日本臨床免疫学会会誌
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総説 特集:自己免疫疾患の病態形成に関わる細胞・分子と臨床応用
Toll-like receptorと炎症性腸疾患
竹田 潔
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2005 年 28 巻 5 号 p. 309-317

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抄録

  自然免疫系においてファミリーを形成するToll-like receptor (TLR)が病原体の構成成分を特異的に認識し,免疫応答の引き金を引くことが明らかになった.11種のTLRの各メンバーがそれぞれ異なる病原体構成成分を認識し,遺伝子発現を誘導する.TLRを介したシグナル伝達経路では,TIRドメインを有するアダプター群(MyD88, TRIF, TIRAP, TRAM)が重要な役割を担っていて,この使い分けによりTLRごとに異なる遺伝始発現が誘導される.そして,TLRを介した自然免疫系の活性化は,過剰になると,慢性炎症性腸疾患の発症につながることも明らかになった.そのため,自然免疫系の活性は様々なメカニズムで負に制御されている.その分子機構の一端として核に発現するIκB分子(Bcl-3, IκBNS)がTLRを介したサイトカイン産生を選択的に抑制していることが明らかになった.

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© 2005 日本臨床免疫学会
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