肝臓
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原著
C型慢性肝炎に対するペグインターフェロンα-2a単独療法の治療効果と治療効果予測因子の検討
田中 崇釈迦堂 敏森原 大輔西澤 新也櫻井 邦俊猪俣 慎二郎花野 貴幸平野 玄竜上田 秀一松本 照雄吉兼 誠阿南 章竹山 康章入江 真岩田 郁早田 哲郎渡邉 洋向坂 彰太郎
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2008 年 49 巻 9 号 p. 417-425

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抄録

C型慢性肝炎の抗ウイルス療法は,ペグインターフェロンとリバビリン併用療法が主流であるが,リバビリンの副作用のため併用療法困難な症例ではペグインターフェロンα-2a(PEG-IFN)単独療法も考慮される.今回我々は,PEG-IFN単独療法の治療効果とSustained virological response(SVR)予測因子について検討を行った.PEG-IFN単独療法を行った84例のうち,SVRは56例(ITT解析,66.7%)であった.治療前のSVR予測因子は,若年例(p=0.0464),肝線維化が軽度の症例であり(p=0.0002),治療後の因子は,治療開始後4週以内のHCV RNA定性陰性化を来たすRapid virological response(RVR)(p<0.0001)であった.多変量解析では,RVRがSVR予測因子であった(オッズ比:17.2, p=0.0001).また,セロタイプ1型では,治療前HCV RNA量が400 KIU/ml未満(p=0.037),セロタイプ2型では500 KIU/ml未満(p=0.047)であればSVRを来たす可能性が高く,PEG-IFN単独療法のよい適応であると考えられた.

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© 2008 一般社団法人 日本肝臓学会
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