Palliative Care Research
Online ISSN : 1880-5302
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原著
  • 飯岡 由紀子, 大場 良子, 廣田 千穂, 森住 美幸, 小菅 由美, 真鍋 育子, 清崎 浩一, 馬場 知子, 関谷 大輝, 小倉 泰憲, ...
    2023 年 18 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/01/24
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    【目的】「多職種連携におけるコーディネート力尺度(MCAS)」を開発し,がん医療に携わる医療専門職を対象に信頼性と妥当性を検討することである.【方法】MCAS原案を作成し,医療専門職などを対象に内容妥当性・表面妥当性を検討した.さらに,医療機関に勤務しがん医療に携わる医療専門職者を対象に横断的質問紙調査を行った.探索的因子分析,既知グループ法,α係数算出,併存妥当性を検討した.研究倫理審査の承認を得て行った.【結果】MCASは探索的因子分析により4因子([討議を促進する力][基盤となる関係構築][セルフコントロール][課題解決に向けた取り組み])33項目となった.多職種連携研修会参加有,経験年数が長いほうがMCAS得点は有意に高かった.尺度全体および各因子のα係数は.80以上だった.併存妥当性検討は中程度の相関だった.【結論】MCASは尺度開発段階として信頼性と妥当性が概ね確保された.

  • 桑山 隆志, 横田 成彬, 可児 毅, 村上 尚史, 松井 慶太, 中村 清吾
    2023 年 18 巻 1 号 p. 11-18
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/01/27
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    電子付録

    【目的】メトロニダゾールゲル(ロゼックス®ゲル0.75%:以下,本剤)について,長期使用時を含む使用実態下の安全性と有効性に関する情報を収集する目的で使用成績調査を実施した.【方法】がん性皮膚潰瘍部位の殺菌・臭気の軽減のために本剤を初めて使用する患者を中央登録方式にて登録した.観察期間は最長1年とした.【結果】安全性解析対象は301例であった.副作用発現割合は3.32%(10/301例)で,すべて非重篤であった.全般改善割合は73.7%(205/278例)であった.最終観察時の医師評価によるにおい改善割合は80.2%(203/253例)で,患者の治療満足割合は70.1%(82/117例)であった.【結論】使用実態下において,本剤ががん性皮膚潰瘍部位の殺菌・臭気の軽減に対し,安全かつ有効な治療薬であるとともに,本剤の使用により,患者の高い治療満足度が得られることが明らかとなった.

  • 髙橋 紀子, 青山 真帆, 佐藤 一樹, 清水 陽一, 五十嵐 尚子, 宮下 光令
    2023 年 18 巻 1 号 p. 19-29
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/02/03
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    電子付録

    エビデンスに基づくがん疼痛マネジメントの看護実践を評価する尺度を開発し信頼性・妥当性および関連要因の検討を目的とした.がん疼痛の薬物療法に関するガイドラインに基づき仮尺度を作成し,地域がん診療連携拠点病院1施設の看護師189名に再テストを含む2回の調査を行った.探索的因子分析の結果,一因子50項目のがん疼痛マネジメントの看護実践尺度とその短縮版を開発した.尺度全体のCronbachのα係数は0.98(短縮版0.88)で内的一貫性を,再テストの級内相関係数は0.52(短縮版0.77)で信頼性を,緩和ケアの実践,知識,困難感,自信尺度とのそれぞれの相関で併存妥当性を確認した.がん疼痛マネジメントの看護実践の関連要因は,がん看護の経験年数,卒後教育の回数,卒後教育を十分に受けたと思うかだった.本尺度は,日々の臨床実践の評価やがん疼痛看護研修など教育的な取り組み後の実践評価などに活用できる.

  • 伊禮 寿記, 木村 安貴
    2023 年 18 巻 1 号 p. 31-41
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/02/03
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    本研究の目的は,進行がん患者家族の代理意思決定における病棟看護師の支援とその困難経験頻度に関連する要因を明らかにすることである.4施設のがん看護を実践する病棟に勤務する看護師285名を対象に,無記名自記式質問紙調査を実施した.代理意思決定支援を「常に実施している」~「どちらともいえない」と回答した者は230名(80.7%)であり,話し合いの場に同席するなどの支援が実施されていた.また,よく困難を経験している者は41名(17.8%)であり,困難経験の関連要因についてロジスティック回帰分析で求めた結果「代理意思決定支援の実施頻度」(OR=2.41, P=0.009),「患者と家族等の関係性がわからない」(OR=1.50, P=0.025)などの4要因が抽出された.このことから,進行がん患者家族の代理意思決定支援を促進するためには,事前に患者と家族の関係性について情報を収集することが必要である.

活動報告
  • 牧田 憲二, 濱本 泰, 長﨑 慧, 神﨑 博充, 三浦 耕資, 成本 勝広
    2023 年 18 巻 1 号 p. 43-48
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/02/13
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    当院では,2021年9月より緩和ケアカンファレンスに放射線治療科医が参加するようになった.放射線治療科医参加の有用性を検討した.2022年8月までに,同カンファレンスで検討した341例中26例(7.6%)に緩和照射を提案した.そのうち11例(3.2%)(乳がん潰瘍形成/出血:2,転移性脊髄圧迫予防:1,再照射:6,播種:1,全肝照射:1)で緩和照射実施に至った.放射線治療科医の参加は再照射の可否や全身薬物療法中の症例における適切な放射線治療の介入時期の判断などに役立ったと思われた.

  • 山極 哲也, 松屋 美幸, 伊藤 怜子, 大西 直世, 来住 知美, 小林 正行
    2023 年 18 巻 1 号 p. 49-54
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/02/13
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    電子付録

    日本バプテスト病院では,ホスピスを中心に,約70名のボランティアが活動している.2020年2月,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行により,多くのホスピス緩和ケア病棟でボランティア活動が休止される中,チームの一員であるボランティアの活動を継続するための方法を模索してきた.直接患者と交流する代わりに,作品や植物を通して季節や社会の風を届ける工夫や,オンラインによるスタッフ会議や遺族会の開催など,新たなボランティア活動の方法を見出すことができた.また,院内COVID-19対策会議にホスピス担当者も参加し,最善のケアのためにはボランティアの存在が重要であることを病院全体で共有した.そのうえで,「COVID-19流行状況に応じたボランティア活動指針」を感染対策チームと共同して作成し,感染対策に配慮したうえでボランティア活動を継続することが可能となった.

  • 飯田 智哉, 伊藤 和, 岡村 直香, 飯田 道夫, 和田 吉生, 安藤 なつ美, 三浦 光舞, 吉崎 秀夫, 門脇 睦子, 山崎 なな, ...
    2023 年 18 巻 1 号 p. 55-60
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/02/17
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    コロナ禍が終末期の在宅療養に与えた影響や遺族満足度などについて検討することを本活動の目的とした.当院で訪問診療を受けていた居宅終末期がん患者のうち,在宅で看取った100名の遺族を対象にアンケート調査を行い,コロナ禍が在宅療養に与えた影響,遺族満足度などについて検討した.回答率は72.0%で,52.8%の遺族が在宅療養の選択にコロナ禍が影響したと回答した.遺族満足度は98.6%であり,当院でコロナ禍に在宅療養を選択した終末期がん患者に対しても,高い遺族満足度が達成できていた.

  • 川平 正博, 中村 文彦, 嶋田 博文, 西 真理子, 岩坪 貴寛, 塩満 多華子, 前田 弘志, 大迫 絢加, 宮崎 晋宏, 久住 勇介, ...
    2023 年 18 巻 1 号 p. 61-66
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/02/21
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    電子付録

    骨転移診療では,骨関連事象(SRE)の発症予防,早期診断,治療が重要となる.骨転移に対して多職種チーム介入を行うことで,生存期間延長やADL改善が期待できるか後方視的に検討した.2020年8月~2022年7月まで当院で骨転移カンファレンス(BMB)を実施した進行がん患者75名を,SRE発症前後のBMBによるチーム介入別に2群に分け,比較検討を行った.両群ともにチーム介入後にNRSは改善したがPSの改善はなく,両群で生存期間に差は認めなかった(15.3 vs. 9.0カ月,HR: 0.74,95%CI: 0.42–1.29,p=0.29).当院BMBでは発症したSREに対しては早急にチーム介入できていた.しかし,当院BMB後のSRE発症割合は22.6%であり,今後はSRE発症予防に積極的に取り組む必要がある.

  • 奥田 ゆり子, 河鰭 憲幸, 任 幹夫
    2023 年 18 巻 1 号 p. 67-71
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/02/24
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    電子付録

    早期からの緩和ケアの導入を目指し,大阪労災病院(以下,当院)では緩和ケアスクリーニングに積極的に取り組んでいる.当院緩和ケア科は漫然とルーチンをこなすのではなく繰り返し評価して改善していくことを重視しており,本邦で日常診療における緩和ケアチームの評価,さらに次の施策を検討した文献に乏しいこともあり,当院入院患者のスクリーニングの結果,施策をどう設定したのか,現状評価と今後の課題について後ろ向きに分析した.緩和ケアチーム介入があった91人はスコア上,すべての症状で改善がみられた.しかし,それが緩和ケアチーム介入自体の効果かは評価できなかった.また,チーム介入できていない患者の存在も示され,対象患者がもれなくチーム介入を受けるためには工夫が必要であると考えられた.スクリーニングは緩和ケアへつながる一つのきっかけにすぎず,今後は緩和ケアチームが患者のために病院全体のセーフティネットとして機能する体制づくりが必要であると考える.

  • 倉地 聡子, 濱田 宏, 田上 正, 内野 博之
    2023 年 18 巻 1 号 p. 73-77
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/16
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    【目的】東京医科大学病院(以下,当院)緩和ケアチームの過去5年間の活動状況と新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が与えた影響を調査した.【方法】2016年4月から2021年3月の期間に当院緩和ケアチームが介入した患者データを後方視的に比較・分析した.【結果】2016年度から2020年度までの延べ依頼数,患者背景,依頼・介入理由に大きな変化はみられなかった.2020年度の依頼時PS 0の患者数は他年度と比較し有意に増加し,自宅退院患者数も有意に増加していた.【考察】調査結果から緩和ケアの早期からの導入が進んでいることがわかった.当院でもCOVID-19流行後,入院患者の面会制限が行われ自宅療養を選択する割合が増えている可能性が考えられた.【結論】緩和ケアチームへの介入依頼はCOVID-19流行の影響なく,5年間で有意な変化を認めなかったが,入院患者への厳しい面会制限は緩和ケアを実践するうえで障壁となった.

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