2011 年 52 巻 12 号 p. 1876-1881
症例は39歳,女性。血管内大細胞型B細胞リンパ腫(IVLBCL)と診断され髄腔内抗癌剤投与併用R-CHOP療法を繰り返していたが,4サイクル終了後意識障害を来たし頭部MRIでIVLBCLの中枢神経(CNS)再燃が認められた。大量MTX/Ara-Cによる再寛解導入療法を行い病変の縮小を認め末梢血幹細胞の採取を行ったが,CNS再々燃が認められた。超大量MTXに反応し,その後大量thiotepa,busulfan,cyclophosphamide(TBC療法)を前処置としてauto-PBSCTを施行した。発熱性好中球減少症により抗生剤投与を必要としたが,粘膜障害などのGrade 3以上の非血液学的毒性は認めなかった。TBC/auto-PBSCT後完全寛解(CR)となり,移植後24ヶ月無治療でCRを維持,CNS再発後約3年間生存している。自家造血幹細胞移植併用大量化学療法は薬剤感受性aggressiveリンパ腫に対する標準治療でありIVLBCLに対する有効性も示唆されているが,IVLBCLのCNS再発に対しての有効性は明らかでない。IVLBCLのCNS再発は予後不良であり標準的な治療法が存在しないが,TBC/auto-PBSCTが有効である可能性が示唆された。