2003 年 50 巻 p. 1236-1240
尼崎港の環境修復を目的に, 『捨石堤で囲われた干潟』の造成効果について現地実験を実施した. 尼崎港のような富栄養化の進行した海域では, 水質浄化や生物生息空間の再生に加え, 市民が憩う親水域の創出が望まれている. 本論では, 捨石堤で囲われた実験海域を造成し, 透明度の高い親水域の創出を試みた. さらに, 堤内域に多様な物質循環機能を付加する目的で干潟を造成し, その効果を現地調査結果より評価した. その結果, 透明度の高い親水域の創出は可能であるものの, 堤内域に対して底生生物の加入が遅れることで付着藻類が繁茂し, 有機物が蓄積されやすいという課題が抽出された.