2008 年 25 巻 3 号 p. 3_148-3_193
2003年,我々は以下の判定問題を定義して,その決定可能性を示した:「ソフトリアルタイムシステムを表現・解析する1つの有用な道具である確率時間オートマトンというモデル上において,時間強模倣関係と確率模倣関係の組合せとして定義される確率時間強模倣関係が計算可能であるか否か」.但し,判定アルゴリズムは与えていない.そこで,本論文では具体的な判定アルゴリズムを提案し,更に実装して評価する.リアルタイムシステムの検証は検証コストが大きいので, 以下のような効率的なアルゴリズムを考案した.アルゴリズムの基本的な考え方は,注意深く選んだ初期集合から反例(確率時間強模倣関係を規定する条件を充たさない状態対)を段階的に取除き,残った集合内に初期状態対が含まれるか否かを判定する,というものである.