Palliative Care Research
Online ISSN : 1880-5302
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原著
  • 阿瀬 寛幸, 櫻井 卓郎, 関原 雛子, 田沼 明, 藤原 俊之
    2025 年20 巻4 号 p. 251-258
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/24
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    【目的】進行がん・終末期がんを有する患者の就労希望に対する作業療法の実践状況と課題を明らかにする.【方法】全国のがん診療連携拠点病院に勤務する作業療法士を対象にWebアンケートを実施し,記述統計,質的記述的アプローチを用いて分析した.【結果】対象278名のうち119名(43%)が進行がん・終末期がん患者への就労支援を経験していた.就労希望の目的は「経済的必要性」,「社会的役割・他者への責任」,「自己実現・自己充足」にカテゴリー化された.就労に対する合意目標はフルタイムでの復職(32名,27%),時短勤務あるいはパートタイムでの復職(38名,32%)に加え,回想(7名,6%),施設内での模擬的な活動(7名,6%)など就労に至らないが,患者の希望をくんだものも含まれた.【結論】進行がん・終末期がん患者の就労希望は,多様な社会的・心理的要因を背景としていた.作業療法士の役割として現実的な目標設定とQOL向上のための支援を担うことが示唆された.

  • 岡本 涼太郎, 岡本 禎晃, 城山 晋, 園田 悠馬
    2025 年20 巻4 号 p. 243-249
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/19
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    【目的】緩和ケア病棟の終末期がん患者に対し,リハビリテーション内容の違いが死亡直前の歩行能力に及ぼす影響を検討した.【方法】2020年4月~2024年3月に当院で死亡退院した患者のうち,歩行可能で理学療法または作業療法を受けた者を対象とした.歩行や階段昇降などを含む動的課題を行ったエクササイズ群(Ex群)と,ベッド上訓練中心のベッドサイド群(BS群)に分類し,トイレ歩行不能までの期間を後方視的に比較した.【結果】Ex群はBS群に比べ歩行不能までの期間が有意に長く(中央値30.0日 vs. 20.5日,log-rank p=0.002),Cox回帰解析では歩行不能に至るリスクが低かった(ハザード比=0.50,95%信頼区間0.33–0.77,p=0.001).【結論】積極的な動作練習を含むリハビリテーションは,終末期がん患者の歩行能力維持に寄与する可能性が示唆された.

  • 古田 敦子, 阿部 吉樹, 柴山 大賀, 日高 紀久江
    2025 年20 巻4 号 p. 233-242
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/19
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    【目的】病棟看護師を対象にアドバンス・ケア・プランニング(advance care planning: ACP)に対する役割認識の実態とその関連要因を明らかにする.【方法】茨城県10施設の病棟看護師を対象に「がん患者・家族」「非がん患者・家族」「他の医療従事者」からACP実践の役割を期待されているか,つまりACPの役割認識について質問した.【結果】「非がん患者・家族」より「がん患者・家族」からACPを期待されていると認識していた.また多重ロジスティック回帰分析の結果,病棟看護師のACPの役割認識には「がん患者・家族」「非がん患者・家族」「他の医療従事者」のすべてに「ACP教育者の有無」(OR=4.30–7.17)が,「がん患者・家族」「他の医療従事者」では「病棟におけるACPの重要性の認識」(OR=2.11–2.21)が影響していた.【結論】病棟看護師のACPに対する役割認識を高めるには病棟にACP教育者を配置する必要性があると示唆された.

  • 吉澤 龍太, 神里 みどり
    2025 年20 巻4 号 p. 223-232
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/28
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    【目的】看護師の突出痛に関する認識を所属別に明らかにした.【方法】沖縄県内11施設の看護師を対象にがん患者の突出痛に関する認識について自記式質問紙調査を実施し一般病棟,外来,緩和ケア病棟の所属別による比較を行った.【結果】448人から回答が得られた(回収率51.6%).突出痛はコントロールされていると思うと回答したのは緩和ケア病棟看護師78.9%,一般病棟看護師62.6%,外来看護師34.8%と有意差があった(p<.001).突出痛をもつがん患者との関わりの頻度は緩和ケア病棟看護師が高く,一般病棟と外来の看護師は関わりの頻度が低く,突出痛コントロール認識への影響が考えられた.【結論】突出痛に関するコントロールの認識は所属別で異なっており,がん患者との関わる頻度と看護師の経験年数が影響していることが考えられた.今後,突出痛のマネジメントについて所属別による看護師の背景を考慮した教育体制の充実が望まれる.

症例報告
  • 松坂 俊, 原田 恵美, 柏木 秀行
    2025 年20 巻4 号 p. 259-263
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/25
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    【目的】終末期患者に対し,生成AIで感謝メッセージを楽曲化しレガシーメイキングに用いた単例を報告する.【方法】卵巣がん末期の68歳女性に半構造化面接で家族への言葉と曲調を聴取し,生成AIで歌詞と曲風を作成,音楽生成AIでボーカル入り楽曲6種を出力・選定した.【結果】面接開始から完成まで約90分で実施可能で,患者・家族に受容され,明らかな有害事象は認めなかった.患者はライフレビューが促進され「伝えたいことが形になった」と述べ,葬儀での共有は家族の癒しに資した.倫理面では個人情報の入力を避け,履歴保存をオフとした.【結論】生成AIによる「感謝の歌」は身体的制約下でもメッセージの可視化・可聴化を可能にし,スピリチュアルケアの選択肢となる可能性が示唆された.

  • 野田 美弥子, 前川 健一, 佐々木 雄一, 笠毛 渓, 萩原 信太郎, 榎畑 京, 園田 拓郎, 中村 達郎, 児玉 祐一, 岡本 康裕, ...
    2025 年20 巻4 号 p. 216-221
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/26
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    【緒言】小児のがん疼痛は薬物療法で症状緩和が困難となった場合,その後の方針に難渋することがある.今回,埋め込み型ポートを用いた硬膜外ブロックを併用し,高度の小児のがん疼痛を緩和できた症例を経験したので報告する.【症例】11歳男児.左腎細胞がんの診断にて左腎摘出術後,化学療法を施行したが数カ月後に再発,腰部の違和感を訴えるようになり緩和ケアチームへ紹介された.画像所見や問診によりがん疼痛を強く疑い医療用麻薬を導入したが,病状進行とともに疼痛コントロール不良となり,頭痛・悪心のため経口摂取が困難となった.薬物療法は限界と考え,持続硬膜外ブロックを施行したところ疼痛は軽減し,経口摂取も可能となった.患児の予後を鑑み,埋め込み型ポートを留置し治療を継続した.以後,外出可能なまでにquality of life(QOL)は向上した.【結論】神経ブロックは小児がんにおいても有効な治療手段となり得る.

  • 穴山 玲子, 百瀬 菜奈, 増田 清夏, 木村 信康
    2025 年20 巻4 号 p. 197-202
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/10/01
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    【緒言】近年のがん治療の進歩により進行がん患者の長期生存が可能となる一方で,遷延性術後痛など治療関連の長期的有害事象への対応が課題となっている.今回,胸部悪性腫瘍術後に発症した開胸術後疼痛症候群(PTPS)に対し,不適切なオピオイド処方により依存に至った症例に脊髄刺激療法(SCS)を導入したことで,疼痛軽減とオピオイド減量に成功した症例を報告する.【症例】32歳女性.手術に伴って生じた神経障害性疼痛に対してオピオイドが増量され,不適切使用により依存状態となった.SCS導入後,オピオイドは減量できactivities of daily living(ADL)は著明に改善した.【結論】SCSはPTPSのような難治性疼痛に対する有効な選択肢であり,がんサバイバーのquality of life(QOL)向上とオピオイド依存回避に寄与し得る.

短報
  • 山中 政子, 飯田 幸恵, 中村 直美, 阿部 修子, 佐藤 明美, 中村 巳保子, 鈴木 久美
    2025 年20 巻4 号 p. 209-215
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/10/29
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    電子付録

    【目的】通院患者のがん疼痛セルフマネジメントを促進する看護介入プログラムの有効性を非ランダム化比較試験により評価した.【方法】介入群は本プログラムによる介入を3回受けた.主要評価項目を疼痛強度(brief pain inventory[short form]日本語版:BPI-J),副次評価項目を痛みによる日常生活への支障と疼痛緩和治療の効果(BPI-J),QOL(12-item short-form health survey:SF-12),自己効力感(pain self-efficacy questionnaire日本語短縮版:PSEQ4-J),心理的安定(hospital anxiety and depression scale:HADS)とした.【結果】分析対象者は対照群19名,介入群16名であった.調査前後の変化量を両群で比較したところ,疼痛強度は有意差が認められず,SF-12の日常役割機能(身体)のみ有意差が認められ(P=0.020),対照群で低下し介入群で上昇した.【結論】日常役割機能(身体)以外では両群の変化量に有意差がなく,本プログラムの介入効果は明らかにできなかった.その要因として対象者数がサンプルサイズを満たしていないことがあげられる.

活動報告
  • 川平 正博, 黒木 咲花, 野崎 真由美, 島田 受理夫, 三宅 智
    2025 年20 巻4 号 p. 203-208
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/10/03
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    本研究では終末期がん患者に対する死亡時画像診断(autopsy imaging: Ai)の遺族へ与える影響を検討した.Aiを実施した2例の終末期がん患者に対し,7名の遺族を対象に自記式質問紙による量的・質的調査を行った.質問紙の集計結果では,Aiの認知度は低かったが(14.3%),回答したすべての遺族がAiの実施により死因が理解できたと回答し,Aiの必要性に関して一定の理解は得られた(71.4%).自由記述の分析からは,Aiを実施したことで死因への理解や納得が得られ,心理的安心感に寄与する可能性が示唆された.一方で,Ai実施により遺族に葛藤や複雑な感情が生じることも明らかとなり,Ai実施の際は,本人の意思確認や本人と遺族の心理的ケアが重要となる.今後は医療者がadvance care planningの話し合いの中でAiの目的や意義を丁寧に説明し,本人・家族の意思を尊重しながらAiを検討していく姿勢が必要である.

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