2013 年 8 巻 2 号 p. 293-298
【目的・方法】治療早期からの緩和ケア介入のあり方を考えることを目的に, 初回化学療法を導入する患者に対して, 治療開始前と開始3~4週後に, 「生活のしやすさに関する質問票」によるスクリーニングとEuroQol調査票(EQ5D)によるQOL評価を行った. 【結果】66名に対して調査を行い, 56名が2回目調査を終了した. 患者の「気がかり」は, 治療前後とも「病状・治療について」が半数を超えたが, その内訳は治療前後で変化した. 「身体症状」は治療前に80%以上の患者が有し, 治療後の改善・消失が13名, 新たな症状の出現が22名でみられた. 「気持ちのつらさ」は治療後に低下し, 初回に病状・治療についての気がかりを訴えた患者で顕著であった. EQ5D効用値は, 副作用症状が出現した患者で低下傾向, それ以外の患者では改善した. 【結論】初回化学療法の導入前後で緩和ケアニーズは変化し, 経時的なスクリーニングが必要と考えられた.