,声帯炎と診断され発声制限を行い,炎症所見が消失したにもかかわらず発声困難を訴えた機能性発声障害18例である.医師による所見供覧と発声許可に続き,半閉鎖声道エクササイズ(Semi-occluded vocal tract exercise: SOVTE)を用いた直接訓練を実施した.Voice Handicap Index-10(VHI-10),最長発声持続時間,GRBASスケール,音響分析により治療効果を評価し,9例で治療前後の統計学的比較を行った.VHI-10およびJitter,GRBASスケールのG,B,A要素において統計学的に有意な改善を認めた.急性声帯炎後の発声制限は,長期化すると機能性発声障害の発症要因となる可能性があり,適切な時期での発声再開指導の重要性が示唆された.

  • 岩城 忍, 四宮 弘隆, 山下 俊彦, 堀地 祐人, 丹生 健一
    原稿種別: 原著
    2026 年67 巻2 号 p. 147-155
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/06/13
    ジャーナル 認証あり

    機能性発声障害症例に対する音声治療の内容と治療効果について後方視的に検討を行った.対象は機能性発声障害29例.男性5例,女性24例,初診時年齢は平均47.1歳.発症の背景として声の使用頻度が高い例が79.3%,ライフイベントの経験例が72.4%と多くみられた.音声治療は発声訓練単独実施例が20例,即時聴覚フィードバック,あるいは認知再構成法を応用した認知行動的アプローチを併用例(併用訓練)が9例であった.音声治療回数は平均9回で,併用訓練例,特定の場面でのみ症状が出現した例で有意に治療回数が多かった.音声治療による改善率は86.2%で,VHIスコア,Gスコア,MPT,喉頭内視鏡所見ともに治療後に有意に改善した.発声訓練単独実施例と併用訓練例の間で治療効果に有意差は認めなかった.発声訓練のみでは改善困難な例には,早期から併用訓練を導入することで発声訓練単独で改善した例と同等の効果が得られ,併用訓練の有効性が示唆された.

  • ―思春期吃音児の自己肯定感促進要因の検討:報告1―
    谷 哲夫
    原稿種別: 原著
    2026 年67 巻2 号 p. 156-168
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/06/13
    ジャーナル 認証あり

    本研究は,思春期における吃音児の自己肯定感促進要因を明らかにすることを目的とし,吃音自助団体の成人吃音者59名を対象に,思春期の体験に関するアンケート調査を実施した.自由記載項目を多く含むこの調査は,Text Mining Studioを用いたテキストマイニング手法により分析された.本稿では,「吃音の気づき」から「生活上の支障」までの体験に焦点を当て,グルーピング・ことばネットワークを用いて回答内容を可視化した.結果,吃音を自覚する年齢は6〜9歳が最も多く,主なきっかけとして「家族や教師からの指摘」や「国語の授業中の音読時の経験」が挙げられた.また,吃音を負の要素として意識し始めた年齢は10〜15歳が多く,これには「クラスメイトからのからかいやいじめ」「人前で話すことの困難さ」が強く関与していた.感情面では,「自己嫌悪・羞恥心」や「人との交流に対する不安」が顕著であり,自己肯定感の低下と深く結びついていた.さらに,生活上の支障は19歳以降に最も顕著となり,特に「電話対応」や「就職活動」に困難を感じる事例が多く,「社交不安障害」との関連性も示唆された.これらの結果から,吃音児の自己肯定感低下には学童期からの継続的な心理社会的影響が関与しており,早期の支援の重要性が示された.

  • ―保護者の語彙調査票から得られた結果から―
    小坂 美鶴
    原稿種別: 原著
    2026 年67 巻2 号 p. 169-177
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/06/13
    ジャーナル 認証あり

    語彙の発達において意味・概念に対してどのような記号(音・音声)を付与するかは年齢によって異なる.子供の語彙は,子供自身の認知や言語の発達により精緻化され,分化,統合の過程をたどりながら成人語となる.成人語になるまでにどのような表現が産出されるかを2〜4歳児の保護者への名詞89語の語彙調査票を基に分析した.語彙の量と意味的な側面との関連性,語彙の具体的な表現からみる語彙発達,および個人差について検討した.年齢が上がると成人語が増加し,意味的関連語が少なくなった.語意味の獲得は2,3歳代では未熟さが残っていたが,語意味の推論については早くから可能であることも意味的関連語の内容から示唆された.3歳以降では語彙数と意味的関連語との間に有意な負の相関が認められた.語彙数の少ない子供の背景には外部刺激に対する子供自身の内的な問題あるいは言語学習環境などの外的刺激に何らかの問題があるものと考えられた.

短報
  • 飯村 大智, 青木 瑞樹, 何 橙棋, 石田 修, 髙橋 三郎, 宮本 昌子
    原稿種別: 短報
    2026 年67 巻2 号 p. 178-183
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/06/13
    ジャーナル 認証あり

    発話非流暢性の障害である吃音と早口言語症における非流暢性の量的な差異について詳細な知見は国内外ともに限られている.本研究では吃音の指導を受けている男児15名(平均年齢9歳7ヵ月)の流暢性障害を分類し,複数の発話課題下の非流暢性の違いを探った.分類には早口言語症の特徴を捉えるJCPC ver.2と暫定的定義の2つの基準を採用した.一方の基準のみを満たした7名を除き,両方の基準を満たした児(吃音・早口言語症の併存群)は4名,満たさなかった児(吃音単独群)は4名であった.いずれにも明らかな知的機能や言語発達の遅れは認められなかった.吃音中核症状の非流暢性数は両群で大きな違いはみられない一方,併存群においてその他の非流暢性が自由会話と物語再生課題で多く観察された.早口言語症の評価には,複数の基準に基づいた鑑別と,その他の非流暢性の生起数の評価が有用である可能性があり,今後のさらなる知見の集積が求められる.

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