良悪性診断を目的とする CADにおいて,病変領域の正確な抽出は重要な処理である.しかし,悪性の可能性が高いすりガラス状の結節(GGO結節)は,境界が不明瞭なため,高精度な領域抽出は困難であった.著者らは,CT値特徴に基づいてブースティングによって病変を強調し,その強調画像からグラフカットを用いてGGO結節を抽出する手法を開発した.提案手法の有効性の評価には,京大病院において撮影されたGGO結節100個を使用し,10分割交差検定法により正解領域と抽出領域との一致度(Jaccard index)を評価した.その結果,CT像をそのままグラフカットに入力した場合が40.7%,ブースティング結果を閾値処理した場合が67.3%であった.これに対して,グラフカットと組み合わせた提案手法は72.2 %となり,上記の他の数値よりも統計的に有意に高いことが確認された.