臨床血液
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総説
  • 吉田 稚明, 瀬戸 加大, 大島 孝一
    2019 年 60 巻 4 号 p. 271-280
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/05/08
    ジャーナル 認証あり

    末梢性T細胞リンパ腫(peripheral T-cell lymphoma, PTCL)は多様な病型を含む疾患である。網羅的ゲノム異常解析により病型ごとのゲノム異常の特徴が判明し,その複雑性,また不均一性が明らかとなった。2016/2017年に行われたWHO分類の改定では,「リンパ腫」と「リンパ増殖異常症」がより明確に区別され,また免疫表現型に基づく疾患が確立された。ゲノム異常に基づく診断については,その多様性から困難と推測され,補助診断として有用である可能性がある。ゲノム異常解析後の重要な課題として,今後臨床予後に関する異常の同定,また治療標的となりうる異常の同定が挙げられる。PTCLの予後が現在概して不良であることからは,この治療標的,また標準治療法の確立は今後重要な課題と考えられる。そのために臨床病理学像およびゲノム異常解析,そして患者由来腫瘍モデルなどが有用と考えられる。これらの結果の統合がPTCLの予後改善につながると考えられる。

症例報告
  • 筒井 深雪, 後藤 明彦, 小松 則夫
    2019 年 60 巻 4 号 p. 281-285
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/05/08
    ジャーナル 認証あり

    発作性夜間ヘモグロビン尿症(paroxysmal nocturnal hemoglobinuria, PNH)合併妊娠では溶血の増悪に伴う血栓症のリスクが高く,母体死亡,流産,未熟児の頻度も高い。Eculizumabは妊娠合併症のリスクを軽減させることが報告されてきており,特発性造血障害に関する調査研究班による「PNH妊娠の参照ガイド」では非導入例は妊娠初期以後のeculizumabの導入が,既に導入されている場合はその継続が推奨されている。今回,輸血非依存だが時に溶血発作を認める31歳女性のPNH患者に対し,稽留流産後にeculizumabを導入したところ,自然妊娠が速やかに成立した。妊娠中,溶血発作や血栓症などの合併症は認めず,抗凝固薬の併用をせずに安全に出産でき胎児も正常であった。産褥期は血栓のリスクが高いため,分娩後6週間ヘパリン投与を行ったが,産褥期も合併症を認めなかった。PNHは希少疾患でありその中でも妊娠出産例はさらに少ない。今後も症例を蓄積し,参照ガイドの整合性を検証していくことが重要である。

  • 須摩 桜子, 栗田 尚樹, 馬場 直子, 石塚 幹太郎, 助川 慎一郎, 槇島 健一, 清木 祐介, 丸山 ゆみ子, 加藤 貴康, 横山 泰 ...
    2019 年 60 巻 4 号 p. 286-290
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/05/08
    ジャーナル 認証あり

    慢性活動性EBウイルス感染症(CAEBV)は血球貪食性リンパ組織球症(HLH),多臓器不全等を合併する重篤な疾患である。CAEBVに対する化学療法および移植前処置直後に急激に状態が悪化し致死的となった2症例を報告する。症例1:34歳男性。発熱と肝障害で発症。HLH合併。エトポシド,シクロスポリン,ステロイドによる初期治療で軽快したが4ヶ月後に再燃。臍帯血移植を予定し前処置である大量メルファラン投与翌日に急激な呼吸不全,汎血球減少,高フェリチン血症を呈し3日後に死亡した。症例2:53歳女性。心膜炎で発症。HLH合併。前述の初期治療で改善を得たが17日後に再燃。救援療法として行った大量シタラビン投与開始翌日に呼吸不全を来し3日後に死亡した。治療直後の病状の急激な悪化を防ぎ長期生存を目指すためには,化学療法前の十分な病勢の制御,再燃を予防しつつ同種移植に移行する計画的治療戦略が必要である。

  • 清水 拓也, 野上 恵嗣, 水谷 知里, 今田 和典
    2019 年 60 巻 4 号 p. 291-295
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/05/08
    ジャーナル 認証あり

    症例は80歳,男性。アルコール性肝硬変から,肝細胞がんを来し,肝動脈化学塞栓術を複数回受けていた。X−1年11月に下肢の閉塞性動脈疾患に対して,経皮的血管形成術・ステント留置術が施行され,clopidogrelとcilostazolの内服が開始された。X年3月より皮下出血を繰り返し,cilostazolを中止。その後もAPTT延長が持続し当科へ紹介となった。血小板10.3万/µl,PT-INR 1.26,APTT 83.2 sec,第VIII因子活性 <1%,クロスミキシングテストではインヒビターパターン,第VIII因子インヒビターが449 Bethesda unit(BU)/mlと高値で後天性血友病Aと診断した。Clopidogrelの中止とともにprednisolone 0.5 mg/kgで治療を開始し,4週間後にAPTTの正常化を認めた。本症例は,clopidogrelが発症に関与した可能性があること,高力価第VIII因子インヒビターを認めたが,バイパス製剤を使用せず治療できた点が特徴的であった。

  • 安達 弘人, 土岐 典子, 日野 裕太郎, 妹尾 寧, 池川 俊太郎, 渡邉 大介, 稲本 恭子, 吉岡 康介, 名島 悠峰, 小林 武, ...
    2019 年 60 巻 4 号 p. 296-301
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/05/08
    ジャーナル 認証あり

    症例は,51歳男性。急性骨髄性白血病再発のため,同種骨髄移植を施行された。移植後6ヶ月に足背浮腫と少量の胸水・心嚢水を認め,屯用の利尿剤内服で改善していた。移植後8ヶ月に,貧血に対して赤血球輸血を行い,輸血80分後に肺胞出血を伴う急性呼吸不全となり気管内挿管後人工呼吸器管理となった。急激な肺うっ血像と左室収縮能低下を認めたためtransfusion associated circulatory overload(TACO)と診断された。十分な利尿剤投与による心負荷の軽減で3日後には人工呼吸管理を離脱した。肺胞出血の原因は,他疾患は否定的で心不全治療のみで改善した経過から,急性の肺うっ血に伴う血管の破綻が考えられた。造血器腫瘍患者では,化学療法や長期の貧血による心不全発症のリスクが高い。心拡大や浮腫・胸水などの体液貯留がある場合には,心不全の可能性を念頭におき,輸血前後の水分管理を行う必要がある。

  • 中野 洸太郎, 伊東 侑治郎, 髙木 文智, 内山 哲, 依田 在理, 坂本 奈美, 高羽 理光, 安達 美和, 竹村 兼成, 永田 泰之, ...
    2019 年 60 巻 4 号 p. 302-307
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/05/08
    ジャーナル 認証あり

    65歳女性。2010年に関節リウマチを発症し,MTXが開始された。2012年にサルコイドーシス(サ症)を発症したが,症状が軽度の末梢神経障害のみであったため経過観察となった。その後,2018年に脾臓原発びまん性大細胞型B細胞リンパ腫も併発したためsarcoidosis-lymphoma syndrome(SLS)と診断された。Methotrexateを中止し,rituximab併用化学療法を6コース施行したが,治療終了18週後のPET/CTで縦隔と肺門リンパ節,両側上下肢の骨格筋に新たなFDG異常集積を認めた。肺門リンパ節生検を施行し,リンパ腫の再発は否定された。組織学的には肉芽腫様変化を認めたが,サ症の確定診断には至らなかった。ACEの上昇と下肢筋のMRI所見から臨床的にサ症再燃と判断し,経過観察中である。SLSの化学療法後にPET/CTで異常集積を認めた場合は悪性リンパ腫とサ症の鑑別が重要である。

  • 後藤 亜香利, 井山 諭, 須釜 佑介, 吉田 正宏, 井畑 壮詞, 舘越 鮎美, 藤田 千紗, 菊地 尚平, 池田 博, 村瀬 和幸, 高 ...
    2019 年 60 巻 4 号 p. 308-313
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/05/08
    ジャーナル 認証あり

    POEMS症候群に対してlenalidomide(Len)-dexamethasone(Dex)(Ld)療法を施行した3例を報告する。症例は,69歳女性,51歳男性,59歳男性の3例で,末梢神経障害を主訴に受診した。全例でvascular endothelial growth factor(VEGF)の異常高値を認めた。重篤な末梢神経障害を有することから,神経毒性の少ないLd療法を選択した。全例で血清VEGFの低下と神経症状の改善を認めた。1例は自家移植後,2例はLd療法継続中である。本症候群の標準治療は確立されていないが,多発性骨髄腫に準じた治療法が選択されることが多く,自家移植や新規薬剤の有効性が報告されている。本邦ではthalidomide(Td)を用いたランダム化比較試験が行われ良好な治療成績が報告されたが,bortezomib(Bor)と同様に薬剤性神経障害の増悪が懸念される。LenはTdやBorに比較して神経障害の発症率が低く,本症候群の治療に有用であると考察される。

  • 伏屋 帆悠里, 中尾 隆文, 堤 美菜子, 中舎 洋輔, 堀内 美令, 吉田 全宏, 吉村 卓朗, 林 良樹, 福島 裕子, 井上 健, 愛 ...
    2019 年 60 巻 4 号 p. 314-318
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/05/08
    ジャーナル 認証あり

    ランゲルハンス細胞肉腫(LCS)はランゲルハンス細胞由来の予後不良な造血器悪性疾患であるが,その希少性により標準治療は確立されていない。我々は右頸部の複数のリンパ節に生じたランゲルハンス細胞肉腫に対し,外科的切除後に自家造血幹細胞移植を行うことで寛解を維持している症例を経験したので報告する。症例は58歳男性。右顎下の腫瘤を主訴に受診。PET-CTで右頸部の複数のリンパ節腫大を指摘され,生検にてLCSと診断された。CHOP療法を行ったが,治療終了後も急速に腫瘤は増大したため,CHOP療法開始16日目に頸部廓清術を施行した。術中所見にて腫瘍の残存が疑われたため,エトポシド,シスプラチン,イホスファミド,ゲムシタビンを用いた化学療法を実施し,PET-CTにて寛解を確認。その後に自家末梢血幹細胞移植併用の大量化学療法を実施したが,移植2年を経た現在も寛解を維持している。LCSに対する自家造血血幹細胞移植の報告例はないが,有効な治療手段となる可能性がある。

  • 徳永 正浩, 前田 哲生, 福地 成晃, 玉井 皓己, 美濃地 貴之, 笹川 廣和, 近藤 篤史, 井上 慎也, 森田 隆子, 冨永 信彦
    2019 年 60 巻 4 号 p. 319-325
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/05/08
    ジャーナル 認証あり

    症例は68歳女性。左頸部リンパ節腫脹にて受診し,同部の生検で濾胞性リンパ腫grade 2と診断された。PET/CTにて左頸部から鎖骨上部にかけてとS状結腸,胆嚢底部にFDGの異常集積を認めた。S状結腸のIsp型ポリープに対しては内視鏡的粘膜切除術を施行し,粘膜下層への深い浸潤を伴う高~中分化管状腺がんと診断した。胆嚢底部の結節はCT検査では動脈相から平衡相まで造影され胆嚢がんが考えられた。低腫瘍量の濾胞性リンパ腫よりも胆嚢病変およびS状結腸がんに対する外科治療を優先し,腹腔鏡下S状結腸切除術と同時に胆嚢床切除術を施行した。切除した胆嚢病変は術前の予想に反して濾胞性リンパ腫と診断された。濾胞性リンパ腫は節外臓器にしばしば発生するが,胆嚢病変を伴うことは極めて稀である。術前に胆嚢がんと鑑別することは難しく,本例のような重複がん患者においては胆嚢病変の診断結果により治療方針も異なるため,積極的な組織学的検索が重要と考える。

  • 井手 史朗, 大原 慎, 内田 智之, 井上 盛浩, 華 見, 萩原 政夫
    2019 年 60 巻 4 号 p. 326-330
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/05/08
    ジャーナル 認証あり

    65歳,男性。膀胱直腸障害と両下肢の感覚障害を自覚し入院となった。入院時,画像検査で胸部すりガラス影を認め,さらに抗サイトメロウイルス(CMV)-IgM陽性を有意と捉え,一連の症状をCMV感染によるものと考え,ステロイドパルス療法および抗ウイルス療法を開始するも,改善を認めなかった。その後,肺野病変が悪化したため気管支鏡検査を行い,生検も追加し,血管内大細胞型B細胞性リンパ腫(IVLBCL)の診断を得た。R-CHOP療法が施行され,自覚症状,採血データは速やかに改善傾向を認め,完全寛解に到った。MTXによる髄注療法を追加し,2年間の寛解を維持している。IVLBCLは9.5%に末梢神経障害を合併することが報告されているが,馬尾神経障害を呈する例は末梢神経障害のうちの14.5%とさらに稀であるとされ,ここに報告する。

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