大気環境学会誌
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技術調査報告
群馬県における地下水窒素汚染に対する大気沈着の寄与の推計
下田 美里田子 博熊谷 貴美代齊藤 由倫小澤 邦壽飯島 明宏
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2011 年 46 巻 4 号 p. 209-216

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抄録

群馬県では硝酸性窒素による地下水汚染が深刻な状況にあり、その改善のためには各種発生源からの窒素負荷量を定量的に把握する必要がある。本研究では、地下水窒素汚染に対する大気からの窒素沈着の寄与を推計した。窒素化合物の乾性沈着量を定量的に見積もるため、土地利用形態の異なる県内の4地点において大気中窒素化合物濃度を測定し、インファレンシャル法から乾性沈着量を求めた。群馬県全体における乾性沈着量は0.46 t-N/km2/yrと見積もられ、硝酸ガス(HNO3-N: 47%)およびアンモニアガス(NH3-N: 21%)からの寄与が大きかった。これまでの研究で求めた湿性沈着量1.68 t-N/Km2/yrと合計すると、大気沈着量は2.14 t-N/km2/yrであった。群馬県における地下水への全窒素負荷量(農業、畜産、工場排水、生活排水からの負荷量を含む)に対する大気沈着の寄与率は24%と推計された。

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© 2011 社団法人 大気環境学会
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