臨床血液
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学会奨励賞受賞論文
  • 森田 薫
    2025 年66 巻11 号 p. 1421-1430
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/05
    ジャーナル 認証あり

    慢性移植片対宿主病(慢性GVHD)は,同種造血幹細胞移植後の主要な晩期合併症である。本研究では,女性ドナーから男性レシピエントへの異性間移植(F-to-M移植)におけるH-Y抗原特異的免疫応答に着目し,特にDBYタンパク質とHLA class II分子の複合体(DBY/HLA class II複合体)を標的とした同種抗体が慢性GVHDの病因に関与する可能性を検討した。その結果,F-to-M移植において特定のHLA-DRB1アレルによりこの複合体形成が促進し,移植後早期に抗DBY/HLA class II抗体が出現することが,慢性GVHD発症リスクと関連した。この複合体は血管内皮上に発現し,局所の線維化につながることが明らかとなった。さらに,この複合体は白血病細胞にも発現し,GVL効果と共通する免疫標的の可能性が示唆された。本複合体は,自己免疫疾患で報告されているネオ・セルフ抗原の一種と捉えることができ,自己免疫疾患との臨床的類似性の理由も明らかにした。本知見は,発症予測バイオマーカーや新規治療標的の開発に向けた基盤となる。

臨床研究
  • 岡田 恵子, 小川 千登世, 萱谷 理秀, 東 紗希子, 菊池 菜摘, 野口 真由子, 谷村 一輝, 山崎 夏維, 仁谷 千賀, 藤崎 弘之 ...
    2025 年66 巻11 号 p. 1431-1437
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/05
    ジャーナル 認証あり

    目的:高用量methotrexate(MTX)療法(HD-MTX療法)後MTX排泄遅延をきたした日本人患者8例を対象に実臨床と同じMTX濃度測定条件下でglucarpidase(以下,本剤とする)を投与し,その有効性と安全性を評価した。方法:本研究は,多施設共同,単群,非盲検,第II相試験である。本剤は添付文書に記載されているMTX排泄遅延判断基準に従い投与し,投与後も支持療法は継続した。結果:有効性評価項目である本剤初回投与開始48時間後の血中MTX濃度は,全例で投与前から90%以上の低下が認められ,1 µmol/lを下回った患者割合は87.5%であった。安全性評価項目であるgrade 3以上の有害事象は25.0%で報告されたが,本剤と因果関係がある有害事象は認められなかった。結論:本研究で示された結果は先行臨床試験と同様であり,実臨床においても有効性および安全性が期待できる。

  • —合併症および治療薬に関する中間サブ解析—
    長尾 梓, 近澤 悠志, 兼松 毅, 山﨑 尚也, 野島 正寛, 廣井 透雄, 天野 景裕, 澤田 暁宏, 鈴木 伸明, 竹谷 英之, 日笠 ...
    2025 年66 巻11 号 p. 1438-1448
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/05
    ジャーナル 認証あり

    緒言:血友病患者の高齢化に伴い,慢性合併症や治療上の課題が注目されている。方法:40歳以上の血友病を対象とした前向き多施設共同研究ADVANCE Japanの中間解析として,2019~2023年の合併症,薬剤使用,心血管リスク因子に関するサブ解析を行った。結果:599名中17人が死亡し,死因には肝疾患,頭蓋内出血,悪性腫瘍などが含まれた。合併症としてがんは32名に認められ,最多は肝がんであった。高血圧の有病率は一般男性より有意に高く(OR 1.506),脂質異常症,CKD,肥満,喫煙は有意に少なかった(各OR 0.481,0.532,0.592,0.736)。処方薬の解析ではNSAIDsの多用がみられ,進行した関節症に伴う慢性疼痛が疑われた。新規インヒビターは4例に発症し,うち2例は既往のない発症例だった。結論:本解析は,今後の治療戦略構築に向けた重要な基盤を提供するものである。

  • 西川 匠, 佐分利 益穂, 前原 邦亮, 浦勇 慶一, 高田 寛之, 宮﨑 泰彦, 大塚 英一
    2025 年66 巻11 号 p. 1449-1454
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/05
    ジャーナル 認証あり

    2005年1月~2023年12月にmelphalan 180 mg/m2と全身放射線照射8~12 Gyの骨髄破壊的前処置により同種移植を行った造血器腫瘍12例の単施設後方視的検討を行った。移植時年齢中央値41.5歳(範囲:17~51)で,急性骨髄性白血病5例,急性リンパ性白血病5例,骨髄異形成症候群1例,成人T細胞白血病リンパ腫1例が含まれた。観察期間中央値は32ヶ月(範囲:1~190)において11例で好中球生着し,3年の全生存率,無増悪生存率,および再発率は,47.6%,41.7%,33.3%であった。前処置関連毒性としてgrade 3の粘膜障害を10例で認めた。死因は感染症が3例,原病の増悪が3例と最多であり,2年の非再発死亡率が25.0%と高く,適応は限定的と考えられた。

症例報告
  • 有吉 和範, 大中 貴史, 小薮 助直, 今田 和典
    2025 年66 巻11 号 p. 1455-1461
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/05
    ジャーナル 認証あり

    症例は73歳男性,びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の第3再発に対し2023年7月よりCAR-T細胞療法を施行するも,2024年4月に第4再発を来した。DeVIC療法1コースによるデバルキング療法後,5月よりepcoritamabを開始。右頬部病変は速やかに縮小を得たが,左下腿病変は投与開始後3日目より増大傾向となった。追加加療せず経過観察したところ,投与開始後14日目より縮小に転じ,8コース後のCTで両病変とも完全寛解(CR)に至った。組織学的証明は得られていないが,経過から増大病変はpseudo-progressionであったと臨床診断した。二重特異性抗体投与においてCAR-T細胞療法と同様,初期効果判定においてpseudo-progressionが存在し,治療効果判定には慎重な評価が必要であることが示唆された。

  • 福永 諒, 岩佐 磨佐紀, 芦本 徹, 阿部 和樹, 口分田 美奈, 永井 詩穂, 浅井 愛, 藤城 綾, 西村 理惠, 南口 仁志, 村田 ...
    2025 年66 巻11 号 p. 1462-1466
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/05
    ジャーナル 認証あり

    43歳男性。移植後再発のearly T-cell precursor acute lymphoblastic leukemiaに対して2回目の非血縁者間骨髄移植を施行した。Day 32に発熱と酸素化低下,両肺上葉に広範な網状影を認めた。特発性肺炎症候群(IPS)を疑いmethylprednisoloneを投与したが,呼吸不全は進行し人工呼吸器管理となった。気管支鏡検査では,感染性肺疾患や肺胞出血は否定的だった。ステロイド不応性IPSと診断し,day 38からetanercept 25 mg/dayを週2回,計8回投与した。人工呼吸器は離脱できたが,依然として酸素5 l/minの投与が必要だった。そこで追加治療として,day 66からmycophenolate mofetil(MMF)1,000 mg/dayを開始した。Day 84に酸素投与を終了でき,感染症の合併なく退院した。Day 636現在,IPSの再燃なく,かつ白血病の再発なく経過している。ステロイド不応性IPSに対して,etanerceptの効果が不十分な場合には,速やかなMMFの追加が治療選択肢の一つとなり得る。

  • 安田 峻一郎, 千葉 桃子, 加賀 紹未, 三ツ矢 芙美, 幾見 玲子, 中港 秀一郎, 小林 有香, 脇屋 緑
    2025 年66 巻11 号 p. 1467-1473
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/05
    ジャーナル 認証あり

    75歳,男性。フィラデルフィア染色体陰性B細胞性急性リンパ芽球性白血病と診断し,多剤併用化学療法を施行したが,非寛解であった。Inotuzumab ozogamicin(InO)の導入により治療効果を得たが,3コース終了後に腹水が出現した。黄疸や肝腫大を認めず,類洞閉塞症候群(SOS)/肝中心静脈閉塞症(VOD)の臨床診断基準を満たさなかったが,HokUS-6スコアは1点から4点に上昇した。InOを中止したが,3ヶ月後に腹水が増加した。経頸静脈的肝生検(TJLB)を施行し,病理組織学的にSOS/VODと診断した。遺伝子組み換え型トロンボモジュリンや支持療法にて一時的に軽快したが,約1ヶ月後に腹水の増加と黄疸の出現を認めた。Defibrotideに不応で,肝不全の進行により死亡した。病理解剖で肝中心静脈の内皮細胞の腫大と線維化を認めた。臨床所見やHokUSのスコアを総合し,SOS/VODの診断が不確実な症例では,TJLBが早期診断に有用であり,治療方針の決定に役立てることが重要である。

  • 角野 萌, 宗正 昌三, 下村 壮司, 立山 義朗, 加留部 謙之輔, 黒田 芳明
    2025 年66 巻11 号 p. 1474-1480
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/05
    ジャーナル 認証あり

    78歳,女性。2021年にびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)と診断され,R-THP-COP6コース施行後に早期再発し,R-ESHAP療法4コースを行い完全奏効を達成し以後経過観察していた。2024年5月にsIL2Rの上昇を認めたためPET-CTを行ったところ再発所見を認めepcoritamabの投与を開始した。治療効果が得られていたが3コース目開始時に発熱およびCRPの上昇を認めたため入院となった。入院後,意識障害が出現し骨髄検査および髄液検査から末梢性T細胞リンパ腫非特定型(peripheral T cell lymphoma: not otherwise specified:PTCL-NOS)の診断に至ったが,急速に進行し入院13日目に死亡した。二重特異性抗体投与においてもCAR-T療法と同様,急速に進行するT細胞性腫瘍の出現を念頭に置く必要がある。

  • 渡辺 春香, 澤山 靖, 坂本 光, 古本 嵩文, 藤岡 真知子, 糸永 英弘, 佐藤 信也, 吉村 俊祐, 安東 恒史, 宮﨑 泰司
    2025 年66 巻11 号 p. 1481-1485
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/05
    ジャーナル 認証あり

    混合型急性白血病を発症した56歳女性に対して同種造血幹細胞移植を行った。急性graft-versus-host disease(GVHD)grade IIを発症したが改善し,慢性GVHDは認めなかった。移植後7ヶ月で免疫抑制剤投与を終了し,GVHDの再燃は認めなかった。しかし同時期より全身倦怠感,左眼瞼下垂,右上肢の手指伸筋の筋力低下を認め,精査の結果,橋本病およびmultifocal motor neuropathy(MMN)の診断に至った。症状は進行性であったが,immunoglobulin大量療法および白血病再発後治療のblinatumomab投与を契機に筋力改善を認めた。本症例の経過は,同種造血幹細胞移植後にドナーリンパ球による免疫学的機序によってMMNを発症する可能性があり,免疫抑制剤終了後や自己免疫疾患を伴って発症した末梢神経障害では,MMNを鑑別にあげる必要性を示唆する。

  • 大和田 善愛, 前田 智也, 青木 政典, 木下 博美, 田地 功忠, 高橋 直樹, 海老原 康博
    2025 年66 巻11 号 p. 1486-1491
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/05
    ジャーナル 認証あり

    2次性白血病は急性骨髄性白血病(AML)や骨髄異形成性腫瘍(MDS)での発症が多く,慢性骨髄性白血病(CML)での発症は稀である。症例は50歳,男性。粘液腺がん切除後に抗がん剤による化学療法と放射線療法を施したのち,12年後にB細胞性リンパ性急性転化で発症の2次性CMLと診断した。Tyrosine kinase inhibitor(TKI)とhyper CVAD/MA療法により分子遺伝学的大奏効を達成し,その後,分子遺伝学的に深い奏効(DMR)の状態で治療開始から約1年後に同種造血幹細胞移植を施行した。移植から26ヶ月経過した現在もasciminib内服のもと,DMRを維持している。2次性CMLの発症は非常に稀であるが,がんに対する治療歴を有するCML有病率が高くなるため,がん治療既往のある患者には,MDS/AMLだけではなくCMLの発症にも注意すべきである。

  • 西谷 真来, 北村 佐和子, 佐藤 剛, 岡野 良昭, 浅野 雄哉, 前田 峻大, 菅原 梨乃, 小林 健太郎, 越前屋 晴菜, 小宅 達郎 ...
    2025 年66 巻11 号 p. 1492-1498
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/05
    ジャーナル 認証あり

    64歳男性,成人T細胞白血病・リンパ腫(adult T-cell leukemia lymphoma, ATLL)の急性型に対しbiweekly CHOP療法を行ったが効果は一時的だった。救援療法としてmogamulizumabを投与し,同種移植までvalemetostatでの橋渡し治療を行った。重症移植片対宿主病(graft-versus-host disease, GVHD)発症を懸念してmogamulizumabを移植70日前に,valemetostatを15日前に休薬したが,移植後49日に急性GVHD(grade III(皮膚stage3消化管stage2)を発症した。一次・二次治療に不応性であったが,hMSC(human mesenchymal stem cell)を投与したところ急性GVHDの改善を得た。Valemetostatによる橋渡し治療は,ATLLの病勢コントロールやmogamulizumabの休薬期間を確保可能にした。一方,Tregの回復遅延や重症急性GVHDを来した。Mogamulizumab投与後の重症GVHDの管理についてTregやmogamulizumab血中濃度のモニタリング方法などさらなる改善が必要である。

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