2000 年 47 巻 4 号 p. 79-88
本研究は、1935年に開催された「始政四十周年記念台湾博覧会」の目的、企画ならびにデザインを探究し、その歴史的意義について考察するものである。研究の結果以下のことが分かった。(1)日本政府は、この博覧会の開催を通して、国際社会に日本政府の台湾建設における各種の進歩状況を知らせると同時に、台湾民衆の心を日本政府に向けようとする意図があった。(2)この博覧会の展覧に出したものの規模は大きく、また、宣伝組織は細密、デザイン計画は詳細であり、全体的なデザインに関する仕事は専門家によって制作された。(3)博覧会に参与したデザイナー、あるいはデザイン会社は大多数が日本人であったが、そのプロ意識と仕事に対する姿勢は学ぶに値するものであった。(4)台湾博覧会は、台湾有史以来唯一の国際的な博覧会であり、台湾における視覚伝達デザイン史上重要な役割を果たした。