ウイルス
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特集1:自然免疫とウイルス感染
ビキチン化によるウイルス認識分子シグナルの制御
有元 啓一郎下遠野 邦忠
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2008 年 58 巻 1 号 p. 47-54

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抄録

 我々の体は感染防御機構として,病原体成分を直接認識し,感染防御反応を誘導するセンサー分子を備えている.代表的なToll様受容体(Toll Like Receptor; TLR)は病原体を細胞表面あるいはエンドソーム/リソソームで認識する.多くの病原体は細胞質内にも侵入するが,細胞質内にはnon-TLRセンサーが存在し,菌体成分や外来の二本鎖RNA(dsRNA)を認識する.それぞれのセンサー下流では,様々なシグナル伝達分子が機能しており,病原体の侵入時には,生体防御反応の誘導が行われている.宿主の防御反応を制御するサイトカインは細胞増殖に影響を与えることが知られており,その発現や量は厳密に制御される必要がある.このことは,病原体侵入によって活性化され適切に免疫応答に寄与した後に,速やかに減衰するための負のサイトカイン産生制御が必要であることを意味している.これまでの知見により,その制御のいくつかにユビキチン化システムが関与していると考えられている.本稿では,特にウイルス認識シグナルに関与する分子に対するユビキチン化修飾に焦点を当て,そのいくつかを紹介しながらどのようにユビキチン化がこの制御に関わるかについて概説したい.

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© 2008 日本ウイルス学会
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