環境科学会誌
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一般論文
車載ウィンドウウォッシャー液を利用した車室内用簡易空気清浄法の実現可能性に関するモデル研究
徳村 雅弘 達 晃一畑山 瑠莉香益永 茂樹
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2017 年 30 巻 3 号 p. 171-183

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抄録

車に搭載されているウォッシャータンクを改良しウェットスクラバーとして用いることで,ガス吸収により空気清浄を行う簡易空気清浄法の実現可能性について,シミュレーションモデルを用いて評価を行った。55種類の揮発性有機汚染物質を対象としたシミュレーション結果より,本空気清浄法は親水性の揮発性有機汚染物質に対して高い除去性能を持つことが示唆された。本装置を使用した場合と使用しない場合の,1カ月間の平均1日経気暴露量のシミュレーションを行った。暴露シナリオとして,車を通常使用する場合(買い物,通勤など)と業務使用の場合を想定した。通常使用では1カ月間(30日)毎日,1日2回(1往復を想定)30分ずつ乗車すると仮定し,業務使用では勤務日(月21日)に1日8時間乗車すると仮定した。ホルムアルデヒドの場合,1カ月間の平均1日車室内経気暴露量を26%(通常使用シナリオ)および80%(業務使用シナリオ)低減できることが示された。リスク評価の結果より,空気清浄装置の使用により55種類すべてのハザード比を1以下に抑えることが可能となった。また,感度解析の結果より,親水性の揮発性有機汚染物質の場合は空気清浄装置への導入ガス流量,疎水性の揮発性有機汚染物質の場合はヘンリー定数が,空気清浄性能に最も影響を与えるパラメータであった。

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