2011 年 84 巻 5 号 p. 163-168
大流量循環型ビーズミルを用いて,粉砕された粒子の粒子径に及ぼす粉砕ファクターの影響を検討した。ビーズミルでの粉砕効率に影響を与えるファクターには,ビーズ径,ビーズ充填率,アジテータ周速,ビーズ材質,スラリーの粘度および密度,粉砕原料のフィード粒子径などが挙げられる。しかし,これらを投入動力量に換算した場合,ビーズ径の違いによる粉砕粒子への影響が最も大きいことがわかった。また,アジテータの周速,ビーズの充填率を変えた場合,その周速が速く,充填率が高いほうが微細化は速くなったが,同様に投入動力量で評価すると,ビーズ径が同一であれば,そのほかの運転条件が変化しても粉砕粒子のメディアン径X0.5は投入動力量に依存することを明らかにした。スラリーの濃度の違いでは,固形分濃度を極端に高くした場合,スラリーの粘度上昇などから,粉砕効率は低下することがわかった。さらにビーズミルのスケールアップにおいては,投入動力量で評価することによって,ビーズ径およびスラリー性状をコントロールすることで,粉砕された粒子のメディアン径の予測が可能であることを明らかにした。