2003 年 50 巻 p. 1241-1245
造成後20年が経過した人工的な塩生湿地である南港野鳥園北池の水質浄化機能を明らかにするため2001年から2002年にかけて物質収支に関する観測を行った. その結果, 浮游懸濁物質とクロロフィルaは湿地内に固定される傾向が見られ, さらに, 溶存無機態窒素を海藻類が固定し, 微生物などの働きにより有機態に変換して系外に排出しながらも, 総窒素としては隣接海域への負荷を低減することがわかった. これらのことから, 臨海域に多く残存する低・未利用地を人工塩生湿地に再生しても, 自然干潟と同程度の水質浄化機能を維持できると期待された.