肝臓
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症例報告
アポ型ALTによりALTが異常低値を示したC型慢性肝炎に対して抗ウイルス療法を行った1例
奥本 和夫斎藤 貴史勝見 智大冨田 恭子佐藤 智佳子阿蘓 里佳西瀬 雄子渡辺 久剛上野 義之
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2013 年 54 巻 8 号 p. 543-547

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抄録

症例は65歳の男性.近医にてHCV抗体陽性を指摘され,精査加療目的に当院へ入院となった.初診時よりalanine aminotransferase(ALT)値は2 U/Lと極度に低値であったが,肝組織所見はA1/F2で慢性肝炎であった.ビタミンB6の補酵素であるピリドキサルリン酸(PALP)添加にてALTを測定したところ32 U/Lであり,アポ型のALTを呈していると考えられた.本症例に対し,ゲノタイプ2a型低ウイルス量であるためペグインターフェロン(Peg-IFN)α2a製剤を投与したところ,投与開始後1週目にはHCV RNAは検出感度以下となり,12週間の投与により著効となった.ALTにはアポ型,ホロ型があり本邦における測定系ではアポ型は測定されない.本症例においてALTが低値を呈した原因は,ALTがアポ型を呈していたためと考えられた.アポ型ALTが優位で,ALTが極度に低値を示していたが,Peg-IFNα2a投与により著効となったC型慢性肝炎の1例を報告した.

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© 2013 一般社団法人 日本肝臓学会
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