臨床血液
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症例報告
コンファクトF®を用いた病型不明のvon Willebrand病に合併した卵巣出血の止血管理
鈴木 隆史香川 和彦大石 毅川田 和秀藤東 淳也井坂 恵一福武 勝幸
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2008 年 49 巻 12 号 p. 1623-1627

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抄録

von Willebrand病(VWD)患者に合併した卵巣出血の緊急手術を経験した。症例は24歳の女性で下腹部痛にて来院した。腹部超音波検査にて卵巣出血と診断され,観血的処置が必要であると判断された。患者は幼小児期にVWDと診断されていたが,Typeは不明であった。緊急で施行した術前のリストセチンコファクター活性(VWF: RCo)が7∼14%であったため,止血管理にはVWFを含むコンファクトF®を用いた補充療法を選択し,腹腔鏡下に左卵巣部分切除を行った。術後経過は順調で異常出血を認めることなく第7病日に製剤投与を中止できた。本症例の診断ならびに周術期の止血管理においては,VWF: RCoを簡便かつ迅速に結果を得ることができるフォンヴィレブランド試薬(VW試薬;デイドベーリング社,マールブルグ,ドイツ)を用いた。VW試薬による測定結果と後日行った固定血小板凝集法によるVWF: RCo定量法とを比較したところ,ほぼ同等の結果を示していたことから,同診断薬は本症の診断ならびに緊急出血時の止血管理に有用であった。

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© 2008 一般社団法人 日本血液学会
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