臨床血液
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Picture in Clinical Hematology
症例報告
  • 岡 知美, 平田 大二, 北川 智也, 井尾 克宏, 永井 謙一
    2020 年 61 巻 4 号 p. 301-304
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/05/01
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    症例は64歳男性。既往歴に喉頭がん。治療後5年間再発なく経過し,一旦外来フォローを終了されたが,その後も毎年18F-fluorodeoxyglucose-positron emission tomography(FDG-PET)を含めた検診を受けていた。2018年に受けたFDG-PETで全身骨髄に淡いびまん性集積を認め,血液疾患の可能性を指摘され精査目的に当科受診。当院で施行した血液検査にて,白血球数48,700/µl(芽球0.5%,骨髄球14.0%,好塩基球3.5%),Hb 13.4 g/dl,血小板数67.6×104l,LDH 524 IU/lと異常を認めた。NAPスコアは49と低下,骨髄像では著明な骨髄球系細胞の過形成を認め,フィラデルフィア染色体陽性であった。脾腫や芽球増加は認めなかった。慢性骨髄性白血病(慢性期)と診断し,dasatinib 100 mg/日にてtyrosine kinase inhibitor治療を開始した。3ヶ月後に細胞遺伝学的完全寛解を達成した。1年後には分子遺伝学的大寛解を達成し,FDG-PETで全身骨髄への異常集積消失を確認した。治療前後の変化をFDG-PETで比較できた症例は非常に貴重なため報告する。

  • 坂本 光, 今泉 芳孝, 新野 大介, 竹内 真衣, 松井 昂介, 蓬莱 真喜子, 佐藤 信也, 赤澤 祐子, 安東 恒史, 澤山 靖, 波 ...
    2020 年 61 巻 4 号 p. 305-311
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/05/01
    ジャーナル 認証あり

    Human T-cell leukemia virus type I(HTLV-1)キャリアや成人T細胞白血病・リンパ腫(ATL)は免疫不全を来すことが知られているが,Epstein-Barrウイルス陽性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫発症(EBV陽性DLBCL)との合併の報告は少ない。今回,サイトメガロウイルス網膜炎を発症したHTLV-1キャリアに,網膜炎の治療中に肝臓腫瘍が出現し,生検の結果,ATLとEBV陽性DLBCLのcomposite lymphomaと診断した症例を経験した。化学療法開始前には肺クリプトコッカス症,侵襲性肺アスペルギルス症の合併を認めた。化学療法を行ったが,CMV抗原血症や敗血症の合併を繰り返し,最終的に敗血症で死亡した。日和見感染症を合併したHTLV-1キャリアでは,ATLのみならずEBV陽性DLBCLの発症および感染症の管理にも注意が必要である。

  • 北村 亘, 町田 拓哉, 藤下 惠悟, 岡 聡司, 藤澤 佑香, 谷 勝真, 今井 利
    2020 年 61 巻 4 号 p. 312-317
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/05/01
    ジャーナル 認証あり

    39歳,男性。混合性急性白血病の診断で,第一完全寛解期に同種造血幹細胞移植が施行された。熱源の精査目的に施行した髄液検査で,中枢神経系の移植片対宿主病が疑われたため,prednisoloneが開始された。移植後118日目に,定期フォローアップ目的に施行した胸腹部CTで,広汎な大腸壁内気腫を認めた。Prednisoloneによる薬剤性の腸管気腫症と診断し,高流量酸素療法による保存的加療を開始したところ,1週間後のCT所見では大腸壁内気腫の消失を確認し,以後再燃を認めなかった。腸管気腫症の原因として様々な疾患,薬剤が報告されているが,血液疾患,特に成人の同種造血幹細胞移植後に腸管気腫症を合併した報告は少なく,過去の報告と合わせて検討した。

  • 内野 かおり, 阿藤 文徳, 山田 早紀, 松村 沙織, 金杉 丈, 中村 文乃, 髙杉 壮一, 堀尾 知弘, 村上 五月, 水野 昌平, ...
    2020 年 61 巻 4 号 p. 318-321
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/05/01
    ジャーナル 認証あり

    Howell-Jolly小体の出現と脾臓低形成を伴う劇症型肺炎球菌感染症を報告する。症例は71歳の男性。IgG-κ型多発性骨髄腫への外来化学療法中に発熱があり来院。侵襲性肺炎球菌感染症による敗血症性ショックと診断された。来院時の末梢血塗抹標本上Howell-Jolly小体がみられた。CT上著明な脾臓低形成があり,脾機能低下の存在が考えられた。抗菌療法開始後肺炎球菌感染症は治癒したが,脾臓低形成に著変はなかった。脾臓低形成は,致死的感染症を合併しうるため,高齢者やがん患者,免疫抑制療法中の患者は注意を要する。自動血球分析装置が普及した現在,末梢血塗抹標本の鏡検が全例で行われるとは限らない。Howell-Jolly小体が簡便で迅速な脾機能低下のスクリーニングに役立つ可能性が示唆され,鏡検でのHowell-Jolly小体の観察の重要性を再評価すべきと考えられた。

  • 福岡 講平, 津村 悠介, 野口 隼, 須川 正啓, 高木 虎太郎, 平木 崇正, 井上 恭兵, 三谷 友一, 富田 理, 大嶋 宏一, 柳 ...
    2020 年 61 巻 4 号 p. 322-326
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/05/01
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    ギルテリチニブは,成人のFMS-like tyrosine kinase3(FLT3)変異陽性治療抵抗性,再発急性骨髄性白血病(AML)に対して有効性が認められたFLT3阻害剤であるが,同変異を有する小児例への投与の報告は少なく国内の報告はまだない。症例1は初回再発時からFLT3-ITD陽性となった2回目再発AMLの11歳男児で,ギルテリチニブ開始後,腫瘍崩壊症候群を認めることなく,約9割近くを占めていた末梢血中の芽球は投与1週間で消失した。その後,各種有害事象を認め同薬剤開始後2.5ヶ月で原病死した。症例2は同遺伝子異常陽性移植後再発AMLの12歳女児で,同薬剤開始後,全身状態を保ちながら5ヶ月にわたり形態学的には寛解を維持していたが,分子遺伝学的にはレシピエント細胞が残存し徐々に増加傾向を認めた。小児FLT3-ITD陽性再発AMLに対するギルテリチニブの投与は実行可能であり一定の有効性を認めたが,有害事象を複数認めた症例も存在したため,小児に対する適正な投与量の確立を,臨床試験によって早急に行う必要がある。

  • 前村 遼, 若松 学, 坂口 大俊, 吉田 奈央, 唐川 修平, 小林 正夫, 亀井 克彦, 濱 麻人
    2020 年 61 巻 4 号 p. 327-333
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/05/01
    ジャーナル 認証あり

    症例は18歳男性で,2歳時に慢性肉芽腫症と診断された。適切なドナーがなく,強度減弱前処置の下,母親からHLA半合致骨髄移植を施行した。移植後17日目に生着したが,キメリズムが低下し,96日目にドナーリンパ球輸注を施行した。120日目に急性移植片対宿主病を発症し,ステロイド投与を開始した。173日目に痙攣出現し,脳・肺・腎・前立腺に膿瘍を認めた。脳・前立腺・腎の膿瘍穿刺液からAspergillus siamensisが検出され,播種性アスペルギルス症と診断した。A. siamensis感染症はこれまで報告はなかったが,各種抗真菌薬を併用するも増悪し,239日目に永眠された。移植後の播種性アスペルギルス症は致死的であり,各種抗原をモニタリングしつつ,感染徴候を認めた場合には速やかに適切な検体を採取し,菌種・感受性に則した薬剤の選択が求められる。

特集:臨床血液学 ―診断と治療におけるパラダイムシフト2020―
特集:臨床血液学 ―診断と治療におけるパラダイムシフト2020 (骨髄系疾患)―
  • 宮本 敏浩
    2020 年 61 巻 4 号 p. 335
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/05/01
    ジャーナル 認証あり
  • 合山 進
    2020 年 61 巻 4 号 p. 336-342
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/05/01
    ジャーナル 認証あり

    白血病幹細胞モデルは,白血病の発症や再発の原因として20年以上にわたって注目を集めてきた。急性骨髄性白血病は幹細胞の存在が最初に証明された腫瘍であり,現時点で幹細胞研究が最も進んでいる腫瘍の一つである。急性骨髄性白血病幹細胞は,細胞周期の停止した休眠状態にあり,CD34+CD38-分画に多く存在し,CD123,CD47,TIM-3など白血病幹細胞特異的な抗原を発現している。また白血病幹細胞の生存・増殖には,WNT/β-catenin,PI3K/AKT/FOXOなどのシグナル伝達経路や,ミトコンドリアにおける好気呼吸が重要な役割を果たしている。さらに最近,ゲノム解析や免疫学との融合により,白血病幹細胞が様々な変異を持つ不均一な集合体であることや,腫瘍免疫からの攻撃を免れる仕組みを持つこともわかってきた。本稿では最新のAML幹細胞研究について紹介し,臨床応用のための課題について考察する。

  • 多賀 崇
    2020 年 61 巻 4 号 p. 343-349
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/05/01
    ジャーナル 認証あり

    急性白血病における微小残存病変(minimal(measurable)residual disease, MRD)は,血液学的寛解にある患者の残存白血病細胞をマルチパラメーターのフローサイトメトリーや様々な分子学的手法により示すものである。MRDは今や急性骨髄性白血病(AML)治療開始後の独立した予後因子となり,これまで用いられている臨床的,分子生物学的データともども重要なリスク層別化因子となりつつある。一方,どのポイントでMRDを測定するのがよいか,適切な基準値は何か,骨髄血か末梢血のどちらがよいか,様々な研究室で行われているものをどう標準化するかなど多くの問題をかかえている。本稿では,AMLにおけるMRDの測定方法,臨床的意義,MRDを指標とした治療などについて解説する。

  • 山口 博樹
    2020 年 61 巻 4 号 p. 350-357
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/05/01
    ジャーナル 認証あり

    急性骨髄性白血病(AML)は,近年の遺伝子変異解析技術の進歩によってその発症や再発に関与をする多くの遺伝子変異が発見された。こうしたゲノム解析の結果は予後因子や微少残存病変マーカーとして臨床応用をされるだけでなく新規の分子標的薬創薬に貢献をしている。実際に欧米からは第一世代FLT3阻害薬,IDH1/2阻害薬,BCL2阻害薬など多くの新規薬剤が登場をし,本邦からも第二世代FLT3阻害薬のgilteritinibやquizartinibの開発でAMLの治療成績が向上しつつある。しかし欧米とのドラッグラグが依然として大きく,欧米の治療ガイドラインを本邦の実臨床にあてはめることはできない。そこで本稿では現在の本邦でのAMLの実臨床において遺伝子診断による分子標的薬治療をどのように考えたらよいのか,さらに今後のAMLの遺伝子診断や治療のパラダイムシフトを概説する。

  • 昆 彩奈
    2020 年 61 巻 4 号 p. 358-367
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/05/01
    ジャーナル 認証あり

    次世代シーケンス技術の革新を背景とした網羅的ゲノム解析により,骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndromes, MDS)の病態に関わるドライバー変異の全貌が明らかにされた。ドライバー変異は段階的に獲得されること,ドライバー変異の間には強い共存・排他関係が存在することが明らかとなり,さらに,MDSから二次性白血病に進展する過程の遺伝子変異の全貌の解明も進んだ。一方,健常高齢者において,ドライバー変異を有する「クローン性造血」が高頻度に認められることが報告された。さらに,新規の胚細胞変異が同定され,MDSを発症するはるか以前にすでに変異が存在することも明らかとなった。初期のドライバー変異を獲得した胚細胞あるいは正常造血幹細胞が,前がん状態を経てMDS,さらには白血病へ進展する過程におけるクローン進化についての知見の蓄積が進んでいる。

特集:臨床血液学 ―診断と治療におけるパラダイムシフト2020 (造血幹細胞移植)―
  • 神田 善伸
    2020 年 61 巻 4 号 p. 368
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/05/01
    ジャーナル 認証あり
  • 橋本 大吾
    2020 年 61 巻 4 号 p. 369-378
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/05/01
    ジャーナル 認証あり

    同種造血幹細胞移植の動物モデルは,約70年にわたって同種造血幹細胞移植の発展に寄与してきた。こうした動物モデルは,今後も移植の安全性や有効性を向上させるために使用されていくと考えられる。特にマウスモデルでは,遺伝子改変動物や研究試薬が豊富に準備されており,移植後合併症の病態生理の解明や新規治療標的の探索には最適であると考えられる。一方で,サル(non-human primate)を使用したモデルは,臨床の現場で用いられている移植前処置・GVHD予防法・支持療法を使用することができ,遺伝背景もヒトに近い点が有用である。こうしたモデルは,マウスモデルなどで見いだされた新規治療法をヒトに応用する際の,有効性や安全性を検証するために最適である。本稿では,同種造血幹細胞移植の研究で使用される様々な動物モデルを紹介し,その使用法について解説することとする。

  • 仲宗根 秀樹
    2020 年 61 巻 4 号 p. 379-386
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/05/01
    ジャーナル 認証あり

    バイオマーカーとは生体内(血液,体液,尿,組織)にある細胞,生理活性物質,遺伝子などの中で,疾患の進行や治療介入の反応などによく相関する客観的な指標である。移植後合併症として重要なものに急性および慢性移植片対宿主病があげられるが,移植患者内の環境を経時的に評価することができれば,移植片対宿主病の発症予測,重症度判定,そして治療方針決定に有用なツールとなりうる。本稿では,バイオマーカーの定義,急性および慢性移植片対宿主病のバイオマーカーとして確立しつつあるものや興味深いバイオマーカー等を紹介する。バイオマーカーには免疫再構築異常に関連するもの,標的臓器に関わるもの,創傷治癒(炎症や線維化)に関わるものなどがあげられ,様々なバイオマーカーの視点から移植片対宿主病の複雑な病態生理ネットワークの理解につながれば幸いである。今後もバイオマーカー研究は,診断,治療,創薬において重要なものになるだろう。

  • —現状と展望—
    熱田 由子
    2020 年 61 巻 4 号 p. 387-391
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/05/01
    ジャーナル 認証あり

    本邦における造血細胞移植は近年では年間約5,500件行われており,近年尚世界的にも移植件数は増加している。レジストリデータである造血細胞移植登録一元管理プログラム(TRUMP®)データを用いた後方視的観察研究は,テーマごとのワーキンググループにより活性化され,近年では年間20編以上の学術論文としてその研究成果が公表され,造血細胞移植医療の発展に寄与している。共有スクリプトの開発は,レジストリデータの解析においてその品質の向上に寄与している。2020年1月に,WHO疾患分類改訂や新規薬剤等を含めたTRUMP®調査項目の大幅改訂がなされ600項目を超える調査項目が変更となった。登録研究の質管理体制もこれに対応し大幅アップデートの必要がある。造血細胞移植レジストリは造血細胞移植と細胞治療のレジストリとして発展しつつあり,国際共同研究を含めその利活用の幅が広がることが期待される。

第80回日本血液学会学術集会
学会奨励賞受賞論文
  • 浅田 修平
    2020 年 61 巻 4 号 p. 392-405
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/05/01
    ジャーナル 認証あり

    ASXL1は骨髄性腫瘍において頻回に変異を認め,その変異はしばしば予後不良因子である。その臨床的重要性にも関わらず,変異型ASXL1が病態形成に寄与する詳細な機構は未だ不明であった。そこで,変異型ASXL1と脱ユビキチン化酵素BAP1とが形成する活性化型複合体の白血病原性に及ぼす影響を解析した。野生型ASXL1と異なり,BAP1の発現は変異型ASXL1をモノユビキチン化した状態で安定化した。一方,変異型ASXL1のモノユビキチン化はBAP1の酵素活性を高め,PRC1と拮抗してH2AK119ubを減少した。この複合体はHoxaIRF8を脱抑制し,多系統の分化障害,白血病原性の促進を惹起した。BAP1の欠損は,ASXL1変異白血病細胞やMLL転座型白血病細胞のHoxaの発現を低下し,その白血病原性を減弱した。以上より,BAP1が広範な骨髄性白血病に対し,有望な治療標的であることが示唆された。

第81回日本血液学会学術集会
Career Symposium for Female Doctors
地方会
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