【目的】緩和ケア病棟の終末期がん患者に対し,リハビリテーション内容の違いが死亡直前の歩行能力に及ぼす影響を検討した.【方法】2020年4月~2024年3月に当院で死亡退院した患者のうち,歩行可能で理学療法または作業療法を受けた者を対象とした.歩行や階段昇降などを含む動的課題を行ったエクササイズ群(Ex群)と,ベッド上訓練中心のベッドサイド群(BS群)に分類し,トイレ歩行不能までの期間を後方視的に比較した.【結果】Ex群はBS群に比べ歩行不能までの期間が有意に長く(中央値30.0日 vs. 20.5日,log-rank p=0.002),Cox回帰解析では歩行不能に至るリスクが低かった(ハザード比=0.50,95%信頼区間0.33–0.77,p=0.001).【結論】積極的な動作練習を含むリハビリテーションは,終末期がん患者の歩行能力維持に寄与する可能性が示唆された.
【目的】病棟看護師を対象にアドバンス・ケア・プランニング(advance care planning: ACP)に対する役割認識の実態とその関連要因を明らかにする.【方法】茨城県10施設の病棟看護師を対象に「がん患者・家族」「非がん患者・家族」「他の医療従事者」からACP実践の役割を期待されているか,つまりACPの役割認識について質問した.【結果】「非がん患者・家族」より「がん患者・家族」からACPを期待されていると認識していた.また多重ロジスティック回帰分析の結果,病棟看護師のACPの役割認識には「がん患者・家族」「非がん患者・家族」「他の医療従事者」のすべてに「ACP教育者の有無」(OR=4.30–7.17)が,「がん患者・家族」「他の医療従事者」では「病棟におけるACPの重要性の認識」(OR=2.11–2.21)が影響していた.【結論】病棟看護師のACPに対する役割認識を高めるには病棟にACP教育者を配置する必要性があると示唆された.
【緒言】小児のがん疼痛は薬物療法で症状緩和が困難となった場合,その後の方針に難渋することがある.今回,埋め込み型ポートを用いた硬膜外ブロックを併用し,高度の小児のがん疼痛を緩和できた症例を経験したので報告する.【症例】11歳男児.左腎細胞がんの診断にて左腎摘出術後,化学療法を施行したが数カ月後に再発,腰部の違和感を訴えるようになり緩和ケアチームへ紹介された.画像所見や問診によりがん疼痛を強く疑い医療用麻薬を導入したが,病状進行とともに疼痛コントロール不良となり,頭痛・悪心のため経口摂取が困難となった.薬物療法は限界と考え,持続硬膜外ブロックを施行したところ疼痛は軽減し,経口摂取も可能となった.患児の予後を鑑み,埋め込み型ポートを留置し治療を継続した.以後,外出可能なまでにquality of life(QOL)は向上した.【結論】神経ブロックは小児がんにおいても有効な治療手段となり得る.
【緒言】近年のがん治療の進歩により進行がん患者の長期生存が可能となる一方で,遷延性術後痛など治療関連の長期的有害事象への対応が課題となっている.今回,胸部悪性腫瘍術後に発症した開胸術後疼痛症候群(PTPS)に対し,不適切なオピオイド処方により依存に至った症例に脊髄刺激療法(SCS)を導入したことで,疼痛軽減とオピオイド減量に成功した症例を報告する.【症例】32歳女性.手術に伴って生じた神経障害性疼痛に対してオピオイドが増量され,不適切使用により依存状態となった.SCS導入後,オピオイドは減量できactivities of daily living(ADL)は著明に改善した.【結論】SCSはPTPSのような難治性疼痛に対する有効な選択肢であり,がんサバイバーのquality of life(QOL)向上とオピオイド依存回避に寄与し得る.
本研究では終末期がん患者に対する死亡時画像診断(autopsy imaging: Ai)の遺族へ与える影響を検討した.Aiを実施した2例の終末期がん患者に対し,7名の遺族を対象に自記式質問紙による量的・質的調査を行った.質問紙の集計結果では,Aiの認知度は低かったが(14.3%),回答したすべての遺族がAiの実施により死因が理解できたと回答し,Aiの必要性に関して一定の理解は得られた(71.4%).自由記述の分析からは,Aiを実施したことで死因への理解や納得が得られ,心理的安心感に寄与する可能性が示唆された.一方で,Ai実施により遺族に葛藤や複雑な感情が生じることも明らかとなり,Ai実施の際は,本人の意思確認や本人と遺族の心理的ケアが重要となる.今後は医療者がadvance care planningの話し合いの中でAiの目的や意義を丁寧に説明し,本人・家族の意思を尊重しながらAiを検討していく姿勢が必要である.