デザイン学研究
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選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • ─運転者の一時停止意欲および注視挙動への影響
    永見 豊, 呉 敏
    2025 年72 巻2 号 p. 2_1-2_8
    発行日: 2025/09/30
    公開日: 2025/10/21
    ジャーナル フリー

    信号無し横断歩道に横断者が待機する状況において、運転者に一時停止を促す立体路面文字標示の効果的な配置を検討した。立体路面文字は縦長に変倍した横配置の文字であり、運転者視点では文字の縦横比が1:1に見えることで可読性に優れている。「歩行者優先」文字を対象とし、標示の設置位置、個数、カラー舗装の違いを変数として、ドライビングシミュレータを用いた運転者の停止意欲の印象評価実験および注視挙動実験を行った。印象評価実験の結果、停止意欲は路面標示の設置数およびカラー舗装の面積が大きいほど対数的に増加し、設置位置の影響は小さいことが分かった。注視挙動実験では、横断歩道直前での標示の有無による横断待機者への注視挙動への影響を分析した。その結果、横断待機者への注視回数は標示が無い方が高まる傾向があることが分かった。以上から立体路面文字標示は部分カラー舗装とし、配置は横断歩道から離れた位置に一か所設置するのが効果的であるという結論になった。

  • 濱川 和洋, 池田 美奈子
    2025 年72 巻2 号 p. 2_9-2_18
    発行日: 2025/09/30
    公開日: 2025/10/21
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は、十五代酒井田柿右衛門の作風の特徴と美意識について分析し、十五代がどのようにして現代の陶芸に対応し、伝統と革新を融合させているかを明らかにすることである。本研究では、2017年から2019年までに行われた個展におけるギャラリートークを対象にテキストマイニングを行い、作品制作についての信念や原理、コンセプトなどが実際の作品にどのように実現・実装されているのか分析を行った。その結果、2017年までは「様々な形状の濁手素地にシンプルに文様を描く」作風であったが、2018年から「柿右衛門様式の色を意識した修正」が加えられるようになり、2019年には「柿右衛門様式のバランスを意識したモチーフの構成」が行われ、デザインの風景化が進んだことが明らかになった。これは単に古典に回帰する意味ではなく、現代感覚を持った十五代が自身のモチーフを使って、現代の人のために作品を制作するということが伝統と革新の融合であり、停滞せず作り続けることが新たな創造につながり、作風となっていくことが明らかとなった。

  • ─片貝木綿と民藝の関わりについて
    小出 真理子
    2025 年72 巻2 号 p. 2_19-2_26
    発行日: 2025/09/30
    公開日: 2025/10/21
    ジャーナル フリー

    新潟県には木綿を材料に作られた片貝木綿と呼称される伝統的染織品が存在する。この片貝木綿の誕生には、1920年代に柳宗悦らが提唱した「民藝」との関わりが少なからず存在していることがわかった。本稿では、新潟県小千谷地域片貝木綿の成立と発展を中心に、民藝運動の指導的役割を担った柳宗悦の甥である柳悦孝と生産者たちとの交流について詳細に論じ、柳悦孝を通じた民藝の考え方が、新潟の染織品にどのような影響を与えたのかについて考察していく。その結果、柳は従来の手織のみの手法だけでなく、機械の新しい活用法を駆使して良質な製品を生み出す試みを模索し、新潟の織物問屋であった西脇新次郎、および同地で紺屋を営んでいた松井喜平太との協働により片貝木綿が誕生した。このような経緯を鑑みると、民藝の思想を根底に持っていた柳悦孝が目指した新しい取り組みが、新潟の染織品においても展開し、発展を遂げることになったと指摘することができた。

  • ─デザイン研究アプローチを用いた実践と改善
    吉川 ちひろ, 木村 敦, 田中 堅一郎
    2025 年72 巻2 号 p. 2_27-2_36
    発行日: 2025/09/30
    公開日: 2025/10/21
    ジャーナル フリー

    本研究は,認知心理学の視点から深い観察を促すためのプロダクトデザイン教育について,デザイン研究アプローチによる実践と改善を行ったものである。大学のデザイン課題で初めに取り組む観察は,一般的に五感を通して行われるが,知覚された情報を自覚的に捉えないと新しい発見を見逃す場合も多い。そこで,五感からの情報を自覚的に観察するための教授法として5つのデザイン原則を仮定した。原則に基づいた授業実践では,事象を自覚的に捉えるための認知心理学に関する講義を挟んだエクササイズの後,2段階の観察と記録の整理,それを踏まえたデザインコンセプト立案と発表を実施した。授業実践の教育効果に関する定性的・定量的評価を行った結果,エクササイズを通して五感を自覚した観察ができるようになったと感じることで,発想につながる観察へと深化する可能性があることが示された。一方,認知した情報から生起した感情や行動にも着目させる観察記録フォーマットの検討や,アイデア展開を見据えたデザイン原則の構築といった課題が明らかになった。

  • ─メノテックデザインに関する研究(2)
    劉 彦, 佐藤 弘喜
    2025 年72 巻2 号 p. 2_37-2_44
    発行日: 2025/09/30
    公開日: 2025/10/21
    ジャーナル フリー

    本研究では、更年期前後の女性を対象に、日常生活におけるメノポーズケアの課題とメノテックサービスに求められるニーズや要件を明らかにした。東京都在住の40~60歳女性10名を対象にオンラインおよびオフラインでインタビューを実施し、主題分析とテキストマイニングを通じてライフスタイル、更年期体験、ケア状況、フェムテックおよびメノテックの利用実態を分析した。調査の結果、家族・職場の支援不足や医療体験への不満が、更年期症状の悪化や生活の質(QOL)の低下につながることが示唆された。また、信頼できる情報提供や心理的サポートが求められることが明確となり、以下の4つの要件が導出された:(1)情報提供、(2)生理不調・健康管理・運動サポートサービス、(3)オンライン診療・服薬指導のプラットフォームの構築、(4)サービス品質向上。本研究は、これらを満たすメノテックサービスが更年期女性の健康とQOL向上に寄与する可能性を示しており、今後のサービスデザインの開発と普及に向けた基盤となる。

  • 徐 慧
    2025 年72 巻2 号 p. 2_45-2_54
    発行日: 2025/09/30
    公開日: 2025/10/21
    ジャーナル フリー

    視覚伝達デザインにおいて、レイアウトは、文字や写真、図形などの視覚要素を用いて、内容を効果的に伝達するプロセスである。情報が効率的かつ明確に伝わり、受け手に混乱を与えないようにすることが重要である。しかし、デジタル時代において類似したデザインの増加により、創造的な表現が困難になっている。本研究では、2年間にわたる実験を通じて視覚的階層の教育的価値を確認し、学生がそれをデザインに効果的に応用するための方法を探る。さらに、タイポグラフィにおける視覚的階層の価値を検討し、授業や調査を通じてその効果を評価する。この研究は、デザイン教育における新たな可能性を提案し、学生がデザインプロセスにおいて効率性と創造性を向上させる手助けとなることを目指す。

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