臨床血液
Online ISSN : 1882-0824
Print ISSN : 0485-1439
ISSN-L : 0485-1439
臨床研究
大量化学療法を施行した多発性骨髄腫患者におけるハイリスク群の検討
倉橋 信悟鈴木 弘太郎澤本 晶代足立 達哉岩崎 年宏鈴木 一心杉本 匠成松 宏人早川 文彦杉浦 勇
著者情報
ジャーナル 認証あり

2010 年 51 巻 3 号 p. 174-180

詳細
抄録

若年者多発性骨髄腫の標準治療は自己末梢血幹細胞移植併用大量化学療法(以下,自家移植)とされるが,一部に予後不良の患者(ハイリスク群)が存在する。自施設で自家移植を行った症例にて,染色体所見によるハイリスク群を解析した。対象は2000年8月から2007年6月に自家移植を行った32例である。G染色法にて,染色体異常(CA)を27.6%, 低二倍体を17.2%, 13番染色体の欠失(Gd13)を19.4%に認め,FISH法にて17p欠失(Fd17p)を12.5%, t(4;14)を9.4%に認めた。CA, 低二倍体,Gd13, t(4;14)を有すると,その他の患者に比べ,3年生存率が各々42.9 vs. 95.2% (p=0.0072), 25.0 vs. 91.5% (p=0.0056), 40.0 vs. 91.8% (p=0.0245), 0 vs. 89.3% (p<.0001)と有意に不良であった。Fd17pを含め,これらの1因子以上を有する患者をハイリスク群とすると,全生存期間と無増悪生存期間は何れも中央値23.9 vs. 106.1ヶ月(p=0.0011), 13.5 vs. 25.6ヶ月(p=0.0095)と不良であった。単施設の少数例での検討であるが,染色体所見にて自家移植後の予後不良群を定義することができた。

著者関連情報
© 2010 一般社団法人 日本血液学会
前の記事 次の記事
feedback
Top