生物物理化学
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Trimethylammoniumpropanesulfonate (Z1-methyl) 添加によるヒト血清蛋白質のキャピラリー電気泳動分離法の検討
三浦 利彦矢吹 重光舩渡 忠男坪 茂典町田 祥子川村 武佐々木 毅
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1994 年 38 巻 6 号 p. 425-431

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抄録

最近, 未処理溶融シリカキャピラリーを用いたキャピラリー電気泳動法は蛋白質あるいはその他の物質の分離において, いくつかの利点を有することが報告されている. しかし, 蛋白質の分析においては, 蛋白質のキャピラリー内壁に対する非特異的吸着等の克服される問題が少なくない. これを解決するために, 緩衝液のpHを試料(蛋白質)のpIより高く設定し, さらに zwitterion である trimethylammoniumpropanesulfonate (Z1-methyl) を緩衝液に添加した際の分析条件について検討した. その結果, 泳動緩衝液として, 1.0M Z1-methyl 含有の50mMホウ酸緩衝液 (pH 10.0) を使用することにより, ヒト血清蛋白質の再現性のある分離分析が可能になった. さらに, 患者血清分析において優れた分離能が示唆された.
これにより, Z1-methyl を用いたCEは臨床検査において有用な方法であることが示唆される.

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© 日本電気泳動学会
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