女性心身医学
Online ISSN : 2189-7980
Print ISSN : 1345-2894
ISSN-L : 1345-2894
γ-リノレン酸含有油脂のPMS緩和効果に関する研究
関 信二櫻田 美穂平澤 裕子根岸 聡白澤 聖一新井 有里辻 宏明松本 清一
著者情報
ジャーナル フリー

2000 年 5 巻 2 号 p. 133-141

詳細
抄録

γ-リノレン酸(GLA)を含有する油脂の摂取がPMS症状の緩和に有効であるかを確認するために本摂取試験を行った.予備調査の結果,PMSと判定された合計54名の20〜37歳の女性をランダムに振り分けし,ブラインド試験で,約3月経周期にわたって摂取試験を行った.予備調査,摂取試験の症状の記録には日本家族計画協会発行のPMSメモリー(記録編)を使用して,各自が原則として毎日即時記録形式で行った.また,対照群としては,SMP比率を調製した混合食用油脂を使用した.その結果,各種指標の予備調査と摂取試験の差を基準に,対照群とGLA投与群を比較すると,発症率,症状の重さはGLA投与群において有意に軽減する傾向にあった.また,特に身体症状においてその傾向が強く認められた.症状の重さが減少した延べ人数の割合で比較すると,対照群では53.5%,GLA投与群では64.4%の人に改善が認められ,双方には統計的有意差が認められた.症状別に見ると,「下腹部が張る」,「頭痛」,「食欲が増す」,「便秘」等の軽減した人数は. GLA投与群の方が多い傾向にあった.これらの結果から,GLAを含む油脂の摂取は一部のPMS症状の軽減に対して有効であると推察された.

著者関連情報
© 2000 一般社団法人 日本女性心身医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top