Palliative Care Research
Online ISSN : 1880-5302
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原著
  • 川島 徹治, 木下 里美, 吉野 靖代
    2024 年 19 巻 2 号 p. 89-97
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/04/17
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    【目的】日本語版「集中治療室(ICU)での意思決定に関する倫理的風土の調査票」(Ethical Decision-making Climate Questionnaire: EDMCQ)の作成と信頼性・妥当性の検討を行うことである.【方法】英語版EDMCQを翻訳し,日本語版を作成した.ICU看護師を対象に郵送法にて調査を実施し,14日後に再テストを行った.【結果】25施設の439名に配布し,204名の回答を分析対象とした(有効回答率:46.5%).尺度全体のCronbackα係数は0.91であり,級内相関係数は0.80であった(n=101, 有効回答率:23.0%).確認的因子分析におけるモデル適合度の指標はCFI: 0.836, GFI: 0.783, AGFI: 0.741, RMSEA: 0.071であった.【結論】日本語版EDMCQは,倫理的風土の評価指標として本邦で実用可能な尺度であるといえる.

  • 芥田 ゆみ, 谷本 真理子, 池崎 澄江
    2024 年 19 巻 2 号 p. 99-107
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/04/17
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    【目的】一般病院の看護師が経験した非がん疾患患者へのエンドオブライフケア(EOLC)の実践の自己評価に関連する要因を明らかにする.【方法】一般病院の看護師1,161名を対象とした質問紙調査.【結果】がん648例,非がん306例の看取り事例を比較すると,非がんは,EOLC実践の自己評価(10段階)が低く,意向・希望の聴取,EOLCに関するチームでの話し合いの実施も少なかった(p<0.001).疾患別には,肺炎,心疾患で評価が低かった.EOLC実践の自己評価には,がん・非がんとも,意向・希望の聴取(がんβ=0.21, 非がんβ=0.16),チームでの話し合い(がんβ=0.25, 非がんβ=0.35)が関連していた.【結論】一般病院看護師による非がんのEOLC実践の自己評価はがんに比べ低く,患者の意向や希望を聞く技術の向上や,チームでの話し合いを実施するケア体制の整備を強化する必要がある.

  • 山口 久美子, 坂口 美和, 辻川 真弓
    2024 年 19 巻 2 号 p. 121-128
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/12
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    【目的】アドバンスケアプランニング(ACP)の実践には医療者,患者それぞれに障壁があることが指摘されている.ACPの話し合いを導入する職種は主に医師であることから,本研究では,がん診療連携拠点病院に勤務する医師がACPの実践において感じている困難を明らかにすることを目的とした.【方法】がん患者に対してACPを実践している医師10名を対象に半構造化面接を行い,Graneheimらの質的内容分析の手法を参考にして分析した.【結果】ACPにおける困難として,患者のレディネス不足,医療者のレディネス不足,コミュニケーションの齟齬,ACPの評価指標の欠如,職業倫理とのジレンマ,医療・社会システムの不備の六つが抽出された.【結論】患者,医療者それぞれにACPに対するレディネス不足があり,そこに起因するコミュニケーションの齟齬や協働する仲間の不在に,医師は困難を感じていた.

症例報告
  • 野崎 章仁, 春山 瑳依子
    2024 年 19 巻 2 号 p. 129-135
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/12
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    【緒言】てんかん患者は健常者に比べ死のリスクが高い.てんかん患者でもアドバンス・ケア・プランニング(ACP)は重要であるが,十分な認識はされていない.知的障害を伴うてんかん患者に対して,家族と医療者でACPを行った2症例を経験した.【症例1】29歳男性.大切なことは,日々の生活を送ることであった.人生の最終段階は緩和ケアの希望を持たれたが,してほしくない治療やケアの具体的な決定はなかった.今後も家族と医療者で共同意思決定を行う方針となった.【症例2】18歳女性.大切なことは,日々の生活を送ることであった.人生の最終段階は緩和ケアを提供すると共同意思決定した.両症例の家族の意見から,てんかん患者へのACPの重要性と普及が得られた.【結論】ACPにより,知的障害を伴うてんかん患者の最善について家族と医療者の共同意思決定が可能となった.てんかん患者に対するACPの普及が必要と思われる.

活動報告
  • 吉村 真一朗, 山口 健也
    2024 年 19 巻 2 号 p. 109-113
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/04/23
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    院内病棟型の緩和ケア病棟を持つ当院は,完全独立型の旧病院同様,正面玄関からの死亡退院を案内しているが,それが与える遺族感情への影響を,独立型・病棟型の違いで比較・検討した.患者が退院する際に抵抗感や違和感を感じた遺族は独立型13%,病棟型23%と病棟型で多かった.他患者の退院に遭遇した際の違和感は独立型52%,病棟型28%と病棟型で少なかった.記述意見として正面退院への肯定的な意見は多く挙げられたが,一般病院での気兼ねない退院実施には医療側の十分な配慮が必要であることも示唆された.現在は配慮・工夫の徹底に加え,要望に応じた退院口(正面玄関以外の選択)を導入するに至っている.

  • ウォン 政代, 河鰭 憲幸
    2024 年 19 巻 2 号 p. 115-119
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/05/10
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    【目的】地域がん診療連携拠点病院かつ緩和ケア病棟を有さない急性期病院の当院で,緩和ケア科の外来患者の受診状況を精査することでアンメットニーズを探索し,よりよい外来体制の構築の示唆を得た.【方法】2020年4月から2023年3月の当院緩和ケア科患者の受診件数のべ3136件を対象とし,緩和ケア外来の予約外受診,救急搬送,救急入院の頻度やその受診理由を後ろ向きに調査を行った.【結果】当院緩和ケア外来の予約外受診は630件(20.1%)で,その74.0%は平日日勤帯であった.全受診機会のうち,救急入院に至ったのは347件(11.1%),予約外受診に限ると48.4%が救急入院で,その56.5%は救急車による来院だった.【結論】がん患者の急変に備え,24時間の受け入れ体制を構築することは重要であることが示唆された.入院に至りやすい症状を患者・家族に伝えておくことは,受診を判断するうえで助けになる可能性があった.

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