2017 年 58 巻 1 号 p. 29-33
心因的要因の関与が疑われた機能性発声障害に対して音声治療を行った症例を報告する.
本症例は,初診時の喉頭所見,服薬内容,失声の既往から心因性発声障害の可能性もあった.音声治療の初回より症状は改善の傾向が見られ,その後の経過観察においても良好な発声状態を維持できた.心因性発声障害を疑う場合でも,初期段階で音声治療を試み,患者の治療に対する反応が良好な場合には治療を継続し,その後の治療経過のなかで必要時に精神科にコンサルトするという方針も音声症状の改善に有効と考えた.